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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
十章:モテ期は誰にでも訪れる
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七話

「どうしてこうなった」


 今俺は王都のプールに来ている。


 プールとは、そう、あのプールである。まさか王都にプールがあるなんて知らなかった。


 着替えを済ませ、更衣室近くのベンチに座ってぼーっと室内を見渡していた。


「どうやって作ったんだよ」


 絶対木材だけじゃ無理でしょ。そこは魔法がうんたらって話か。魔法が万能すぎてなんでもありだな。


 室内はトロピカル感に満ち溢れ、ヤシの木とかももさもさ生えている。カップルやファミリーがたくさんいる。


 俺は誘われたからここに来たのだが、誰と来たかと言えば――。


「待った?」


 現れたのはひらひらの水着を来たシアだった。


「いや、特に待ってはいない」


 ソニアに比べると体の凹凸はないが、水着のひらひらも相まって非常に可愛らしくまとまっている。


「ふむ、悪くない」


 グーパンチが右頬にクリーンヒットした。


 視界がぐらついて、気がつけば地面に倒れていた。


「なんで急に殴るの……」

「最低な感想言うからでしょうがよ」

「大根よりましだろ」


 また視界がブラックアウトした。


「はっ!」


 急いで立ち上がる。さすがにアゴに二発もらうと痛いけど、そこは痛くなさそうに取り繕った方がいいだろう。


「悪かった」


 またブラックアウトした。


「んでだよ!」

「また失礼なことを言ったのかと思って」

「俺の言葉聞いてから殴ったよな?!」

「「悪」って言葉に反応しただけじゃない。小さい男ね」

「アゴ三発殴られて大人しくしてるヤツの方がヤバくない……?」

「まあそんなことはどうでもいいわ」


 シアが右手を差し出してきた。


「遊びましょうよ」


 彼女は歯を見せて笑った。心なしか頬が赤く染まっているような気もするが、ここはなにも言わない方がいいだろう。


「そうだな」


 俺はその手を取る。シアは「行きましょう」と言って駆け出していくので、俺はつんのめりながらもそれについていった。


 さて、今回どうしてこうなったのか。答えは簡単で、朝起きてすぐにシアが誘いに来たのだ。


「今から私とプール行くわよ」


 俺ですら知らなかったのにどこでプールの情報を仕入れたのか。まあそんなことはどうでもいい。女の子から誘われて断るのは礼儀に反する。


「よかろう」

「なんで偉そうなのよ」


 そんなこんなで俺とシアは「二人で」プールにやってきた。背後にいくつもの気配を感じてはいたが無視することにした。


 流れるプールで浮き輪で浮かぶのも久しぶりだった。シアが水をかけてくるので俺もやり返した。なんか目端にビリーとかスピカが映ったけど気にしないようにと努めることにした。


 この世界でウォータースライダーで滑る日が来るとは思わなかった。シアを股の間に入れて滑ったのだが、コイツこんなに小さかったんだな。肌がすべすべしていて気持ちがいい、なんて考えていたらまたアゴを殴られたので、実は滑っている時の記憶はほとんどなかった。今度はネティスとローラが見えたような気がした。


 まさかこの世界でジャグジー的な風呂に入れるなんて、いったいこの世界はどこまで進化するんだ。二人で目を閉じて心地よさに身を委ねた。


「ほぼ現代」


 そうなのだ。経緯はどうあれこの世界は現代と遜色ない技術がたくさん存在する。そのため非常に過ごしやすいし、遊ぶ場所にも困らなくなってきている。ファンタジー世界としては微妙なところかもしれないが、暮らしている身としてはありがたい限りだ。


 チラチラとピルとイズルが覗いている気がするがこちらもスルーした。


「ねえ」


 そんな時、少し沈んだトーンでシアが声をかけてきた。


「なんだ」


 客はたくさんいるのに風呂には俺とシアしかいなかった。拓けている場所なので周囲からは丸見えだが、そこそこ喧騒がうるさいので喋っている内容までは聞こえないだろう。


「ソニアのこと、どうするの」


 なんとなく予想はしていたがここまで直球で来るとは思わなかった。


「どうするってどういうことだよ」

「なんか言われたんでしょ?」

「言われたけどお前に関係ないだろ?」

「なんて言われたの?」

「なんで言わなきゃいけないんだよ。ソニアと俺のことだぞ」


 そう、他の誰かには関係ない。俺とソニアが解決するならまだしも、他人がどうこう言うのは間違っているような気がする。

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