3話め
真水君と矢野原さんが通っている高校の教室一のAで矢野原さんは授業中に配られたプリント類を束ねている。その時、複数の紙が矢野原さんの指を擦ると、切り傷になってしまった。
「痛~い! 指切れちゃった」
自分の凡ミスから切り傷を負ってしまった矢野原さんが傷の痛みに耐えている。
「大丈夫ですか、お嬢様ぁぁぁ―――!!」
肌全体を守りながら体当たりで窓を割って入ってくる彼女のボディーガード、その窓の近くに座っていた(窓際の席)真水君が被害に遭ったのはいうまでもない。
「むっ! これは早く止血しないと」
「こっちも止血を…」
真水君のおでこや頭に数ヶ所ガラスの破片が刺さっているがその彼を気にしない迷彩服のボディーガードは気にしてくれないのであった。
切り傷を負っているお嬢様を見て、ボディーガードの男は治療者を呼びかける。ボディーガードの割には何も持っていなかったようだ。
「衛生兵!! 衛生兵はいないか!?」
突然の乱入者にクラス内は騒然となる。
「バンソウコウで良ければ」
ガラスの破片が刺さってしまったものの、そこまで深手ではなかったっぽい真水君が矢野原さんにバンソウコウを渡す。彼は深手ではなかったかもしれないが、出血しているので早く保健室に行った方がいいかもしれない。
「ありがとう、助かったわ」
感謝の言葉を伝えてくれた時の彼女の笑顔が可愛すぎて、真水君は矢野原さんを更に好きになってしまった。
「よし!! お前を衛生兵に任命する」
ボディーガードの男に任命されて彼は呆気に取られていた。
「良くわかんないけどおめでと~」
クラスメイト達が何となくお祝いする空気に真水君は流されたままになるのであった。
※もちろんこの後に真水君は怪我の治療に保健室に行きました。
「いろいろ迷惑かけてごめんね」
矢野原さんは真水君に被害(迷惑)をかけたことを悪いなと思っているみたいだが、彼はまんざらでもない。
「いやいやっ」
真水君は照れながらも自分の気持ちが少しでも伝わらないかと信じて彼女に本音をぶつける。
「矢野原さんのためならこれくらい……」
「ホント!? 嬉しい!」
彼女は喜びを表現したかと思ったら、急に黒い部分を出してとんでもないことをどこかに電話をかけて伝えているので(本気で!?)という心境だ。
「ボディーガード志願者一名追加!」
矢野原さんのお茶目な一面を見れたかと思ったら、真水君はボディーガードに取り押さえられる。
「やだぁ、冗談よ♪ なんちゃって」
しかし彼はボディーガードに志願書を書くように捕まっているので冗談ではなくなっていた。
(怖い人も一緒だけど……矢野原さんと話す機会が増えて嬉しいな)
ボディーガードの方関連の巻き込まれを抜きにすればと真水君は彼女と一緒に行動出来て嬉しいとプラス思考に考える。
(あの不自然な地面とクレーン車は……もしや敵が!?)
矢野原さんが地面のでっぱりに転びそうになっているのを見て、真水君は彼女に注意するようにと声かけした。
「矢野原さん、あぶなーい!!」
彼女を危険から遠ざけるように自然と体が動いた彼、罠に引っかかってしまった。
「って落とし穴―――!?」
矢野原さんの行動はテストだったらしく、彼女とボディーガードの男が目で合図し合う。
「ボディーガード試験は合格っと」
これから僕はどうなるんだろう?
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