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廃屋から漏れる騒音について

作者: マー・TY
掲載日:2026/08/04

 ■■県■■市■■町■丁目に位置する廃屋からの騒音について、以下のように報告致します。



 20■■年■■月■■日、午前0時12分。近隣住民からの通報によって、本事案は発覚致しました。

 午前0時頃〜午前5時頃の間、当廃屋から男女の笑い声、食器がぶつかるような音が漏れているとのこと。

 この通報を受け、当所の職員2名(以降SとKと記す)が現場へ向かいました。

 尚、SとKはそれ以降消息を絶っています。

 午前7時15分、当局は消息を経った2名の行方を追い、当廃屋へ急行致しました。

 尚、当廃屋は一戸建ての住宅であり、元住民は夜逃げしたものと思われます。屋内の家具は運ばれず、残された状態となっていました。

 SとKを発見できませんでしたが、当廃屋2階の部屋にて、Kの物と思われる音声レコーダーを回収致しました。

 以下は、音声レコーダーによる記録です。



K:あーあー。こちらKこちらK。聞こえますでしょうか。これより、音声による記録を残したいと思います。


(Kが話している間、微かに男女の笑い声が聞こえる。)


K:ここ空き家っていう話でしたけど。


S:どうせ大学生が溜まり場にしてんだろ。


K:そういう感じには聞こえないですけど。


S:何にせよ、人が居るなら追い出すだけだ。早く入るぞ。


(ドアを開ける音と、玄関に上がる音。)


(笑い声がより聞こえやすくなる。)


(ガラスが割れる音が響く。)


S:うおっ。


K:おぉ。


S:空き家だからって好き勝手し過ぎじゃないか。


K:でも空き家にしては綺麗っていうか。家具も最近まで使われてそうですよ。


S:本当に空き家か疑わしくなるな。奴らは2階か。


K:大学生、なんですかね。どちらかというと子供っぽいような。


S:どっちにしても補導するだけだ。行くぞ。


(床を踏みしめる音。)


(階段が軋む音。)


(その間も、笑い声は続く。)


K:なんか、不気味ですね。こんな暗い中子供の笑い声だけ聞こえるって。


S:人間相手だ。怖いなんてあるか。


K:いやでも、なんかおかしくないですか。ずっと笑ってて、会話なんて全然聞こえてこないですし。


S:ガキなんてそんなもんだろ。


K:いくら子供でもちょっとは話すでしょう。さっきから嫌な予感がするんですよ。、幽霊じゃないですよね。


S:居るわけないだろそんなもん。


(足音が変わる。ここで2階に到着したものと思われる。)


S:この部屋だな


K:そうですね


(その瞬間、笑い声がピタリと止む。)


K:きっ、気づかれましたかね


S:そのようだな


(ドアノブを回し、ドアを開ける音。)


S:おい、こんな夜中に、うぐ、あぁ。


(Sの叫び声。)


(ドアが乱暴に閉められる音。)


K:えっ。ちょっと。Sさん。Sさん


(Kがドアを強く叩く音。ドアノブを回して引く音が繰り返される。)


(微かにSが悶える声と、機械音のようなものが聞こえる。)


(以上のやりとりが、31秒続く。)


K:Sさん。Sさっ、うおっ


(ドアが開く音。)


(床を駆ける音。)


K:Sさん。Sさん。Sさん、どこですか。えっ。


(ここで13秒、Kが沈黙する。)


K:なっ。なんだよ、これ。


(鈍い音が鳴る。)


(重いものが床に倒れる音。)


(機械音が鳴る。)


ここで記録は途絶えている。



 音声レコーダーを拾った部屋は、6畳程の子供部屋と見られます。

 窓は開放されており、そこから騒音が漏れていたものと見られます。

 ベッドは整えられており、使われた痕跡は見つかりませんでした。

 床には複数の人形が転がっており、それに紛れ、割れたワイングラスと正体不明の赤い液体、人間のものと思われる剥がれた爪、髪の毛、皮膚の一部が発見されています。

 当局はSとKの行方を追いつつ、当廃屋の調査を進めて参ります。

 報告は以上です。

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