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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
十章:モテ期は誰にでも訪れる
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四話

「ちょーっと待てーい!」


 背後から大声が聞こえて振り返る。そこには十代半ば、俺とスピカの中間くらいの年齢だろう少年が立っていた。肌色は褐色、ヤンチャそうで髪はツンツンに尖り両耳にピアスなんかしてやがる。白いだぼっとしたズボンに、白い布を上半身に巻きつけるというここらでは見ない感じの服装だった。


「いきなりなんだ、少年」

「少年ではない! 魔王だ!」


 急なカミングアウト。


「ナチュラルに出てきすぎやしないか……?」

「貴様が魔王討伐を放棄して女とイチャコラしてるからこういうことになるんだろうが!」

「いや別にイチャコラしてるわけでは」


 と、今日の出来事を振り返る。


「イチャコラしてたわ」


 前方ではソニアと、後方ではシアとイチャコラしてたわ。


「ほらみろ! だから俺が来てやったんだよ!」

「すごいバイタリティだね。あと暇だったのかな、わざわざここまで出向いてくるなんて」

「俺が直接出向くわけないだろ。分身を操ってるに過ぎん」

「どうりで魔力がそこまで高くないわけだ」

「まあ本当だったら直接出向いてやるところだったんだがな、生憎と今俺は城から出られない」

「忙しいのか暇なのかわからんな」

「基本的には暇だな」

「じゃあなんで城から出てこないんだ?」

「自分で張った障壁が頑丈過ぎてな、なかなか壊せないんだ」

「もしかして知能指数が低いのか……?」


 つまり俺が障壁を壊してやらないとコイツは一生城から出られないってことか。それなら分身を倒す必要はない気がしてきたぞ。


「なるほどそういうことか」

「なんだよ」

「俺に分身を倒させて障壁をなんとかしてもらおうって考えてるな?」


 ここで魔王の体がピクリと跳ねた。


「だ、誰がそんなこと考えてるって?」

「しらばっくれるの下手すぎなんだけど」


 だから分身を無理矢理動かして俺のところまできたんだな。このまま俺が寄り道しまくってたら、その分自分が城から出るのが遅くなると考えたわけだ。


「なんでこの世界のヤツらは面倒事を俺に押し付けたがるんだ?」

「面倒を押し付けたわけじゃない! こっちの方が盛り上がるだろ!」

「盛り上がると思ってんのはお前だけだぞ。こっちの気持ちは盛り下がる一方だ」

「言い訳はもういい! さっさとかかってこい!」


 そんなことを言いながら魔王が突っ込んできた。


「かかってこいって言ったのお前じゃん……」


 しかも言い訳してないからな。


 分身ではあるがさすが魔王。突進力だけは一人前だ。突進力だけは、な。


 ソニアを抱きかかえてテキトーに避け、下から鳩尾を思い切り蹴り上げた。


「んばっ!?」


 なんてよくわからない悲鳴を上げて上空に吹っ飛んでった。


 喋ってみてなんとなくわかったが、間違いなく今回の魔王はアホだしバカだ。魔力とかフィジカルがあったとしても戦闘IQみたいなのが絶望的に足りていない。いくら力が強くても当たらなかったら意味がない。相当な力量差があれば別だが、このままでは格下にもボコボコにされかねない。


「シアー」


 そう叫ぶと、木陰からシアが顔をチラつかせた。


「もういいからそういうの。出てきてソニアを避難させてくれ」


 シアはふてくされた表情のまま近づき、ソニアの手を取って去っていった。最後まで俺を睨んでいたし一言も言わなかったが、ちゃんと俺の言うことは利いてくれるようだ。


 そこで魔王が戻ってきた。


 魔王は地面に激突することなく、四足歩行のような上体で着地した。


「貴様、やるな」

「お前がやらないだけだってば」


 自分の完璧さを信じてやまないみたいだな。どこまでも自分を信じ続けるあまりに、逆に相手の株が上がり続けるやつだ。それか相手を認めないまま向上心を持てないかのどっちかだ。


 魔王は叫びながら何発も拳を繰り出してくるが、俺はそれを避けながら魔王の顔面や体に拳を叩き込んでいく。手数は魔王の方が多いのだが、コイツの攻撃はまだ一発も当たっていない。


 ある程度攻撃を食らったあとで交代した。


「やるな、貴様」

「さっきとセリフ逆になってるだけだぞ。あとなにか? 攻撃されることに満足して下がったんか?」


 この行動がいきすぎるとマジでヤバいヤツだ。しかし関わらないわけにもいかないので、割と本気で改心してほしいところだ。


「うおおおおおおおおおおおお!」


 そういってまた突進してきた。


「改心は無理そうだ」


 とりあえず分身らしいのでボコボコにして早く消してしまおう。


 ということでその後テキトーにボコボコにした。


 攻撃だけはいいんだけどその攻撃が当たらないのでまったくダメージにはならない。一方的に殴りまくって戦闘を早々に切り上げた。

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