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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
プロローグ
2/153

0歳

 少しずつ、五感が鋭敏になっていく。それでも音は籠もっているし、目は光りの明暗くらいしかわからない。痛覚が一番強いかもしれない。


 ボソボソと喋り声が聞こえる。低い方が父親で、高い方が母親だろう。めちゃくちゃ喜んでいるのがわかる。


 でもごめんな、俺はアンタたちの純粋な子供じゃねーんだわ。


 なんて思いながら眠りについた。いろんな生物に転生してきたけど、五感が正常に機能しないのはいつものことだし、すぐ眠くなるのもいつものこと。人間だとだいたい三日くらいはぼんやりとした世界を漂うことしかできない。


 まあ、もう慣れたからいいか。とりあえず今は寝よう。


 何度か寝て起きてを繰り返し、ようやく人並みの五感が戻ってきた。戻ってきたっていう言い方はちょっとおかしいかもしれないが。


 自分で望んでおいてなんだが、人間の赤ん坊というのはかなり面倒くさい。なんたって0才児で「おお、アンタが俺の母ちゃんか!」なんて言えるはずもない。


「あー」

「笑ったわ、アナタ。ほら見てよ」

「可愛いなー。鼻も高く、目もぱっちりだ。お前に似て美男子に育つぞ!」

「あらやだ、アナタに似てかっこよく育つわよ」


 なんて言いながら、俺の両親はイチャつき始めた。俺がガチのガキだったらなんも思わないんだろうが、正直勘弁して欲しいなって思っちゃうよね。


 父さんは身体が大きく強面だ。この人に腕っぷしで勝てるやつがいるんだろうか、ってくらい腕が太い。母さんの腰くらいあるんじゃないだろうか。でも結構ビビリというか、心根が優しすぎるというか。ケンカとかはしなさそうな性格をしている。


 逆に母さんは線が細い。顔は若干丸顔だが、目鼻立ちがはっきりしていて美人だっていうのがよくわかる。たぶんスタイルもいい。この二人から生まれたんだ、間違いなく身体的には恵まれるだろう。前向きな性格で、父さんの背中を力いっぱい押すのが母さんの役目みたいだ。


 この二人、凸凹夫婦というにはぴったり当てはまりそうだ。


 あー、そろそろ腹が減ってきたな。ちょっと軽く泣いてみっか。

「あっ、おっ? 泣いちゃったぞ。俺なにかしたかな?」

「そろそろお腹減ったのかしら。はい、今おっぱいあげますからねー」


 おっぱいは好きだが、これが母親の物だと考えると嬉しくない。いや、食事をもらえるのは嬉しいんだけどちょっと違うんだよな。


 なんて思いながら、食事にありつける喜びに浸ることしかできなかった。他の生物だと餓死って珍しくないからな。


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