表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
三章:100万ウェン取得しろ! 
38/153

八話

 空は晴天、最高のキノコ狩り日和と言える。俺たちはアッオーウの町の奥、キノコ狩りをするであろう山の前に来ていた。山の前には大きな門が設けられており、勝手に入れないようにしているのだろう。


 町に入ったときにカゴを渡されたが、ここにキノコを入れろってことだろう。


 キノコ狩りを楽しもうとする人たちはかなり多く、一人だったら絶対に来なかった。ファミリーとカッポーの大群は、俺にとってモンスターの群れよりも凶悪だからだ。


 そして今回のメンバーはいつもとちょっと趣が違う。


「まさか僕たちまで呼んでくれるとは思わなかったね」


 ビリーが嬉しそうに腹を揺らした。


「いや別に呼んではいないんだけどね」


 実はビリーが家に来たとき、スピカが話してしまったのだ。よくわからないのだが、スピカはビリーに懐いている。


「人、多いね」


 そう言ったのはスピカだ。そしてその後ろには母さんがいる。本当であれば家族サービス的なことがしたくてここに来たのだが、ビリーによって台無しにされた。


 いつも通りシアも参加している。ローラとネティスは忙しいらしく、なぜかしばらく言えから出てきていない。


「ねえ、なんか今日暑くない?」


 第二のイレギュラーは、俺の母さんがソニアの母親に話したことだ。そしてまたなぜかソニアまで来ることになった。


「その格好で暑いならシャツ着てる俺はどうなるんだよ……」


 キャミソールにミニスカートという、村娘からは到底想像できないような格好だ。王都、というか都会ではこういう服が普通なのだと言う。


「暑いもんは暑いんだよ。それよりイヤラシイ目で見るのやめてもらえる?」


 サッと胸元を隠すソニア。いやー、胸元よりも太ももの方が劣情をかきたてると思うんですけどね、その格好。


「見てないから隠さんでもいいぞ」

「はあ?! 見なさいよ! こっちだって頑張ってるのに!」

「もうどっちなん……」


 一番の爆弾はコイツかもしれない。そしておそらく、爆弾処理班は俺しかいない。よくわからないキレ方されるのは前からだが、正直どうやって処理したらいいかはいまだに不だ。でもコイツの扱いが上手くなれば、必然的に女の扱いには慣れそうだ。


 とんでもなく俺に負担がかかるメンバーだが、良かったことが一つだけある。シアが割とおとなしい部類の人間だということだ。いや人間ではないのだが。


「どうしたシア、今日はおとなしいな」


 腕を組んで立っているシア。一点を見つめ、表情を一切変えなかった。


「マトゥタケ……高級食材……」


 おーっといきなりぶち込まれる食いしんぼ属性だー。


「お前そんなキャラだっけ?」


 しかし俺は冷静だ。


「あのね、マトゥタケって言ったら一本何万もするのよ? それをお腹いっぱい食べられるんだから嬉しくないわけないじゃない」

「お前魔王なんだから高級食材くらい好きに食えただろ」

「私は出来損ないの魔王だから、そういうの食べさせてもらえなかった」


 口を尖らせて俯いてしまった。そういえばそんな設定もあったな。今までずっと忘れてた。


「そうか、なら今日は好きなだけ食え。つっても自分で探して自分で採らない食べられないからな」

「わかってるわよ、そんなの」


 俺を見上げるシアの顔は、少しだけ紅潮していてどこか嬉しそうだった。


「みなさーん! 元気ですかー!」


 そこで一人の女性が大きな声でそう言った。おそらく主催側の進行役だろう。


「お集まりいただき、本当にありがとうございます! 今日は好きなだけキノコ狩りを楽しんでくださいねー!」

「オー!」と参加者が拳を突き上げていた。キノコ狩りっていう感じは一切ない。妙に殺伐としていて戦争でも始まるんじゃないかと思うくらいだ。


 そういえばこれはキノコ狩りであってマトゥタケ狩りではない。つまり参加者はマトゥタケを目当てに来ているが、見つかるかどうかは運ということなんだろう。そりゃ我先にっていう気持ちにもなる。


「それでは制限時間は三時間です! 心ゆくまでお楽しみください!」


 ゴゴゴっと門が開くと、どんどんと人が吸い込まれていくようだった。俺もその中の一人だが、このままだとはぐれてしまいそうだ。


 次の瞬間、両手を誰かに掴まれた。ぐいっと引き寄せると、右にはソニア、左にはシアがいた。


「お前らかよ」

「「私じゃ悪いわけ?」」

「声を揃えるんじゃない。母さんたちとはすでにはぐれちゃったな。仕方ないからこのままキノコ狩りするか」


 両手を握ったまま、俺たちは山に入ることにした。


 右を見ればソニアが顔を赤くして、左を見ればシアが嫌そうにそっぽ向いてる。なんだこの状況。俺はどう接したらいいんだ。


 そんなことを考えていたのはつかの間のことで、二人はすぐに手を離してキノコを採りに駆け出した。


「見て見てアル。これ食べられるかな?」


 ソニアが嬉しそうに振り向いた。事前に渡されたカゴの中に、食べられるキノコ一覧の紙があったと思うんだが。


 俺はその紙を広げて「それは食べられるぞ」と言った。ソニアは笑顔のまま、キノコをカゴの中に入れた。別にマトゥタケじゃなくてもいいんだな。キノコ好きなのかな。


 シアもキノコをポイポイとカゴに入れてるが、ちゃんと分類してるんだろうか。シアのことだからあまり心配しなくてもいいとは思うんだが、ちょっと抜けてるところもあるから困る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ