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王都からの使者
「あなたの息子は聖者に選ばれました」
ある日、王都から使者が来た。
この国では代々、王は世襲ではなく、国のどこかに生まれる初代聖者の生まれ変わりがなるものとされていた。
どういう抽選かは知らないが、王がなくなると必ず、王とは縁もゆかりもない少年が選ばれ、次の王となる事となっていた。
つまりそれに選ばれたという事なのだ
それを聞いた時、その少年、トイーの両親は、まさに、寝耳に水、という表情をした。
「あの何かのお間違えでは? トイーはただの落ちこぼれ、とても聖者様の生まれ変わりとは」
「我らの選定を疑うのか?」
「いいえ、とんでもないことです」
僧侶最高機関の王選定を疑う事は、この国では神を疑うに等しい。
そしてこの国では神の意志を疑う事は、死を意味していた。
「トイー様、いや、聖者バダラジャック様は、新たなる王となられる!」
使者は初代聖者の名前を言った。
こうしてトイーは、王都への長い旅路に着くことになった。