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異世界召喚〜御蔵天兎の使う魔法〜  作者: よーいちコンクリート
御蔵天兎の異世界召喚
8/10

幕間〜リズ・スタンドッグ

『リズ・スタンドッグ』彼女はこの世界の有名人である。


災厄の女神、赤髪の麗人、クイーンオブ理不尽。などなど。


人々から見た彼女はあまり統一性がない。


そして、数多くの名前で呼ばれる彼女の名前を出せば人々からは様々な反応を見る事ができる。

眼を輝かせるものから、眼から光を失うもの。




そう、彼女は天性の気分屋であり、その持てる力で自由気ままに生きているのだ。


ただの気分で人を助け、興味のある依頼しか受けず、真昼間っから酒を飲む。


金が無くなれば恐喝するなり割のいい仕事を探すだけだ。



しかし、そんな彼女の気を惹く者があらわれる。



その日、彼女は良いカモを見つけた。世間知らずの新人冒険者だ。

出会った時から裸、挙句には防衛用の水堀に飛び込みリガーに襲われ死にかけているような馬鹿だ。



まぁ、ほっといて死なれても寝覚めが悪いと思い助けたのだが金を持っていたのは幸運だった。



そして飯を奢らせた上、まるでやる気のない師弟契約をチラつかせ金を巻き上げた。


後は街を去っておさらばだ。



しかし、昔の馴染みであるザックがリズの目の前にいる冒険者にいらぬ世話を焼いてしまった様だ。



しかし、彼女はこの状況に陥ってなお、目の前の冒険者を巻いて逃げるつもりであった。


一度手に入れた金は手放したくない。酷くシンプルな理由のみをもって。



そして、目の前の新米冒険者じゃとてもクリアできる筈のない賭けを提案をした。


ただ、彼女の投げる果実を避けるだけ。


しかしそれを回避出来るのは例えBランク以上の冒険者でも出来るものがいるかわからない様なものだ。


リズは逃げた後の、金の使い道を考えながらもぎ取った果実をそのまま、ノーモーションで投げたのだ。



結果は驚くべきものだった。


なんと目の前の少年は完璧なタイミングでリズの手から放たれた果実を躱したのだ。



リズは驚くと共に、考える。

(これは…もしかすると?)


そしてすぐに行動へと移した。少年のボディを狙い、最速で接近し、手加減を加えたボディブローを放つ。


(まぁ、これなら当たっても死にはしないだろ…)



しかし、その配慮すら、今回は必要のないものであった。

彼女の放ったボディブローは空を切り、風の塊を少年にぶつける事しか出来なかったのだ。


(確定だ。コイツ読めてやがる!これはもう金だの面倒だの言ってる場合じゃねぇな)


思わず口から笑みがこぼれそうになる。

まだまだ決して強いとは言えない目の前の少年。しかし磨けば必ず光ると言える程の才覚を感じたのだった。


「強さは磨いてこそだ!私を飽きさせるなよ天兎!」


しかし、その少年にこの声は届かない。

彼女がその速度をそのままに首の後ろを軽く叩き、彼の意識を奪ったからであった。


(まぁ、攻撃を読めてるのは褒めたいところだがやはり体がついてきていない…か。しかし、これで体が動く様になれば……。)



「後は、根性が足りるか…だな」


リズは自分の顔に張り付いた笑みに自分でも気づかないまま天兎を片手で担ぎ上げ、その場を立ち去るのだった。

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