☆第十三話☆『坂下くんの家に行ってみない?』
登校八日目。今日は坂下くんは休みだった。風邪でも引いたのかな?
朝のホームルームが終わり、桜姫が私の席の所に来た。
「坂下くん休みだね」
「……うん」
「寂しい?」
「……ちょっと寂しいかも」
「もぉ~、素直じゃないなぁー。かなり寂しいんでしょ?」
「…………うん」
「じゃあ、今日坂下くんの家に行ってみない?」
「行くって……どうやって?」
「うーん、……わかんない」
「わからないのに、坂下くんの家に行くなんて言ったの?」
「ごめん。……どうすれば、坂下くんの家を見つけることができるかな?」
「先生に聞く……とか、どうかな?」
「先生、教えてくれるかな?」
「……たぶん教えてくれないね」
「先生が何を教えてくれないんだ?」と言いながら、先生が横に立っていた。
「せ、先生!?」
「赤城、何でそんなに驚くんだ?」
「お、驚いてないですよ」
「そうか。……それで、先生が何を教えてくれないんだ? 先生が教えられることなら、何でも教えてやる」
「えーっと…………」
私は答えに戸惑っていた。
「先生!」と、急に桜姫が言った。
「田中、どうした?」
「坂下くんの家にプリントを届けたいんですけど、住所を教えてくれませんか?」と、桜姫がフォローをしてくれた。
「プリントを届けてもらうのはありがたいんだが、住所を教えるのは……」
「じゃあ坂下くんに、家に行っていいかどうか、確認をしてください」
「何でお前たちが届けるんだ?」
「私たちは“友達”だからです」
「……わかった。放課後までに確認をしておこう」
「あっ! 確認をする時に、私と陽で行くって伝えてください」
「わかった。それじゃあ、結果は放課後に」
「ありがとうございます」
原先生は、職員室へと戻っていった。
「桜姫……ありがとう」
「別にいいよ。……でも、ホントは陽の口から伝えて欲しかった」
「ごめん。言おうと思ったんだけど……言えなかった」
「ま、しょうがないよ。坂下くんの家に行ったら、たくさんお喋りしてくるんだよ」
「えっ? 桜姫は行かないの?」
「私は用事があるから、行けない。だから、陽一人で行ってきなよ」
「……わかった。次は頑張る!」
そして、放課後になった。
「赤城、田中。坂下に電話をして、確認をしたぞ」
「それで、結果は……」
「OKだそうだ」
「ありがとうございます!」
「これが住所だ。じゃあ、このプリントを届けてくれ。よろしくな!」
「はい。任せてください」
原先生は教室を出た。
「陽、ここからはあなたの独壇場よ。頑張って!」
「うん! じゃあ行ってくる!」
私は桜姫を教室に残して、坂下くんの家へ向かった。
「陽…………大丈夫かな?」




