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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
一章:女の子を三人口説き落とせ!
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四話

 風呂から上がり、外に出た。家の壁に備え付けられたベンチに座る。腰を悪くした父さんのために俺が作ったものだが、我ながらいいできだ。


「これからどうすっかな」


 魔族、絶対攻めてくると思うんだよなぁ。どうやって追い返すかなぁ。物理的にぶっ潰すのは簡単なんだけど、それで更に戦力を投入されても困るんだよなぁ。


「まずシアちゃんと結婚するのはどうじゃ」

「それにはまず魔王の特性を消さないと……」


 横を見た。


「やあ」


 つるっぱげのじいさんが隣に座ってた。


「やあ、じゃねーんだよ!」


 勢いに任せて思いっきりハゲ頭をひっぱたく。これこれ、久しぶりだけどやっぱりこれがないと始まらないよな。生きてる実感はないけど、音がすごくいいんだよなコイツの頭。


「なんでおめーがここにいるんだよ!」

「急にテンション上がったのぅ。この十八年間、結構クールに生きてきたみたいじゃのに」

「クールに生きる余裕があったからだよ!」

「なんで急に余裕がなくなるんじゃ?」

「だからおめーのせいだよ」


 パシーンと素晴らしく綺麗な音がなった。ホントに叩きやすい頭だな。


「痛い、痛いから」

「そういう感想いいから、なんでここに来たんだよ。あーもう、ちょっとこっちこい」


 手を取って無理矢理立たせた。


「もう、こんな時でもせっかちさんなんだから(はーと」


 無言で頭をひっぱたいた。


 そして暗がりの中、町外れへと連れて行く。


「こ、こんなところでなにするの? ナニ、かな?」

「お前実は俺に叩かれるの好きだろ? マジで話が進まない。もう一度訊くけど、なんでここにいるんだよ」

「んー、元気でやっとるかなと思ってな」

「上から見てたんだろ? 元気にやってるわ。んで、ここに来た本当の理由は?」

「お主、ワシが神様だって忘れとるじゃろ。まあええわい。ワシだってお前には幸せになってもらいたいんじゃ」

「理由になってねーぞ」

「今、困っとるんじゃろ? それを解消できる存在がここにおるじゃろ? 頼りになる最高の神様が、ほれ、ここに」

「いやいいよ。自分でなんとかするし」

「そんなこと言わずに。願いを言ってみよ」

「そこまで言うなら、シアの魔王としての性質を取り除いてくれよ。そしたらシアは魔王じゃなくなるし、魔族が攻めて来ても話し合いで解決できそうだし」

「ところがどっこいそんなに簡単に願いを聞いてやるわけにはいかないんだな」

「今すぐその腹かっさばいてやろうか」

「簡単に、と言ったじゃろう。聞いてやらんとは言ってないわい」

「じゃあどうすれば聞いてくれるんだ? 焦らすのは無しだぞ、お前面倒くせーから」

「そうこなくっちゃ、さすが兄弟」

「お前の性癖キラーアントかよ。今世紀最大のびっくり事件だわ」

「たぶんじゃがな、お前の人生は割と波乱万丈なんじゃよ。そういう星の元に生まれちゃったの。それは今までの転生でもよくわかっとるとは思うが」

「じゃあ今回もわけわかんない死に方するかもって?」

「死に方だけじゃない。周りの人間も不幸に巻き込まれる。なんというか、それがお前の持つ「天恵」というヤツなんじゃ。天の恵みと書いて天恵な」

「クソみたいな恵みだな……」

「しかしワシならそれを取り除く、ないし緩和できる」

「なるほど。いやなるほどじゃねーだろ。お前神様ならその天恵そのものを除去してくれればいいじゃねーかよ」

「それが簡単にできたら、転生を繰り返すお主のバグも取り除けるじゃろ。ったく理解力がない男じゃのう」

「いちいちムカついてたらキリがないからさっと流すぞ。じゃあお前が俺の天恵をなんとかする方向で働いてくれるんだよな?」

「はいそこで問題発生。ワシは神様なので供物がないと動けないのじゃ」

「そんなこと誰が決めたんだよ」

「ワシ」

「はい。じゃあ供物を捧げればいいのね。なにが欲しいんだ」

「ピチピチギャル」

「言い方が古い。しかもこの村にはそんなの――」


 いや、いるぞ。俺が知ってる女で割とピチピチしてる感じのいかにもなギャル。


「わかった。じゃあ連れてくる。でもすぐってわけにはいかない。あとピチピチギャル連れてきてお前はそのギャルをどうすんの?」

「お主が供物としてギャルを捧げる。そしてワシはそのギャルに童貞を捧げる。これで一石二鳥じゃ」

「ちょっと上手いこと言った、みたいな顔すんのやめてくんない? あとお前キラーアント童貞しか卒業できてねーのかよ。マジでやべーヤツだな」


 その理屈で言うと俺も相当やべーヤツだが。


「冗談じゃ」

「分かりづらいわ」

「よし、それじゃあ戦闘してみよう」

「なにその口調」

「攻撃ボタン長押しでスキルが使えるよ!」

「ソシャゲじゃねーか」

「素早くフリックで回避行動を取れるよ!」

「だからソシャゲだってそれ」

「チュートリアルクリアでプレミアムガチャ十連チケットがもらえるよ!」

「ソシャゲはもういいから。クエストの内容早く考えろや。内容考えてないから引き伸ばしてるだけだろ、お前のやり口知ってるぞ」

「ノリ悪いのぅ」

「めちゃくちゃ突っ込んでやっただろ……」

「そうじゃのう……特殊クエストとして、女を三人口説き落としてくるんじゃ」

「嘘だろ……なんで急にそんな話になるんだよ……」

「お前には幸せになって欲しいんじゃ。親心じゃよ」

「あのさ、三人女の子口説き落として、三人共成功して性交なんかしちゃったら俺三股のクソ野郎じゃねーか。絶対幸せになれないというか誰にも祝福してもらえないぞ」

「上手いこと言ったみたいな顔をするでない。大丈夫じゃよ、この世界は一夫多妻制認められとるから」

「一定の階級をもらわないとダメだろ。認められてるのは貴族以上だ」

「じゃあ貴族になればいい。そうじゃ、十個くらい特殊クエスト終わったら「貴族になる」っていうクエストを言い渡そう」

「貴族になるのは無理だから。一代でなんとかなるもんじゃないから。俺にはチートでなんちゃらみたいなのできないから。それっぽい力は持ってるけども」

「んー、貴族と同じような階級を得ろ、っていうクエストならどうじゃ」

「正直やってみないとわからんが、たぶんそのクエストで詰むぞ。まあとにかく今回の特殊クエストはそれでいいのね?」

「それでいい。はい、特殊クエストスタート」


 トランペットの音と共に、じいさんがテロップを出した。


『特殊クエスト! 女の子を三人口説き落とせ!』


「ラッパを鳴らすな、うっさいだろ。あとどこから聞こえてきてるんだよこの音」

「んじゃ、三人女の子口説き落とせたらまた現れるよーん」

「最後だけちょっと若作りすんな」

「ばいばーい」


 と、手を振りながら天に登っていった。


 割とゆっくりだな、今まだ地上二十メートルとかだぞ。帰るまでにどれだけ時間かかるんだよ。


 この速度を考えると、降りてくるのにも結構時間かかるんだろうな。


「女の子三人……無茶言うよなぁ……」


 しかも判定基準があのじじいときたもんだ。どこまでやったら口説き落とせたってことになるんだ。


 考えても仕方ない。とりあえず今日は寝よう。クエストのこともシアのことも明日考えよう。


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