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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
三章:100万ウェン取得しろ! 
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九話

 俺もテキトーにキノコ狩りをし、食べられるキノコでカゴの三分の一は埋まった。


 が、気がつけばシアの姿がない。辺りを見渡してみるがどこにもいない。


「困ったな。面倒なことになった」

「どうしたの?」


 ソニアが横に並んだ。必然的に俺は顔を下に向けることになるのだが、これがまた大事件なことに胸の谷間がよく見える。


「うーん、俺のキノコがちょっとね」

「は? どういうこと?」

「いやなんでもない。シアがいなくなっちまった。アイツ無駄に足速いから追いかけるのも大変なんだよな」


 頭を掻いていると「別にいいんじゃない?」とソニアが小さく言った。


「別にいいって?」

「そのうち戻ってくるって。ほら、行くわよ」


 また右手を握られた。軍手をつけているのだが、女の子に手を引っ張られるのって悪くないんだなとか思ってしまった。


 母さん、スピカ、ビリー、シアと離れ離れになり、俺とソニアは二人でキノコ狩りをすることになった。まあたまにはこういうのも悪くない。


 周りのファミリーやカッポーは非常に楽しそうにキノコ狩りをしていた。普段は人が入らない山だが、こうやってたくさんの人がいるとそれだけでテーマパークみたいな華やかさがある。中にはマトゥタケ欲しさにガチで来る人もいるが、その人のことは見ないようにしよう。


 歩いてしゃがみ、歩いてしゃがみ。そうやってキノコ狩りを続ける俺とソニア。中には毒キノコもたくさんあるが、アッオーウの町の配慮のおかげでカゴに入れずに済んでいる。


「そういえばさ、あのシアって子なんなの?」


 と、しゃがんだ体勢でソニアが言う。


「なんなのって言われても居候だけど」

「なんでアルの家に?」

「んー、説明は難しいが倒れてたとこを拾った。一人で旅をしてたんだ」


 ここは親戚とかそういう感じにしておくべきだったかもしれない。だがもう取り消せなさそうだ。


「あの年で一人旅?」

「アイツにもいろいろあるんだ。追求してやるな」

「でもつまり赤の他人と暮らしてるわけ?」

「そうなるな。でも悪いやつじゃない。母さんやスピカとも仲いいしな」

「そういう問題じゃないでしょ」

「じゃあどういう問題なんだ? 他に問題なんてないだろ」

「そりゃ、そうなんだけどさ」


 もごもごと「一つ屋根の下なんて」と言っていたが気にしない方がいいだろう。


 たとえば一つ屋根の下で男女が寝起きしていることが問題だとしよう。だとしてもだ、今の所俺とシアの間にはなにもないし、あったとしてもソニアが俺とシアの男女の関係を気にする理由がない。俺が思っているよりもソニアは俺を嫌ってはいないらしいが、それでも昔ほどいい関係を築けてるわけじゃない。そんな彼女が俺のことを気にするはずがないのだ。


 ないよな?


「まあお前が気にする関係じゃねーよ。今はなにもない」

「今はってどういうこと?」

「うーん、どういうことだろうねー」

「ちょ、ちゃんと説明しなさいよ!」

「そりゃ血がつながってない男女が同じ家で暮らしてればそういうこともある可能性もこれからあるかもしれないだろ? それは俺にもわからん。もしかしたら目覚めるかもしれん」

「目覚めるって?」

「ロリ属性に」

「それは困る……」

「なんでお前が困るんだよ」


 ソニアは顔を真っ赤にして「な、なんでもない!」と駆け出してしまった。足場がいいわけでもないので走るのは危ないと思うんだが。


 そう思いながらもついていくあたり、俺はやはり面倒見がいい男なんだな。こんな姿を見て見ず知らずの可愛い女の子が声を掛けてきてくれれば嬉しいんだが、そもそも女と二人でキノコ狩りしてる男に声かけるような女はいない。


 自分がイキリ早口オタクみたいになるとは思ってもいなかった。ビリーにだいぶ染められてしまったのかもしれない。


「おい、そんなに走ると転ぶぞ」

「んなわけないでしょ!」


 言ったそばから足を滑らせて転ぶソニア。しかも運が悪いことに近くには崖があった。


「言わんこっちゃない」


 魔法で脚力を強化、飛び込んでソニアを抱きかかえた。


 そこまではよかったのだが、両手が塞がっているのでどこかに掴まることができなかった。こうなったら崖の下に落ちて、安全な体勢で着地する方が無理をしなくて済む。幸いなことにソニアはぎゅっと目をつむっている。


 魔法で飛んでも良かったのだが、それだと誰かに見られた際にいいわけができなくなる。俺が求めているのは平穏だ。人生に波風立てたくないのだ。


 崖下までは二十メートルくらいあるか。これならソニアを抱えてても着地できそうだ。


 地面が近づくにつれて早まっていく鼓動。身体が頑丈で死なないとわかっていても、高いところから飛び降りるというのは怖いものだ。


「せー、のっと」


 膝のバネを利用して着地。そのまま落ちてしまうとソニアへのダメージが半端なさそうなので、そこはご都合主義として魔法で衝撃を緩和した。


「もういいぞ、なんとか着地した」

「へ? 着地?」


 ソニアが目を開けた。俺と目が合うと、また顔を真っ赤にした。


「これ、どういう状況?」

「崖から落ちたお前を助けた。それだけ」

「それだけって、この体勢はなんなの」

「俗に言うお姫様抱っこ? 気分はどうだ?」

「そんな、気分とか言われても、すごく、恥ずかしいです」

「なぜ敬語」

「と、とにかく降ろして」

「なんで顔隠しながら言うんだよ……」


 足から地面に降ろしてやるとそのままうずくまってしまった。


「お姫様抱っこなんて恥ずかしいか。すまなかったな」

「そういうわけじゃないけど、そういうことにしといて」


 もう意味がわからん。


 崖の上を見れば、人が登っていかれるような高さではなさそうだ。一人だったら問題ないが、ソニアがいるとなれば話は別だ。魔法が使えるとか超絶身体能力とかできれば知られたくない。崖から飛び降りて無傷っていうのを突っ込まれない時点でなんとかなりそうな気はするんだけども。

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