第十一話 初めての連休 前編
投稿期間空いてしまい申し訳ないです。
朝日がキッチンに差し込み、スズメのさえずりが気持ちよく朝日を乗りこなす。
「……ん……」
有真は朝日で目が覚める、
その光は有真自身が【生きている】ということを実感させてくれた。
「うう……いつの間に寝てしまったんだ.......」
有真は頭を抱えた。昨日の記憶がバラバラで思いだせずにいたからだ。
「自分が死んで、変な奴にあって、そして生き返らせてもらった.......あれこの先が…」
横に頭を振り、里栖の様子を確かめるべく立ち上がると。
その時、ベッドから歩いてくる音が聞こえてきた。
「.......っ」
僕は反射的に身を固めた。なぜかわからない、でも体が何かに縛られたように動かない。
有真が危機感に駆られていると、見覚えのある顔が目の前に現れた。
「ふぁ~有真さんおはようございますぅ.......」
凄い眠たそうに寝ぼけ眼をこすりながら、里栖が挨拶をしてきた。
「.......ああ、おはよう」
いつの間にか体は動くようになっていて、謎の安堵感が全身を包みこまれる。
この感じは脱力感に似ていた。
(昨日の出来事は夢だったのか.......?)
そこから先は少し考えることをやめて、里栖に向かい朝ごはんはどうしたい?と聞くと
パンがいいです、と返してきた。
僕は考えるべきことを放棄して、朝ごはんの支度を始めた。
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「ふう…ごちそうさまでした!」
「お粗末様でした」
二人とも朝食を平らげて、少しまったりしていたが。
里栖は、突然何かを思い出したように両手で顔を隠し始めた。
「……どうしたんだい?」
「いえ…その…」
里栖の声がドンドン小さくなり僕は聞き返すように里栖に近寄った。
「言ってごらん」
「.......すいません、」
「?」
「有真さんの部屋で寝てしまったり、朝食までいただいたりして.......」
すごく恥ずかしそうに顔を赤面させて、もじもじしながら呟いている。
僕はそれをみて
「いや大丈夫だよ、昨日はすごく楽しかったし、カレーを美味しかったよ?」
「でも....」
「それに、僕は里栖が来てくれてすごく落ち着いた、だからこれからも来ていいんだよ?そもそも、このマンションの持ち主は里栖なんだよ?」
僕は優しく里栖を見つめた。すると里栖の顔の赤面がさらに、広がった。
「あり.......がとうございます」
里栖はお礼の言葉に続けて
「で、でも!お邪魔してばかりなのは良くないので、夕食とか私が作ってもいいでしょうか?」
有真の両手を里栖の両手で包み込み、真剣とよべるかわからないほど赤面した顔で有真を見つめた。
突然、手を握られた有真は少し動揺したが、そこは優しく
「うん!ありがとう、でも無理はしないでね?」
と里栖の頭をなでながら言うと、里栖は幸せそうにうなずいた。
一方、その二人を見ているものがいる。
『幸せそうだなぁ.......』
カラスがだるそうにベランダで横たわっていた。
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里栖は食器などの片付けが終わると、ソファにいる有真に
「今日って予定ありますか?」と聞いた。そう有真は今日から二連休なのだ。
「とくにはないけど今日はゆっくりしたいかな」
確かに里栖とどこかに行きたいが、【やらなければならない】ことがある。
僕は断った後にこう続けた。
「明日ならあいているよ」
里栖は嬉しそうな顔をして
「じゃ、じゃあ!どこかお買い物に行きたいです…」
「うんいいよ」
「楽しみです!」
いつの間にか、有真のリビングには明るい空気が漂い始めた____
「じゃあ私、大学がありますのでもう行きますね」
「うん、いってらっしゃい」
明るく送り出そうとしたが、里栖は有真の事が心配なのか
「どこにもいかないでくださいね」
「......わかった」
「絶対ですよ!」
と僕に顔を近づけ迫ったが、唇と唇が触れ合う距離まで詰められてしまい、お互いが顔をそむけた。
「は、早くいかないと遅刻するぞ」
「う、うん行ってきます!」
里栖はダッシュで僕の部屋を後にする。
「そんなに走るとケガするよ!」
有真がそう叫ぶと里栖のダッシュは早歩きに変わった。
「気を付けて」
僕は心のざわめきから、不意に言葉をつぶやいた。
そのざわめきはすぐに、収まりどこかに消えた。
「.......さーて、やりますか」
「身辺整理」
僕はこれから起きることに、備える用意をしなければいけないと思った。
第十一話 二連休 続く
最後までお読みいただきありがとうございます
2000文字以内だとすぐ読めるから収めたほうがいいかな?