第11.5話 飛行機
大統領にあった後のおはなし
~ダレス合衆国上空、飛行機内~
アラン博士と助手のメリッサは、なかなかお目にかかれない個室型の席に対面しながら座っている。
一方は目線を窓の外を見つめ、もう一方は頬を膨らませて、アラン博士を睨んでいた。
「博士.......私は怒っています」
「.......」
アランは沈黙を守る。
「大統領執務室を出てからおかしいですよ!」
「すまない.......」
重い口を開くと出てきたのは謝罪の言葉だった。
しかしメリッサはそれでは済まなかった。
「訳を言いなさい!!」
「まだ話せないんだ。」
アランはメリッサを落ち着かせようと両手を挙げた。
「じゃあいつになれば話せるんですか?」
「あと少し待ってくれ…」
時計を確認するアラン、ぷいといまだに怒りが収まらないメリッサ
しばしの時間が二人の間に重く流れる。
かなり重い空気に、お互いは喋らないようにしたが
「アラン博士」
耐えきれなくなったメリッサが立ち上がり、しゃべり始めた途端に、
《アテンションプリーズ、ダレス発日本行き当機はただいま、ダレス合衆国領空から離れました。御乗客の皆様、あと10時間ほどの空の旅をお楽しみください。》
機内アナウンスが流れた。
声の透き通った女性の声で、言葉を切られたメリッサは、続けてアランに向かって話そうとしたが
「ああああああ疲れたよ、まったく」
と年不相応の声をだし、座っていたソファに思いっ切り身を任すアランの姿が見えた。
「え……」
とつぜんの事にメリッサは茫然とし立ち尽くしていた。無理もない彼は先程まで何かにおびえるように
がちがちに体を震わせていたからだ。
「だいじょうぶですか.......?」
アランを怪訝そうな顔で見つめる。
「心配かけて済まなかった。頭は大丈夫かい?本当に済まない」
「い、いえこちらは大丈夫ですが、アラン博士何があったんですか?」
「うむ、簡単にいうと暗殺されそうになっていたというべきかな」
メリッサは目を大きくして口をわなわなさせた。
「ど!どういうことですか!?」
メリッサは自分の三倍ある巨体に向かって胸倉をつかんだ。
「す、すまない……暗殺の事や大統領と喋ったことを口外すると、君の身が危ないと思ったんだ。だからずっと黙っていた。」
アランは泣きそうなメリッサに向かって見つめながらこう言った。
「そ、そんなあ.......」
メリッサはその場にへたり込み、それ以上は何も言わなかった。
いや自分の気持ちを解き放ちたいと思ったが、アランのやさしさも相まって言葉が出なかった。
「すまない.......もっといい言葉があるんだろうけど、私には思いつかない」
アランは同じ目線に立ち、ひたすら謝り続けた。
するとメリッサは大丈夫です。と言い何処かに行ってしまう。
アラン博士はそれをただ見ることしかできなかった。
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流れる水の音、鏡に映るメリッサ、赤い眼
彼女は飛行機内にある洗面台で茫然としていた。
「.....................」
何かが怖い……いえアラン博士はもともと怖かったけど、いい人だ。
でもアラン博士が言うことを推察すると、彼には何か触れてはいけない面があると思うと急に怖い。
「先ずは落ち着かなきゃ.....................」
メリッサが少し落ち着こうとすると、ドアノックが二回鳴り響いた。
「す、すいません!今出ます」
急いでドアを開けると、そこにはお人形さんみたいにきれいな女性が立っていた。
まるでメリッサの進行を妨げるように
「あ、あの……通していただいてもいいですか?」
メリッサは困惑した顔で女性にそう言ったが。
女性はその言葉の後にこう告げた。
「見つけた」
飛行機内に悲鳴が響き渡る___________
第11.5話 広がる領空 続く
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( _*`ω、)_ねもい