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おいしい料理のつくりかた  作者: 紅葉
おいしい料理のつくりかた本編
35/82

夏の特別デザート タマちゃんと十和くん。

夏休み高校生お料理選手権が終わり、最終日の夜。部屋を交換した美晴たち。

女子部屋は恋バナでキャッキャうふふしている様子。

さてさて男子部屋は……。



【咲side】


「どーも」

「いらっしゃーい」


 ホテルの部屋はシンプルなツインルーム。

 扉を開けて入ると、ユニット式のバスルームと冷蔵庫。ベッドがふたつ並んだ向こうに、ソファーセット。

 カーテンを開ければ、透明感が沖縄らしいビーチが見える。

 自分達に割り当てられた部屋と同じ作りになっていた。


 十和雅也はベッドにごろんと寝転んだ体勢で、携帯ゲームで遊んでいたようだ。

 のそりと起き上がると、ベッドに胡座をかいて座った。


「うちの美香が無理いうてごめんな」

「いや、こちらこそ」


 助かった、と言っていいのか。

 残念だったと言うべきか。

 世の中そんなに甘い話はないよな。

 気になって眠れないくらいなら部屋を入れ替わって正解だったと言うしかない。


「あ、すまんけどそっち使ってくれる?」

「ああ……分かった」


 反対側の空いてるベッドに旅行カバンを乗せる。

 おそらくこっちが昨夜十和が使ったベッドなんだろう。


 彼女の残り香が残ってそうなベッドを、他の男に使わせたくない気持ちは分かるので、素直に頷いた。


 旅行カバンから週刊少年漫画を取り出し、自信もベッドにゴロリと横になった。


「それ、今週の?」

「そう。来るときに買ってきた」

「後で読まして」

「いいよ」

「…………」

「…………」


 しばしお互いそれぞれの世界に浸る。


「なあ、やっぱり玉野くんもおうち食いもん屋なん?」

「定食屋。十和くんは?」

「うちも。洋食屋」

「そうか」

「うん……」


 再びしばしの間それぞれの世界に浸る。


「残念やったよな」

「そうだな」


 ぱらりとページを繰りながら、十和の話に相槌をうつ。


「グルクンのカルパッチョが優勝ってな」

「確かに旨かった」

「そやけど、誰にでも考えつくやん!?」

「まあ……」


 そこらは運としか言い様がない。


 読み終わった漫画雑誌を十和のベッドに置くと、あくびをひとつして仰向けに転がった。


「良かったらどーぞ」

「ありがとう」

「どういたしまして」

「……なあ」

「ん?」

「美晴ちゃんて……って、一緒に来てるぐらいやから玉野くんの彼女やんな」

「うん……そう」


 少し眠くなってきた。


「そやわな」


 何が言いたいんだ?

 急に十和がそわそわしだした。


「十和くんは? 熊野さんは彼女じゃないのか?」

「彼女やで!! 正真正銘彼女!!」

「あっそ」


 何を必死になってるんだか。


「や~、玉野くんクールやな~」

「そうかな。そうでもないと思うけど」

「あ、これありがとう」

「うん」


 十和は漫画をぱらぱらと捲りだした。


 シャワーして寝るか……。





【十和side】



 玉野咲くんはあくびをひとつすると、眠たげにベッドに横になった。


「なあ、自分モテるやろ」

「ん……そんなこと、ない」


 うわ言のように素直な返事が返ってくる。こらオモロイ。


「なあ、美晴ちゃんと何処までいっとるん?」


 玉野くんは目をとろんとさせている。よっぽど眠いらしい。


「あーー? ……どこ……? 遊園地とか?」

「そうそう、USJとか天王寺動物園とか~ってそんなわけあるかい! 旅の恥は掻き捨てじゃ、白状してみ!」


 うーー、とかむーーとか、言いながら玉野くんは枕を抱き抱えてうつ伏せになってしもた。


「……十和は?」


 ややあって返事があった。


「そんなもん。彼女との秘めやかな思い出を面白おかしく話せるかい」

「あっそ」


 玉野くん! 本気で寝る態勢やん、それ。


「あ! ちょっと君、待ちぃな」

「肌ツヤツヤな奴に言いたくない……」


 あ~あ、完全に拗ねてしもた。


「なあ、教えたろか。彼女とそういう雰囲気に持っていくための秘技」


 玉野くんの肩がピクリと反応した。ヨシヨシ。


「教えてあげてもいいねんけどなーー、どうしようかな~~」


 焦らして焦らして焦らしまくる。


 あ~~楽しいわぁ。


 遊んでいたら、突然玉野くんがガバッと起き上がった。仰向けに寝っ転がっていた俺に覆い被さるように跨がり、両腕は頭の両脇に付いている。

 眠たいのもあってか、目が据わっている玉野くんは、うっすらと悪い笑みを浮かべている。


 こんなところ美香に見られたら狂喜乱舞やな。

 美晴ちゃんやったらどうやろ。

 誤解して泣くんちゃうか。


「……聞いて欲しいんだろ。さっさと言いなよ」

「はい……ごめんなさい」


 まさにこれなんやけどな。

 壁ドン通り越して床ドンの応用編、ベッドドンですか、なかなか上級技使いよる。


 相手が俺なんが残念やけどなーー。


 とりあえず謝り倒して上から退いて貰った。


「で? 十和はいつ?」

「あーー、ちょいまえ」

「どこで?」


 なんやかんや言うて食い付いてくるなー。


「俺んち」


 なんや玉野くん頭抱え込んでしもた。


「俺んち家の下で店してるから」

「あーー、そりゃ……」


 あかんわ。


「ま、急いては事を仕損じるとも言うし、な」


 玉野くんはちらっとこちらを向いたあと、ごろりと寝返りをうって向こうを向いてしまった。


 うん、ほんまごめん。


 

やっぱり男子も恋バナですか……(*´艸`*)


そして美香ちゃん腐女子疑惑……?Σ(゜Д゜)

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