☆第八話☆『協力者』
登校三日目。私たちは今日も挨拶をした。挨拶を返してくれる人が増えたような気がした。
「みんな結構挨拶を返してくれるようになってきたわね」
「うん。僕たちの印象が変わってきてるのかもしれないね」
「これなら、私たちと友達になってくれる人が出てくるかもしれないね」
私たちは期待に胸を膨らませていた。しかし、放課後まで誰も声を掛けてくれなかった。そして、放課後の三人の会議が開かれた。
「私たちのやってることって無意味なのかな?」と、私は尋ねた。
「そんなことは無いよ! 少しずつだけど、効果が出てるよ」と、立花くんが言った。
「そうだよね。明日も頑張ろう!」と、桜姫が言った。
ガラガラガラ……。急に教室のドアが開き、一人の人が立っていた。
「田中、何を頑張るんだ?」
そこに立っていたのは、原先生だった。
「せ、先生!? どうしてここに?」
「なんか騒がしかったから、様子を見に来たんだ。それで田中、何を頑張るんだ?」
「え、えっとですね……」
「挨拶ですよ」と、立花くんがフォローをした。
「挨拶か。何で挨拶を頑張るんだ?」
「えーっと、……なんとなくです」
「そうか。なんとなくで、こんな会議みたいなことをしているのか」
「…………」
「田中、本当の理由は何だ?」
「男子と……仲良くなりたかったからです」
「そうか。男子と仲良くなって、何をするんだ?」
「勉強を教えてもらうんです」と、私は桜姫をフォローした。
「なるほど。……別に男子だけに限定する必要は無いんじゃないか?」
「桜姫が咄嗟に口走っただけですよ。もちろん女子とも仲良くなって、勉強を教えてもらいますよ」
「そうなのか田中?」
「は、はい。そうです」
「それならそうと早く言えよ。先生も協力してやる!」
「『ほぇっ?』」
三人とも一斉に驚いた。
「何だその声は? 先生が協力するのは嫌か?」
「『いえ、滅相もございません』」
三人とも息ピッタリだった。
「お前たち、本当に仲が良いんだな。よし、俺は明日からお前たちに協力する」
「『よ、よろしくお願いします』」
「おう、任せとけ! それじゃあまた明日な」
なんか知らないけど、先生が私たちに協力してくれることになった。…………ややこしい事にならなければいいけど。




