☆第三話☆『まずはお友達から』
新しい恋を見つけると決心した私と桜姫は、まずは男友達をつくることにした。
「陽、まずは男友達をつくることが大切よね」
「そうだね。まずは男子と仲良くなる必要があるね」
「そうよ。そして、最初に誰と仲良くなるかが重要よ! 仲良くなる人を間違えたら、高校最後の一年は悲しく寂しいものになること間違い無しだわ」
「桜姫は大袈裟だわ」
「大袈裟じゃないわよ。男なんて、みんな獣よ! 化けの皮を被ってるの!」
「そうなの!?」
「そうよ! 陽は男のことをまるでわかってないわね!」
「ご、ごめんなさい」
「な、なんで謝るのよ?」
「桜姫の気迫にびっくりして……つい……」
「男は獣ってことはしっかりと認識しておくこと。わかったわね?」
「りょ、了解です! 隊長!」
「た、隊長って何よ!?」
「なんかそんな感じがしたから」
「わ、私は隊長なんて柄じゃないわ」
「桜姫が照れてる。可愛いー」
「べ、別に照れて無いわよ! と、とりあえず誰かに声を掛けてみるわよ」
「わかりました! 隊長」
「隊長って呼ぶのやめなさーい!」
「また桜姫が照れてる。可愛いー」
「もう! 陽のいじわる! ……ま、いいわ。とりあえず、誰かに声を掛けるわよ」
桜姫はクラス中を見渡した。そして、あることに気がついた。クラス中の視線が自分たちに集まっていることに……。
もちろん、いつからこんなことになっているかなんて知る由もなかった。
「……やばいわね」と、桜姫が小声で言った。
「何が?」と、陽も小声で言った。
「今までの私たちの会話を、男子に全部聞かれてたかもしれないわ」
「うん。知ってるよ」
「な、何で教えてくれなかったの!?」と、桜姫が大声で言った。
今度はクラス中がざわつき始めた。
「や、やばっ」
桜姫は赤面し、小声で、
「何で教えてくれなかったの?」と陽に問い掛けた。
「桜姫がすごく楽しそうに話してたから、言えなかった。ごめん」
「は、陽は悪くないわ。悪いのは、気づかなかった私の方よ。…………これから、このクラスは、私たちにとって戦場になるわよ」
「なんかホントに隊長みたい」
「もう何でもいいわよ!」
私と桜姫は、アウェイな状況の中で、男子に声を掛けることを決心した。




