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現代に生まれた魔法使い  作者: レベルタロウ
プロローグ
10/28

第九話 理の力


有真は甦った

自分を殺し損ねた相手を倒すために



 


「すうー.......すうー……」

里栖は気持ちよさそうに有真のベッドで寝ている。


しかし、その光景を見つめる黒騎士はただ沈黙し、里栖を見つめた。


「.....................」


_________________________________


「.....................はっ」


僕は勢いよく目が覚めた。

身体に異常はないと思い、動かそうと試みた。

しかし


「っ....」

すごくなんてレベルじゃない。

自分の体重が10トントラック並みに重い、つまり動かない。


「これのどこが…直しただよ…」

だからと言って、ここから動かないつもりはない。


僕は一呼吸おいて、思いっきり腕を動かしてみた。


「フンっ!!…」


.....................微動だにしない。


「畜生め…里栖!無事か!」

僕はナハムを恨みながら、里栖の返事を待った。



返事を聞いたのか、小さな足音がこちらに向かって近づいてくる。


その足音はやがて、ガシャンガシャンと重圧な足音に変化していき

僕を見下ろすように、黒騎士が目の前に立ちはだかった。


黒騎士の鎧には飛び血、剣には滴る血が


「お前…まさか…」

「ごめんな?我慢できなかったのさ」

黒騎士は先程と違い男のような声で続けざまに

「お前に化けたら抱きついてきてな、好き好きって言ってたわ、かなりコーフンしたよ」



「だから滅多刺しにしてやったよ、お前の女」



僕の中で何かがオンになった。


何かはわからないけど、まずはこいつを倒す


ソレだけだ。


僕は重かった体が嘘のように軽くなり、黒騎士に向かって全力の拳を繰り出した。

だが、黒騎士は避けることなく受け止めた。


「おいおい笑わせるなよ、ただの人間に俺が」


瞬間、黒騎士は南極の大地で倒れていた。


________________________________


「……」

何が起こったかはわからない。でもアイツを倒せてないみたいだ、それだけはわかる。


僕は重い足取りで自分のベッドに向かった。


恐怖、死、悲しみ、生きていてくれと願う感情が入り混じる。


しかし現実は非情だ。

ベッドの白さは赤黒く変色しており、その中心には目を当てられない光景が眼前に広がっていた。


「.......ナハムいるんだろ?」


そう呟くと、ベランダに留まってるカラスがしゃべりだす。

『あーいるとも一部始終も見ていた』

「なぜ助けなかった」

『僕を求めなかったからといったら?』

「.......僕と同じように助けられるか?」

『僕には無理だ、君にならできる』

「どうすればいい」


カラスは羽を広げて嫌味っぽく告げた。


『キスでもすればいいんじゃない?』


そういうとカラスは何処かに飛んで行ってしまった。


「.......そうか」

こういう形で初キスはしたくなかった、お互いが笑顔でキスをしたかった。

そういう感情も出てきたが、今は押し殺そう。

ベッドに無残な姿で横たわる里栖に顔を近づけ

生き返ってくれと願い、青くなった唇にキスをした。


突如、里栖の身体が白く光り始め、光は繭となり里栖を優しく包み込む。


「頼む.......里栖を救ってくれ」

繭は返事をするかのように小さく鼓動を始めた。


「行くか」


有真は部屋から消えた。


______________________________________



「おい死んでないだろ?起きろよ」

僕は南極の大地で横たわる黒騎士に語り掛けた。

『生きてるにきまってるだろ。ったくなんだぁ?お前』


黒騎士は鎧に付いた土くれを払いながら僕を見るために顔を上げた。


『こんなでっかいクレーター作っておいて、ただの人間ですとかいうなよ!』

黒騎士の中心から半径5㎞のクレーターが出来ている。


しかし黒騎士の言葉に対し有真は

「君が知るべきことは、そこじゃない」

『じゃあなんだっていうんだぁ?!』



「____君が知るべきは、滅多刺しにされる痛みだ」


有真は右手で拳を構え、右腕を後ろに引いた。


『なんだ?さっきのパンチでもだすのか?』

黒騎士は剣を構え、こちらに向かい飛翔した。

しかし有真は動かない、それどころか目を開いてすらいない。

『間合い勝負でもするつもりか?!無理だね!』


黒騎士は有真の首めがけ剣を振り下ろす。

『もう一回、あの世に行けや!!!』



有真は目を開き

「もういいよ」と優しくトゲトゲしく言葉を放った。



『あ?』

黒騎士はクレーターの中心に叩きつけられ、持っていた剣は粉々になり

そして、地中から出てきた赤い檻が黒騎士を閉じ込めた。


有真は黒騎士を見下し冷たい声で

「君の【ルール】は一回で終わらすようにするのがセオリーだよな?、それを考慮すると【ルール】を除けば君はただの怪力バカだ」

『それはどーかな!』


黒騎士は赤い檻の柵をもって叫んだ。

『【ルール】と【理】は違う!お前は勝負に勝った気でいるが、試合では負けてるんだよなぁ!!』

「どういうことだ.......?」


黒騎士は里栖に姿形を変えて状況を打破するべく有真を見つめて

『先輩…さっきはごめんね?解放してくれたら色々教えてア・ゲ・ル♥』


と里栖に似た声でお願いをしてきた。



しかしそれはまさしく、火に油を注ぐ行為であった。



「お前を倒しはしない」

『ほんと?!でーも檻が邪魔じゃない?』

「邪魔だろう?それはお前を【殺し続ける】装置だ」

有真が指を鳴らすと赤い檻が光始め、やがて

檻を包み始めた。



終わりが来たことを察したのか、元の黒騎士に戻り男の声で

『またいつかお前の目の前に現れてやる!その時はお前のすべてをぶち壊してやる!!』



檻全体が包み込まれるという瞬間に

黒騎士が最後の言葉を放った。




『俺を殺さなかったこと後悔しやがれえええええええええええ!!!』



黒騎士が入っていた檻は光に包まれ、クレーターの中心から存在が消えた。


「君はこれから地獄を味わうことになる、もし帰ってこれるならこればいい」

有真は違う世界の【理】でクレーターを修復し、その場を去ろうとする。


光に包まれた有真は捨て台詞のように


「帰ってこれるならな」


と言い残し、南極の大地を去った。


_________________________________


~有真と黒騎士から少し離れたところにあるテント~



「.......どーしましょ博士」

防寒具を着た若い女性が同じく防寒具を着た初老の男性に話しかけた。

続けて女性が

「やばいですって!あれ人間じゃないですよ!」といい

その言葉に初老の男性は返答した。




「わかっておる.......大統領に報告しなければ」




初老の男性はビデオカメラを片手に急いで帰る支度をした。



            



             第九話 強すぎた力 続く






最後までお読みいただきありがとうございます!!


やっと冬ということを実感しました。




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