日常
「で?お前は何の部隊に所属するつもりだ?」
「う~ん。それよりもまずは…」
「ああ。あれだな?」
にやりと笑いかけられる中、私もにやりと笑った。
「うん!私は、最強の神器をもらうんだ!」
にこやかに拳を握り締めながら堂々と宣言する中
「そうかそうか!あと…何年だっけ?」
「ありゃ」
ずこぉっ!!
間の抜けた声で首を傾げながら聞いてくるフロイスに、私はずっこけた。
「くぅん」
「大丈夫だよ。ウォー」
こいつは相棒であり、パートナーである白狼の神獣。ウォンウォン鳴くから、ウォーと名付けた。
それについて話すと、フロイスに呆れたように「何てネーミングセンスだ」と笑われた。
「神獣に心配かけてちゃダメじゃないか。な、レイ?」
その言葉に、フロイスを乗っけたままレイがゆっくりと頷いた。
レイって確か…エイをただ英語で言っただけじゃなかったっけ?
そっちもネーミングセンスをどうこう言えるほどじゃないんじゃ?
そんな疑念を抱きながらも、私は憮然と答えだした。
「そっちがいきなりずっこけさせたんじゃんか!
私はもう生まれてから55年経ってる!!もう10歳だ!」
「確か0歳から5歳は普通に外のと同じ速度で育って、それから以降が10年で1歳だったな。
大きくなった、大きくなった」
そう見下ろしながら笑いかけて頭を撫でてきた。
今度のは馬鹿にされたみたいに感じて、なんか腹が立った。
ってあれ?
自然文明誕生から180年。身体にとっては18年…
50年も年上ってことは…?
「ええ!?105年だから15歳!?」
「?言わなかったか?」
「言ってない!」
計算して出した年齢に驚きつつ、また新たな疑問が浮かんだ。
「っていうより待って!授与式っていつ!?」
「んー?確かまだまだ先だろ。2月10日だったろ?」
「よ、よかった。安心した」
「これからの未来を担う王族が、それでどうするんだ?エヴァンの末裔が」
「むっ…これから頑張る」
そう言うと、またフロイスは笑って去っていった。
「今日の料理、楽しみに待ってろよ~!」
「うん!フロイス兄ちゃん頑張って~!」
「こういう時だけ兄ちゃんつけるんだよなあ」
苦笑交じりに呟きつつ、料理場へ向けて飛んでいった。
言うまでもなく、フロイス兄ちゃんは私の憧れである。
「よぉし!!ウォー!私達も負けずに修業だ!!」
「うぉん!!」
それに負けじと修業へ乗り出すために叫ぶと、それに応えるようにウォーは吠え、それに笑いかけた。
だが
「お。フロイス馬鹿だ」
「?ああ、スイか」
水色の髪をしたスイは、いつものように私をからかってくる。
というのも、フロイスには付き合っている人がおり、結婚しているからだ。
この国では15歳になると大人と認められ結婚できる。
でも私には既に心に決めてる人が別にいるし。
それを伝えてもなお、しつこく言ってくるから腹立つんだよね。
「結婚相手は見つかったか?」
「とっくにおるわい!いとこのレオと結婚するんだ!」
「はっはっはっ。そうだったな!地球上にいる狼と獅子の神獣持ち同士仲良くやれよ~」
そうゲラゲラと笑う声は聞いていて非常に腹立たしく、怒りと共に震えが止まらなかった。
「げっ!グリ、行くぞ!!」
いつものようにスイはグリフォンの神獣、グリに乗ってスイは逃げようとするが
「逃がすか!!行くぞ、ウォー!」
「うぉん!!」
同時に空へ飛び上がる中
『覚醒融合!!』
その瞬間、互いが白い光となって溶け合い、一つとなった。
「って待て!同世代で覚醒融合できるのお前だけ」
焦ったように止めようとする声が響く中、それを意に介さず一撃だけ食らわせることにした。
「ってあああああああああああああああ!!!」
どっごぉん!!
涙を浮かべていたが、もう知らない。
長い間ずっとからかってくるんだもん、我慢の限界だ。
覚醒融合した時の私は、ウォーのように白い体毛を纏いつつ
黒髪だったのが白髪に、焦げ茶の目がウォーと同じ金の目になっていた。
「お?相変わらずやってんな~」
フロイスが料理場で味見をする中、爆音と光はそこまで届いたようだ。
「ん。うまい!」
味見に舌鼓を打つ中、いつものように決着はついた。
いつもの如く、私の圧勝。
『これに懲りて、二度とからかってくんなー!!!』
そう叫びながら私達は融合を解き、空中にてウォーの背に乗った状態で戻り、家へと帰っていった。
それから後…
「ばっかもぉ~ん!!!!」
私は遺跡内で力を使ったことを、スイはからかいをやめなかったことを、国王である私の父上からそろって叱られた。
これもまた、いつものことである。
(力を使ったのを咎められたのは、遺跡が壊れることを危惧してのこと。
それほどに覚醒融合による力は圧倒的であると同時に、危険極まりないのである)
・特殊警務部隊
下記の7つの部隊に分かれ、各々に役割がある。
・美食専門部隊
未知なる味を探求し、未知なる自然を求め、未知なる美を求める部隊。
この国における料理の発展に努め、国民においしい食を与える役目を担っている。
・遺跡探索&防衛専門部隊
土に埋もれた遺跡を発掘し、東西南北各々で発展してきた未知なる文化を判明させ、その防衛を拠点とする部隊。
遺跡を探索し、その発掘と保護をしつつ過去の文化の発掘&研究に勤しんでおり、幾千年よりも前にはどのように過ごしていたかなどについて把握している。
・自然環境保護専門部隊
遥か昔から護られ続けてきた自然環境を護り続け、なおかつそれを汚すことから「動物と共に」護り抜き続ける部隊。
自然環境が汚される要因を研究しつつ、それらから護っている。
・肉弾戦専門部隊
日夜修業に明け暮れ続ける、肉弾戦を専門に特化した部隊。
自然の力を悪用する者達を迅速に倒すために奮闘し続けている。
・神法戦専門部隊
日夜修業に明け暮れ続ける自然の力を自在に扱いこなす戦法(神法)を専門とする部隊。
役目は肉弾戦専門部隊と同じ。
・神器&神獣研究専門部隊
神器と神獣、二つの力を一つにする共鳴融合や覚醒融合など、様々なメカニズムを日夜、追及&研究し尽くす部隊。
未知の力を発見、発展させていくことが役割。
・治療専門部隊
自然の力で治療させることに研究開発をし尽くし続ける部隊。
要するに、一瞬で様々な病気や怪我を治すことができるようにし、それを実行するのが役目。