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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
プロローグ
4/153

6歳 ー 2

 今日は父さんがイノシシを狩ってきた。


 ということでイノシシ鍋になったのだが、イノシシの肉はクセがあってなかなか難しかったような気がする。それでも母さんは料理が上手く、食べられなかったことなど一度もない。


「さ、たーんとお食べ」


 大鍋がどーんと置かれた。


「「「いただきます」」」


 手を合わせていただきますをする。こういうところは前の世界と一緒だ。もう違和感はないけど。


 母さんのお腹には俺の兄弟がいる。まだ男か女かわからないけど、やっぱり兄弟ができるってのはいい。素直に嬉しくなる。


 父さんはいつもどおりガツガツご飯を食べる。白米を頬張って、肉を口にいれて、咀嚼して、飲み込む。その動作が豪快で早い。


 母さんは上品に食べてはいるがそこそこの量を食べる。妊娠のせいもあるだろうが、最近は特に太ってきたようだ。


 俺はと言えば、食べたい気持ちはあってもたくさんは食べられない。六歳児の身体っていうのは難しい。胃の容量もそうだが、あんまり食べ過ぎれば心配されてしまう。


「もうお腹いっぱいなのかアルファルド! たくさん食べないと父ちゃんみたいに大きくなれないぞ!」


 ガハハハと笑う父さん。いや、そこまでデカくなりたくはないんだ。アナタ身長二メートル超えてるじゃない。筋肉もそこまでいらないから。


「あらやだ、これ以上食べて筋肉だるまが増えても困るわよ」


 うふふふと笑う母さん。筋肉だるまはさすがに可哀想なのでは。


 まあ、二人共楽しそうに笑っているからいいけれども。


 今回の転生先、レグルス家はいつも明るい。明るいというかいつもうるさい。物静かで暗いよりはずっといいけど、父さんの笑い声が豪快すぎて困る。


 食事が終わって、父さんが俺を抱き上げた。


「もう少しでお前にも弟か妹ができるからなー! 楽しみだなー!」


 抱き上げたままぐるぐる回る。パワータイプすぎて、いつも目が回るまで遊んでくれる。正直勘弁して欲しいけどここは我慢。楽しんでるふうを装って満面のスマイルで切り抜ける。


「ちょっとアナタ、アルの顔が引き攣ってるわよ」

「違う違う。これは心底楽しんでる顔だ」

「そう、それならいいわ」


 と、言いながらキッチンに戻っていく母さん。いやいや、引き攣ってる顔は引き攣ってる顔だから。


 いや待て、俺の顔引き攣ってたのか、知らなかったぞ。


「よーし! 三倍速だ!」

「まだ上がるの?!」

「そうかそうか嬉しいか! 父ちゃんも嬉しいぞ!」

「俺はこの状況楽しんでないけど父さんが嬉しいならよかったね?!」


 もうちょっと身体が大きくなるまでの辛抱だ。身体さえ大きくなってしまえばぐるぐるされなくなる。


 そう思いながら、父さんが飽きるまでぐるぐるされるのだった。

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