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101回目の異世界転生!  作者: 絢野悠
八章:新たな問題
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七話

 そうしているうちに上空からイズルが降り立った。こうやって目の当たりにしても俺との力の差があるな。たぶんレベルは一緒のはずなのに。


「待たせたかな」

「別に待ってない」

「そうかいそうかい。だと思ったよ。早めに来て準備なんかしてたもんね、待ってないよね」


 コイツ、もしかして遠くから見てたのか?


「さて、なんのことかな」


 思わず口笛を吹いてしまったが、客観的に見て自分でもあからさまだなとか思ってしまう。


「まあなんでもいいけどね。どうせ勝つのはボクなんだし」


 イズルの方が強いとはわかっていても面と向かって言われるとカチンときてしまうのはなんでだろう。


「随分な自信じゃねーか。同じような経緯でこうなってんだ、どう転ぶかかわらないと思うんだが?」

「無理無理、キミはボクに勝てないから」

「だからなんでそこまで言えるんだよ。なんか証拠でもあんのかよ」

「証拠って……」


 そこでイズルがニヤリと笑った。


「もしかしてキミ、見えてないのかい?」

「バカにすんじゃねーよ、お前の姿くらい見えとるわい」


 失敬だな。


「そんなの当たり前でしょ。ボクが言ってるのは、ボクのレベルが見えてないっていう話さ」

「みみみみ見えてるし」


 タブレット使わないといけないけど。


「じゃあボクのレベルは?」


 この前ちらっとみたけど俺と一緒だった。


「500だろ。そんなのわかりきってることだ」


 今度はため息をつきやがる。非常に腹立たしいぞ。


「やっぱりちゃんと見えてないんだね。この感じだと自分のレベルもちゃんと把握してないんだろうなあ」

「ちなみに俺のレベルは?」

「700」

「ウソだろ……」


 まさかタブレットにリミッターがかかっていたとは。


「じゃあお前のレベルは?」

「1000ちょっと」

「それは冗談であって欲しいが」

「冗談じゃないんだよなあ」


 ゲームでレベル300の差は致命的すぎるぞ。もしもゲームだとして、俺が主人公だったら周囲の仲間と協力して強敵を倒すのが定石だ。


 しかし俺に味方はいない。


 涙が出そうになった。まさかこの状況でボッチを味わうことになるだなんて予想してなかったからだ。もしかすると、俺が戦わなきゃいけないのはイズルだけじゃなく、ボッチとも戦わねばならないのかもしれない。


「泣きそうになってるところ悪いけど、もしもレベル300の味方がいても意味ないからね。キミと味方を足してレベル1000っていうのはちょっと違うからさ。レベル500くらいの仲間がいないとボクには勝てないと思うよ」

「この世界、基本的にレベル250でカンストじゃねーか」

「だから言ったじゃないか。キミがボクに勝つのは無理だって」


 そりゃ自信満々にもなるわけだ。


「で、話はそれで終わりか」

「終わりだけど、それでもボクと戦うんだ?」

「戦わないという選択肢がここに来てあると思うか?」

「そんなに大事なんだね、シアちゃんのことが」

「俺の嫁候補だからな。俺が守らず誰が守る」

「かっこいいこと言っちゃって、勝てないのにね」


 イズルの魔力が一気に膨張していく。


「そんなこと言ってやる気しかねーじゃん」

「バカにされたらキミだってムカつくでしょ?」

「バカにしたつもりはないんだが」

「キミがどう思おうと、ボクがバカにされたと感じたらバカにされたってことになるんだよ。人間なんてそんなもんでしょ」


 アウトプットよりインプットってな。言いたいことはよくわかるよ。


「まあ俺はバカにされても問題ない人種なんでな、お前の気持ちはあんまりわかってやれねーよ」


 嘘だけど。


「やっぱりキミとは相容れないみたいだ。始めよう、殺し合いだ」


 なんだかんだいいながら、コイツはやっぱり俺を殺したがってたんだ。涼しい顔をしてはいるが、自分と同じ境遇にある俺を目の敵にしていた。コイツが手を出して来なきゃ、俺はコイツのことを攻撃しようとは思わなかった。どっちが上とかじゃなく、俺はただただ平穏な生活が送りたいだけだからな。


 イズルが上空に飛び立った。上をとって攻撃されると厄介だな。


 上を取られないように俺も同じように飛び上がった。


 が、イズルの不吉な笑みに嫌な予感がした。よくよく考えればコイツがただ上を取りにいくわけがない。付き合いが長いわけではないが、性格的によろしくない人間だってことくらいはわかっているつもりだ。


「追ってくるんじゃないかなーと思ってたよ」


 そう言ったかと思えば瞬く間に姿を消した。


 更に上空にいるのかと思ったが違うようだ。であればいる場所なんて一つしかない。


 視線を下に向けると、イズルは俺を見上げ右手を向けていた。なにかを俺に言っているようにも見えたが遠すぎてわからない。

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