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一話02〜逃亡者〜

月下の元、影が走る


その向かう先に存在するのは大河そして巨大な建造物―――橋


この橋は普通に川と岸を道で結び物品や人材が輸送される様々な交通の役割を果たしているただの建造物ではない


本土と南部を線引きの役割。つまり両地域を隔てる境界線である


本土と橋の向こうにある南部側の対立の歴史は今から約20年前にも遡る

まだ『教団』が本格的に日本本土に対し支配力が及ばなかった頃の話になる

『教団』の幹部が一人脱走し九州地区の鹿児島まで逃げ、対抗組織を結成した又は『教団』の資金を無断で使用した為粛清から逃れるに『南部』の前身にあたる秘密結社に情報を流した際出来たとも言われている巨大な自警組織みたいなものだと言われている

そして影が向かう方角はほぼ南部

そして先ほどの黒服達が彼に向かって裏切り者と言い放った事からも彼が非教団勢力である『南部』へと向かっている事が解る


彼が何故其処へ向かうかは彼自身を除いて他には居ないが、彼が求めている答えはこの橋の先にあるのかもしれない


だがその進行方向に立ち塞がる者が存在した

そのシルエットは月明かりに照らされて朧気に姿を現している

身長170cmのコートを羽織った女は先程まで疾走していた男の進行方向に自ら立ち言った

「まさかたった一人の裏切り者に特部の四人が皆殺しになるなんてね。だけど、、、」


彼の方を見てにこりと場違いな微笑を浮かべ

「でも、その裏切り者が貴方だったなんてね―――ジン」


ジンと呼ばれた男はそれに応じ、答えた


「退いてくれ。昔会った縁だ、行き先の邪魔をしないでくれ、戦いたくないんだ」

殺気を全く隠そうともしないでジンが答えた

だが女の方はその凄まじい程の殺気に当てられながらも、まるでそれが無いものかの様に不気味な笑顔を顔に残したままそれに答えた

「そうもいかないわね。貴方は裏切り者で異教徒。存在するだけで教祖様に仇なす存在。例え昔の知人だからと言って見逃す気は全く無いわ」


その言葉を聞いてジンが答える


「オレの復讐は終わった。だから

“教団”は抜ける。元々俺は力を手に入れるために入っただけだ。」女はまるで愉快なジョークを聞いたかの様に笑った


「貴方が加担してきた

“粛清”はかなりの数よ。それで築けられた死体の山によって

“教団”は繁栄してきたのよ。それを」


そこで一旦言葉を切り

「今更否定するの、ジン?」


途端にジンは歯を食いしばり苦悶の表情を浮かべ反論する


「そうだ。どうせ復讐の為に他人の命を切り捨てた身だ」


「だが、俺はあいつに会った。


そいつはオレの行いを肯定すると同時に否定した。奴への復讐を終えたオレは今更他人の為に生きることすら出来ないが、、、、、、、、、」

「それでも抜け殻のような存在でしかないオレを必要としてくれる奴がいるならそいつの為に戦う覚悟くらいはある」


それを聞き溜め息をつく女は


「そう。じゃあ死んでくれる?異教徒さん」


とだけ答え眼光が変わった

先程のふざけた様な態度は面影すら存在せずジンを見る視線は敵の様子を伺い、相手一辺の隙すら在らばすぐさまに獲物に飛びかかる肉食獣の様なしなやかかつ凶暴な雰囲気を醸し出している


それに対し何もリアクションを起こさない程ジンも鈍くなかった


全身の神経を前方の敵に向けて集中

今までの経験によって研ぎ澄まされた感覚を最大限まで拡張

先ほどの戦闘で消耗した彼にとって相手の戦闘力は馬鹿に出来ない

長期戦はこちらにとって不利故に狙うは一撃必殺

そしていつでも刀を抜けるように柄に手を掛け構える


そして2つの影はお互い殺気を放ちながら静かに対峙する

膠着状態が続いているのは双方共達人クラスレベルの相手から隙を見いだせないからであろう


だがそれにしびれを切らしたのかジンが一気に間合いを詰めんと踏み出す。

女の方もそれに対応し両肩から吊り下げたホルスターから二丁の拳銃を取り出し迫ってくるジンに向け一瞬で照準、誤差の修正、発砲を行う

ジンは刀の腹で銃弾を弾きわずかに後退する


こうして、夜天の空の下橋の上にて死闘が始まった

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