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出会い


この世界は、三つの世界に分かれている。



1つは『天界』

神が統べる、光溢れる神秘な天使の世界。



1つは『地上界』

人族・人獣族・精霊・魔物と、多種族が住む、光と闇が混ざり合う世界。



そして、最後の1つは『魔界』

魔王が統べる、闇に包まれる殺伐とした世界。






気がついた時、私は仄かな青白い月に照らされた、波打ち際に立っていた。

何故ココにいるのかわからない。

いつから、ココからいるのかわからない。

名前も、ココにいる以前の記憶がない。


でも、何故かココは魔界だとか、目の前に広がるのは海だとか、そういった事は理解できる。


自分の事だけが、すっぽりと自分の中から抜け落ちている。



さて、これからどうするか。

この場所がこれからもずっと安全かはわからない。



あの人にあったのは、どこに行こうかと、ふと空を見上げた時だった。




記憶をなくした私の目の前に、空から舞い降りたのは、とても綺麗な6対の羽を背負った男性の姿をした天使だった。


背中の純白な羽が魔界の闇を吸うように、黒に染まっていく。

堕天していくそんな光景も、その事に何の興味も無いような美しい顔も、風に流れるダイヤモンドのような輝きを放つ髪も、何もかもが美しく、魅入ってしまう。



堕天していっている天使が、私を見た。

目が合う。





「変態?」


そう・・・。

もう、思いっきり心の中で思っていた言葉が、口からポロって出てしまった。

慌てて口を押さえても、後の祭り。

目の前の堕天進行中の天使の目が細められ、冷気が漂い出したかのように気温が下がる。私の体感でだけど。


「変態とは、我のことか?」


超イイ声。ちょうどイイ感じの低音ボイス。


「一糸まとわずってか、まとってるけど、その白い布一枚で、風が吹いたら、大事な箇所がチラリと見えそうな格好を平然として人前に出てるのだから、変態は間違ってないと思う」


一気に言い切る。

もうどうにでもなれ!私は間違っていない。

でも、初対面の人にほ失礼な発言だったかな~と、少しばかりの後悔がじわりとわいてきた。



「ぶふっ」

「え?」


目の前の堕天し終えそうな天使が、笑う。

あぁ、その姿まで美しいと思う。

しかし、何が彼の笑いのツボに入ったのかわからない。



「今まであたりまえの格好だったが・・・言われてみれば、主の言うことも一理あるな。ぶふっ。我に初対面で『変態』とな。気に入った!我の配下になれ」


一通り笑い終えたのか、綺麗な手が目の前に差し出される。


配下になれと?

変態と言われて笑っている変態なんて、怪しい以外の何者でもないから、配下になりたいわけがない。


「え?お断りしー」

「なんだ?」

「だから、お断ー」

「聞こえんな」

「嫌ー」

「まさか、我の誘いを断るつもりか?」


さらに冷気を放つその瞳から逃れることが出来ず、ブンブンと首を横に降ってしまう。


「なら、我の手をとるが良い」


仕方ない。

初対面でよくわからない変態だけど、今は従うしかなさそう。

身が危ないようなら、さっと逃げれば良い。と、この頃の私は軽い考えで、差し出される綺麗な手に手を重ねた。




この瞬間から、私の世界は始まった。



闇が包む、魔界の世界で・・・



ご拝読、ありがとうございました。

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