第十五話 構造
迫りくる異形達、悲しみと逃避に暮れる里栖、意識の無い有真
さてどうなるやら
____有真の頬に里栖の涙が落ちる。
ビュウウウウウ!!と
異形達はいきなり現れた竜巻によって後方に飛ばされた。
そして有真達は竜巻の目に入っていた、いや竜巻が守るように存在している。
それは有真が起こしたものでもなく、勝手に起きたものでもない。
『ふう~間に合った』
里栖は顔を上げて、辺りを見回すが
声の主は見当たらない。
なぜか?里栖は頭の上に重みを感じた。
その上には、一羽のカラスが止まっている
しかし、ただのカラスではなく喋るカラスなのだ。
里栖は最初、聞き間違いだと思ったが
『ああすまないレディの頭に乗るなんて』
と頭から降りて喋りだしたもんだからびっくり
「え?幻聴かな…」
『違うね!ちゃんと喋っているよ!』
「え…えええええ?!」
『うっさいな~』
羽で頭の横を抑えたカラスは、有真を見た。
『起きてくれよ、有真』
「有真さんは助かるんですか?!」
『大丈夫。少し眠っているだけだ。』
カラスが里栖にとって安堵できる答えを出した途端
安堵からなのか、泣き出す里栖。
しかし悲しいことに、竜巻は役目を終え消え去ってしまった。
有真達の周りには異形達が取り囲んでいた。
「ど、どうしたらいいんですか?!」
不安に駆られる里栖はカラスに答えを求めた。
『任せろ』とカラスもといナハムは有真の耳元に近寄り
里栖に聞こえないように小さく______
『飲み込まれる戦車。開く支配。歩く地球。それはスペード。扉を思う。』
___囁くと有真は起き上がった。
「あ、有真さん!」
と精一杯抱きしめる里栖だが、少しの違和感がある事に気づく。
反応がない。
どれだけ呼び掛けても顔を里栖に向けることすらない
それどころか立ち上がり、異形達を見つめだしたのだ。
異形達は威嚇のつもりだろうか、四つある手で拍手をし始めた。
しかし有真はそれを見つめたまま、動かない。
しばらくすると異形達は拍手を止め、有真の目の前から消えた。
そしてスクランブル交差点には里栖とカラス、有真の二人と一匹になった。
里栖は何が起きたか理解できずぼーっと立ち尽くしていた。
「あ、あ、有真さん…?」
彼女の言葉は何者ですか?という意味をこめられているのだろう。
有真は里栖の問いかけに反応した。
だが_____
「私の名は望月有真だ。しかし君の知っている望月有真ではない。」
_____その言葉は里栖を混乱させるには充分だった
第十五話 システム 続く
最後までお読みいただきありがとうございます!!
もしかしたらこの話は変えてしまうかも