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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
二章:フレンドを作ろう!
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四話

 スピカを送って家に帰ってくると、じじいが朝食を食べ終わったところだった。


「いい感じに慣れたわ」

「そいじゃ、お前の部屋行くぞー」

「はいはい。わかりましたよ」


 俺がベッドに座り、その横にじじいが座った。


「隣はやめろ」

「なんでじゃ?」

「上目遣いをするんじゃない。なんでこんなじじいとベッドに座らなきゃならんのだ。こういのは女の子とやるもんだ。さっさとイスの方にいけ」

「いけずじゃのぅ」

「そういうのいいから」


 残念そうな顔で、じいさんがイスに座った。なんで残念そうなんだよ。


「クエスト達成おめでとう。ほれ言ったじゃろ、お主ならできるって」

「そういう意味だったんだな。今ようやくわかったわ……」

「でじゃ、クエスト達成のご褒美を持ってきてやったぞ」


 ごそごそと服の中を探るじいさん。でも出てこない。


「ああ、こっちじゃった」


 股間のあたりをまさぐって、コインとなにかのカードを取り出した。


「これが神様コイン、こっちがタブレットじゃ。まあ使い方はテキトーに使いながら覚えるといい」

「こらこら、普通に話してるけど、それ今股間の辺りから取り出したよね? 触れてたよね?」

「なにに触れてたって?」

「おめーのゴールデンボールにだよ」

「そんなことどうでもいいじゃろ、ほれ、受け取れ」

「できれば触りたくないんだが……」


 じじいからコインとタブレットを受け取る。


「ぬくいじゃねーか! ちくしょう! 絶対触れてただろ!」

「嫌なら洗えばよい。タブレットの方も防水使用じゃからな」

「やっぱり触れてたんじゃねーか! クソっ! ろくなことしねーじじいだな!」

「入れとく場所がなかったんじゃ、仕方なかろう」

「はいはいわかったよ。もういいから帰れよ」

「なにを言っておるんじゃ。今日は素晴らしい情報を持ってきてやったというのに」

「素晴らしい情報?」

「うむ、この世界というか、お前が住んでいるここはムラファド共和国の領内じゃな?」

「ああ。確か今はサディアル帝国とヒルヘルム王国とは膠着状態で、一応戦時中なんだよな」

「ま、そういうことじゃな。で、たぶん今日あたりにヒルヘルムが攻めてくる」

「どこに攻めてくるんだ? この町は関係ないだろ」

「ところがどっこいそういうわけにもいかないんじゃなー」


 一発ひっぱたいとくか。


「痛い、痛いって」

「その言い方だとこの町に攻めてくるのか」

「そゆこと。だから頑張れよっていう」

「もしかしてそれが素晴らしい情報とか?」

「それ以外ないじゃろ」


 はいもう一発。


「話の区切りをつけるのに頭を叩くのやめてくれんかの。ワシにこんなことするのお主だけじゃぞ」

「頭光らせてる方が悪い」

「光らせたくて光らせてるわけではないのじゃが……」

「まあそれはいい。でもさすがに唐突すぎるぞ。強くなりたいとか魔王を倒したいとか冒険に出たいとかそんなこと思ってないのに」

「人生とは、そういうものじゃ」

「こういう時ばっかり正論を言うんじゃない」

「でもちょっとだけブラックノワールになりたいんじゃろ?」

「うん、ちょっとだけね」

「じゃあええじゃろ。ほれ、タブレットもあげたことじゃしな。使い方はなんとなく覚えて」

「説明が雑」

「現代っ子はスマフォの説明書も読まんじゃろ」

「まあそうだけど」


 カードを手にとって、人差し指と親指で画面を広げる。うお、すごい機能だな。


「そこのパーソナルステータスで自分のことがわかるぞ」


 言われた通りにタップ。俺の個人情報が出てきた。


「現状レベル100。最大レベル500。限界レベル500。これどういうこと?」

「今の状態だとレベル100じゃけど、本気になればレベル500になれるってことじゃ。限界レベルはわかっとると思うが、その人間が上げられる限界のレベル。つまりお主は本気を出せばレベル500の超人になれるってことじゃな」

「待って待って。たしか魔王の最大レベルって300とかじゃなかった?」

「そうじゃけど? 魔王は一律300が限界じゃ」

「なのに俺は500なの?」

「うむ。今100じゃろ? で、魔王の力を開放すると、なんと300のレベルが上乗せされて400になれるんじゃ」

「設定がガバいんだよなぁ。なんで足しちゃうんだよ」

「んでまあお主は魔王以外の力も持ってるもんで、それら全部足すと500になれるっちゅー計算じゃ」

「もういいや、そのへんは突っ込まない。じゃあ俺って本気出せばこの世界最強じゃん」

「よくわかったな。偉い偉い」

「てめぇはっ倒すぞ」

「今の若者は怖いのぉ」

「まあこのガバガバっぷりはお前が作った世界っぽいと思うよ」

「管理してるのはワシじゃが、作ったのはワシじゃないぞ」

「そうなの?」

「うん、作ったのワシのママじゃ」

「ママ! ママって呼んでるの? その年で?」

「それ以外の呼び方すると怒られるんじゃ。仕方ないんじゃ」


 それにしてもママはやべーだろ。


「よし、その話もサッと流そう。問題はヒルヘルムの軍勢だ。数とかはわかんないの?」

「んー、パッと見三千とかはいたかな」

「多いんだよね、小さな町襲撃するって数じゃねーぞ」

「でもお前なら一瞬じゃろ? ほれ、目からビームとか出せば」

「サイクロプスの時に身に着けたやつな。いやー、あれやっちゃうとみんなビビっちゃうんだよな。あと制御するのが難しい。そのへんが焼け野原になっちまう」


 その時にめちゃくちゃ目が良くなるっていう機能ももらった。転生継承もガバガバで、一個だったり二個だったり、その場合によってもらえるスキルが違ったりする。共通点は、発動させなければ発動しないところか。俗に言うパッシブスキルというのが一つもない。


「たぶん大丈夫じゃぞ。あれはサイクロプスの目が大きいからめちゃくちゃな威力が出る。でもお前の目は小さい。サイクロプスほどの威力にはならん」

「あーそうか。特有のスキルは持ってるけど、この身体だと昔ほどの性能は出せないのか。暇な時に調べてみるか」

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