第三話 お地蔵様
”仕事”とは何か
彼の目的は一体
「ふう…これくらいでいいか」
テーブルにはいろんな言語で書かれている新聞や本が無造作に置かれていた。
有真はその書類を結構な時間、読み漁っていたのか、目元を抑えている。
「もう1時か」
時計に目を配らせ、帰宅の用意をし始めるが、片付けの最中に揺れ堕ちた一つの新聞を手に取る。
「おっと大切な情報が」
有真の目に新聞の一面が映った。
「レハール・リス・ドレンシア王女が日本に来日予定か」
彼は既視感に苛まれて、首をかしげる。
「どっかであったような顔だな.....まあいいか、明日二人に聞いてみよう」
だがその既視感はすぐ靄みたいに消え去り手元の新聞は
そのままカバンに入れ、戸締りを確認してからドアノブに手をかけた。
「じゃあまた明日」と誰もいない部屋に声を掛け、有真は研究所を後にする。
彼らの研究所は三階にあり、賃貸として一階に住む大家から借りているのだ。
有真は二階まで階段を降りると夜中の0時~7時まで営業しているダイニングバーがあった。
ここは時々みんなで飲みにきたり、マスターと喋りに来たりする。
だが有真はそのまま一階に降りる。
一階には僕の研究を認めてくれて破格の値段で貸してくれた優しいおばあさんの
骨董品屋がある。
店の雰囲気も結構暗めだから開店してるか閉店しているかもわからない。
今は閉まっているようだ、
「ああそうだ、合掌だけでもしていこう」
おばあさんのお店の前にはビルが建つ前から点在しているお地蔵様がいる。
ウイスターは罰当たりなことに名前を付けた。
「バルバロッサって呼ぼうぜ!!」だそうだ。
その時は苦笑していたけど愛着を持つのは悪いことじゃないし変なことしなければお地蔵様も許してくださるかなと思っている。
有真は合掌を終えるとライブ終わりの罰当たりウイスターに会いに駅前に向け歩み始めた。
第三話 お地蔵様 続く
最後までお読みいただきありがとうございます!!
短め慢でござる