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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
五章:ドッラゴンを退治しろ!
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六話

 アララアアの町でドラッゴンの討伐依頼を受けた俺たち。水祭りとかいう謎イベントも佳境を迎えているせいかかなりの冒険者がクエストに参加している。


 クエストを受けた俺たちは冒険者ギルドの受付のお姉さんに連れられて沼地へとやってきた。沼はかなり浅いみたいだが尋常でない広さがある。


 ちなみに今回のパーティはこんな感じである。



 アルファルド

     職業:農夫

     武器:剣

     レベル:50(レベル詐称能力使用、本来のレベル100)


 ミュレス

     職業:軍人

     武器:剣

     レベル:52


 ローラ

     職業:冒険者

     武器:剣

     レベル:80(勇者の資格)


 ネティス

     職業:無職

     武器:杖

     レベル:34(レベル限界到達済み)




 どうしてこうなったのか俺にもわからない。いや、シアとピルは母さんの手伝いがあって来られないのはわかっているんだ。問題はミュレスとかいう軍人がなぜパーティメンバーなのか、だ。


「なんで許可出しちゃったかなあ……」


 許可を出したのは俺ではない、母さんだ。


 出かけようとしたところでミュレスに出くわして言い合いをしていると、母さんが出てきて「じゃあ一緒に行ってらっしゃいな」と笑顔で見送ってくれたのだ。あそこで邪険にすればまた面倒なことになる。


「今日こそはアナタの実力を見せてもらいますよ!」


 ミュレスは意気込んで腕まくりをするフリをした。非常にやりづらい。


「まあモンスター討伐ってくらいだからそこそこ戦いはするが、お前が思っているような結果にはたぶんならないぞ」


 いざとなったらこっちにはローラがいるのだ。今回のモンスター討伐はローラに任せるとしよう。ネティスのおもりをしたいわけではないのだがこればっかりは仕方がない。


「なあローラ。ドラッゴン退治は自信あるか?」

「なにを言っている。ドラッゴンくらい学生でも退治できるぞ」

「そんなに弱いのか。ならネティスでもなんとかなるか」

「ちょっと! 私のことバカにしてませんか?!」

「あーうるさいうるさい。レベル34の分際で吠えるな。でも今回はお前のおもりは必要なさそうだし、お前は一人でドラッゴンの退治をしろ。いいな?」

「困ったら助けてくれますよね?」

「は? ヤダよ」

「助けて! くれます! よね!」

「急に上から来るなよ。わかった、わかったから」


 ネティスは満足したのか、鼻息を荒くして頷いていた。こんな口約束を信じるとは、なんと純情な女なのだろう。


「それじゃあみなさーん! これからクエストをスタートしますよー! 準備はよろしいですかー!」


 受付のお姉さんがマイクを使ってそう叫んだ。冒険者たちは拳を上げて雄叫びを上げた。


「マイク」


 前回はメガホンだったのに一気に文明が進化している。俺がこの町に来なかった間に一体なにがあったというんだ。


「沼に入ったら始まりますからね! それでは、スター『ミッションスタートゥ』


 少し食い気味にじじいの声が割り込んできた。空気を読めないヤツだなとは思うが、きっと神様っていうのはそういうもんなんだろう。


 お姉さんが笛を鳴らすのと同時に冒険者たちが沼の中へと入っていく。動きづらそうではあるが浅いというのは本当のようだ。


「じゃあ俺たちもいくか。装備は大丈夫だよな?」


 俺たちはドラッゴン討伐専用装備である〈胴付長靴〉を装備している。漁師とかが使うような胸のあたりまであるゴム製の長靴である。


「しかしこうして見るとくっそだせえな」


 軍服や私服の上から胴付き長靴を履く女性陣。ウケる。


「これもアナタを懐柔するためなので。それにこれはこれで趣があります」

「懐柔するって本人に言うのは違くない?」

「さあさあ行くぞアル! ドラッゴンが呼んでいる!」

「お前はそういう感じだよね。いいよ俺のことは構わないで一人で行って来いよ」


 本当に一人で沼に飛び込みよった。ただの戦闘狂なのは間違いなさそうだ。


 この中で一人だけ恥ずかしがっている者がいた。


「なにもじもじしてんの?」

「こんな格好、恥ずかしいに決まってるじゃないですか……」

「さっきからその格好だっただろ」

「改めてジロジロ見るからいけないんですよ」

「大丈夫、似合ってるよ」

「今言うセリフじゃありませんから! そういうのは髪型を変えた時とか新しい服を着た時とかにするやつですから!」

「あーうるさいうるさい。さっさと行くぞ」


 ネティスの手を取って沼へと入っていく。ネティスは「あー! 入っちゃうー!」とか「ダメ、そんなの……」とか「こんなの初めて……!」なんて言っているのだが、沼に入るだけでこのリアクションができるのはコイツくらいなものだ。


 ネティスの手を取ったまま沼の中へと進んでいく。だが5メートル、10メートルと進んでもモンスターは出てこない。沼の向こうでは冒険者たちがどんぱちやっているみたいだがこっちにはまだなにもない。


「どこだよドラッゴンって……」


 沼を進むのも楽ではない。さっさと出てきてくれないと一万匹なんて討伐できないぞ。


「なに言ってるんですか?」


 と、ミュレスが首をかしげた。


「ドラッゴン、そこらじゅうにいるじゃないですか」

「そこらじゅう……?」


 ふと、視線を沼へと落とした。

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