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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
六章:逃げキレ!
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六話

 しかし、あのウイルスやウイルスを製造していた場所のことが気になって仕方がない。


 いや違うぞ。よく考えたらあそこはボタンがあった場所だ。ならウイルスを製造していた場所は別にある。


「ちょっと町に戻ってもいいか」

「また? 次はなにするの?」

「滝の洞窟はウイルスを散布する装置の起動ボタンがあった場所だ。で、ウイルスが作られた場所は別のところにある」

「そういえば図書館が爆発したんだっけ?」

「まあそういうことだな」

「生き残りは間違いなく私達だけだろうし、きっと図書館なんていったらゾンビたちが群がってくるわよ」

「こういう時でもなきゃ調べられないしな。ステルスでも張ればなんとかなるだろ」


 気配も匂いも遮断する便利魔法だが、使える時間は短いんだろうな。じじいのせいで。


 そうして図書館にやってきた俺たち。ゾンビたちは森の方まではやってこないらしく、ずっと町の中をうろうろしていた。


 図書館の中もゾンビたちがいるかと思いきやそうでもない。ゾンビになっていない人間を探して外に出たのかもしれない。


 中央には大穴が空き、この下ですよと言わんばかりである。


「ここ入るのか」

「あからさますぎて怖いわね」

「まあ行かないという選択肢は存在しないわけだが」


 シアを抱きかかえて穴に飛び込んだ。


「そんな予感はしてたからいいわ」

「俺のやることに反応しなくなってきたな」


 もうちょっといろいろ試してみてもいいかもしれない。


 降り立ったのは地下十階くらい。確認しながら降りたのだが、途中で厚めのコンクリートのようなもので遮蔽されていたので正確な階がわからなかった。


「なにかの研究室みたいね」


 爆発のせいですすだらけだが、割れた試験管やビーカーなんかが壁際に転がっていた。


「間違いなくここでウイルスを作ってたんだろうな」

「でもなんで爆発したの? ここで作ってたならここを爆破する必要はないんじゃない?」

「証拠隠滅、って意味なら正しくない?」

「ウイルスは半日しかもたないのに?」

「そのへんはよくわからんが、製造場所を吹っ飛ばす理由なんて多くないだろ。作ってたことを隠したいか、元々破棄するつもりだったか」

「どちらにせよ迷惑な話よね。地上には町があるっていうのに」

「研究所が現役だった頃は町がなかったんじゃないか? 隣町とも距離があるし、その隣町だって昔はなかったかもしれない。どちらにしろ相当昔の施設だってのは間違いないな」


 こんな施設があるなんて話は聞いたことがない。でもこの町が作られたのは百年ほど前だという話は知ってる。となれば施設は百年以上前のものだろう。


 シアと共にそのへんを散策してみるが、特にこれといって証拠となりそうなものはなかった。廃棄された際に全部持ち出されたんだろう。


「ウイルスを作っていた場所はわかったけど、それがわかったところでなんの意味があるの?」

「逆だぞ。なんの意味があってウイルスを作っていたのかを知りたかった。まあまったくわからなかったわけだが」


 その時、頭上からひらひらと紙切れが落ちてきた。上の階から振ってきたものだろう。


 それは一枚の写真だった。


「これは……」


 白衣を着た男女数名が映った写真。モノクロだが、コントラストははっきりしている。

「それなに?」

「写真ってやつだ。そりゃ知らないか」


 確か一時期一気に文明レベルが向上し、俺が元々いた現代にも近いところまで到達した時期があった。その頃はコカトリスだのダンゴムシだの犬だの猫だのボススライムだのと転生していたので詳細はそこまでわからない。が、一度だけ学者になったことがあった。化学物質の生成、電気の発展、重火器の製造なんかもされていたはずだ。


 学者だった頃は頭がどうかしてて研究することしか考えられなかった。普通の暮らしとは到底言えず、結局飲まず食わずで研究室にこもってそのまま餓死した。すごい人生だった。俺の意思とは関係なく脳みそが動くこともあったので、本当に転生というのも当たり外れが激しい。


「写真?」

「大昔にはそういうものもあったんだ。その場の紙に収められる機械がな」

「すごいわね」


 シアは写真を受け取りしげしげと見つめていた。


「で、これがなんなの?」

「見た顔があるなと思ってな」

「でも大昔の物ならアナタが知っている人がいるのはおかしくない?」

「それがなあ……」


 見たことがある人物というのはもちろんじじい……ではないのだ。


「コイツ、この男だ」


 一人の人物を指差す。


「誰?」

「俺の親父」

「は?」

「俺の親父だって」

「なんで?」

「知らんがな……」


 当然だが俺の親父がこの時代にいるわけがない。


「アナタのお父様って魔族かなんか?」

「そんなことはないと思うが。魔族が腰痛で病院送りはさすがに間抜けすぎない?」

「魔族だって腰痛にくらいなるわよ」

「いやまあそうなんだけどさ」


 頭をガリガリ掻いた。まったくわからん。

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