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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
八章:新たな問題
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最終話

 胸に刻印を刻んで俺とイズルの魔力を繋ぐ。が、弁を設けておくことで、俺からイズルの魔力は引き出せるがイズルは俺の魔力に干渉できないようにする。ぱぱっと魔法を作成してはい出来上がり。


 ちなみにもう一度やれと言われたらできない。


 その後で傷を治してやればはい完成。


 次の瞬間、頭の中でファンファーレが鳴った。


『ミッションコンプリイイイイイトゥゥゥゥゥ』


 じじいの声だ。


 空からコインが降ってきた。んで俺の頭に当たる。バキっと頭蓋骨が割れる音がしてその衝撃で意識が飛んだ。どんだけ高い場所から落としたんだよ。普通に地面に落とせよクソが。


 シアがコインを拾った。


「そういえばなんだけど……」

「急にしおらしくなったな」


 嫌な予感しかしないんだけど。


 しかし一応、一応訊かなければならない。


「お前、なんかしたか?」


 シアは目を合わせようとせず、どこか遠くを見つめていた。居心地が悪くなったのか口笛まで吹き始めた。最悪なほどわかりやすい。


「おい! なにやったんだよ!」


 肩を掴んで思いっきり前後に揺らす。


「首がっ首が飛ぶっ」

「だったら本当のこと言えよ!」

「わかった、わかったからっ」


 俺が手を止めると、シアは首をさすった。


「おじいさんがコインを使えば一定時間だけレベルを上げてくれるっていうから」

「使ったのか?!」

「あとこれ、元々コインだった物」


 様々な形のチャームのブレスレットを渡してきた。


「九個……コインの数じゃねーか……」

「元々コインだからね」

「自信満々に言うことじゃねーんだが」


 とは言うが、コイツが来なきゃ俺は間違いなくやられてた。コインが消えたのはかなりの痛手だがイズルという障害がなくなったのでコインも集めやすくなっただろう。


 と思った次の瞬間、渡されたブレスレットが光りだした。そして、気がついたらコインに戻っていた。


「もしかしてもしかするぞ」


 俺の頭蓋骨を砕いた一枚を足して計十枚。


「なんでコインが十枚になったの? 神様はそのコインを使ってって言ってたんだけど」


『人生いろいろあるもんじゃて』


 と、頭の中にじじいの声が聞こえてきた。シアとは顔を見合わせたが、他の連中はそのへんで遊んでいる。玩具になってるのはイズルだがそれはまあいい。


「どういうことだよじいさん」

『おまけってことにしておく。イズルの件も解決したしのう』

「じゃあシアの魔王特性を消去することができるんだな?」

『完全消去は無理じゃ。魔王として生まれ落ちた子じゃからな、完全に消してしまえばアナスタシアという個体そのものが消えてしまう。しかし限りなく薄くすることはできる。今の状態が100%魔王だとしたら、魔王0,01%の人間99,9%にできる』

「えらい偏りだな。でもこれで魔族にも狙われなくて済むんだよな?」

『そういうことじゃな』


 じじいはコホンと咳払いした。


『それではお前に問おう。そのコイン十枚を使ってアナスタシアの魔王特性を変更してもいいか?』

「ああ、よろしく頼む」

『心得た』


 次の瞬間、シアの体が青く光りだした。光の粒が空気に溶けて、溶けて、シアの体から光がすべて放出されていった。


「これで終わり……?」

「みたいだな。体調悪いとかないか?」

「体の方は大丈夫」


 一応タブレットの方で確認してみたが、ジョブが魔王から魔導師になっていた。レベルはなぜか250まで上昇している。


「おいじじい。なんでシアのレベルが上がってんだよ」

『ああそれ? 一回レベル引き上げたら元に戻らなくなっちゃった。ほれ、風船って一回ふくらませるとガバるじゃろ』

「ガバるはやめろ。絶対良くない言い方だから」

『ま、そういうことじゃ。諦めい。ということでワシは寝るでな』


 そうしてプツっと通信が切れた。なんなんだアイツ。


 まあ、これで俺のコイン集めも終了ってわけだ。


「長かっ……そこまで長くなかったな」


 一年以内に終わったしな。


「んじゃ帰るか」とシアを見下ろす

「そうね」とシアが相槌を打った。その顔には笑みが浮かんでいた。


 ここから俺の平穏な日々が始まるのだ。


 そう思った瞬間、遠くの方で黒い魔力が爆発した。その黒い魔力は柱は天を繋ぐ一本の柱のようになっていた。


「なあ、もしかしてあれ……」

「たぶん想像通りね」


 魔王降臨の儀式。次の魔王がどういうやつかはわからない。だがあの魔力が以上であることはよくわかる。


「まあなんとかなるでしょ」


 俺の方がレベル高いし。


 ということで俺たちは家に帰ることにした。魔王のことなど忘れ、みな思い思いの日常に戻っていくのだった。









「うーん、非常にマズイのう……」


 神様は外界を見下ろしながら頭を抱えた。


 天を貫く漆黒の柱。魔力の階。それらが意味するのは新しい魔王の誕生であるが、今回ばかりはそれだけではなかった。


 アナスタシアという魔王が他の魔族から受けられなかった魔力という恩恵。それらを凝縮して行われた儀式だった。


 とてつもない魔力と存在感。その魔王は大地に降り立つ。


「まさが自分でレベル限界をぶち破って生まれてくるとは」


 神様は腕を組んで考える。が、考えるまでもなく結論が出ていた。


「アイツにやらせよう。第二部じゃ」


 ということだった。

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