1.勇者一行との不思議な出会い①
東京、その一角。
溢れかえる人々の喧騒の中で、一際目立つ男がいた。
自己主張の極みのような奇抜な格好をした人が、それも一人や二人ではなく二桁単位でいる、そんな群衆の中で。特に飾った様子のない一般的な服装の男が、それでも人々の目を惹いていた。あるいはその場で彼に視線を向けない人間は、視線を逸せる人間は、一人もいなかったのかもしれない。
「───」
彼の目立つ部分といえば、人工物らしさの一切ない、おそらく地毛と思われる金の髪。
それなりに長いそれに半分隠された瞳は、さらにその上から色眼鏡によって隠され、色も形も曖昧になっていた。その下にまで目を向けると、彼が着ているのは真っ白のワイシャツと真っ黒のズボン。シンプルな分、彼のスタイルの良さを引き立てていた。
「まいったな…。トウキョウの道はこんなに複雑なのか」
その手にはメモ帳の切れ端のようなものを握っており、彼はそれを見ながら真っ直ぐ歩いている。歩きスマホ同様、人と衝突する可能性のある危険な歩行法だが、やはり彼から目を離す者はその場におらず、その危険はほぼゼロだった。
「──っと、ごめんな」
ただしそれは人間に限る。
道端のよくわからない食べ物の欠片を啄んでいた鳩が、彼に蹴飛ばされる寸前に羽ばたき、離れてゆく。その一羽に触発されたように、周りの十数羽も飛び去っていく。
「俺も飛べたらよかったなぁ。ほんと」
飛び去る鳩の群れを眺めながら、同じく飛び去っていく一枚の紙切れを視界に収める。先程まで彼が持っていた、おそらく地図らしきものだった。
「あー」
遅れて彼が手を伸ばして掴もうとするが、運悪く吹いた突風により、紙切れは飛ばされてしまう。そして、
「マジで、どこにいんだろなあいつら」
そう呟いた彼の声も、風となって消えるのだった。
◇
雉本ツバメは不登校である。
可愛らしい発音の名前だが、その実ツバメは男で、そして不登校である。
二度重ねていうほどにツバメの不登校は、その理由も含めてあまり重いものではないが、それでもここ数ヶ月ツバメは学校に通っていない。
そんな不登校初心者雉本ツバメが、今日も怠そうに起床した。
時刻は朝五時半。不登校及び引きこもりにありがちな昼夜逆転には、幸運に彼はまだなっていなかった。
「──ってことで、いつもありがとうな。文子」
「キュー」
ツバメの毎日の無駄な早起きの要因は、彼の飼い鳥、文鳥の文子。
彼女が毎朝ツバメのベッドに潜り込み、朝になったら額をつついて起こすのだ。多分、早起きの手助けというより腹が減った合図なのだろうが、目覚まし時計としては優秀だ。
二度寝したい欲求に駆られながらも、仕方なく体を起こし、着替えてからリビングに向かう。
『──渋谷を中心に東京各地で起こる連続殺人事件は、未だ解決の目処が立たず──』
リビングに行くと、同じく文鳥の文吉が勝手にテレビをつけて遊んでいた。
最近リモコンの使い方を覚えたようだ。
「東京も物騒になったもんだな。なぁ?」
「キュ」
肩に乗った文子と短く会話しつつ、文鳥達と自分の朝食を用意するため、今度はキッチンに向かった。トースターに食パンを一切れ入れて、焼き上がるまでにインスタントコーヒー用の湯を沸かす。
──ツバメは一人暮らしだった。
両親は彼が幼い頃に事故で他界。その後彼を1人で育ててきた祖父も、ツバメが高校に入学する少し前、現在から大体二年前に亡くなった。その後、何かしらの事業で大成した祖父の莫大な遺産を、ツバメは一人で受け取ることになる。
「無駄にでかいんだよなぁ」
遺産には祖父が東京に所有していた大きめの館も含まれる。ツバメの言う通り、一人で暮らすにはただ無駄に大きいだけの住宅である。お陰で鳥籠のある庭まで向かうのにも一苦労だ。行って戻ったらパンが焼けているだろう。
と思った通り、餌をやり終えて戻ったら焼けていた。ちょっと焦げていた。
『速報です。羽田空港上空で局所的に発生した突風により、同空港は全便欠航となり──』
「やっぱり苦いな…」
見た目はちょっと焦げた程度だったが、齧ってみると明確に味が落ちてる。焦げの味しかしなかった。
『──六本木では、オフィスビルの窓ガラスが次々と大破する、不可解な──』
「チチッ?」「…」
ニュースをなんとなく眺めながら指先で文子の頭を撫でていると、彼女は不思議そうにツバメの目を見てくる。
『渋谷連続殺人事件の被害者数が、遂に20人を超えました』
そして、
「…なあ、僕が死んだら悲しいか?」
鳥相手に通じない質問を投げかけたところで、ツバメの朝の支度が終わった。
今日彼は。雉本ツバメは。連続殺人事件、その渦中たる渋谷に向かう。
◇
「20人超えだってさ〜。渋谷やっべー」
「なんでそんな楽しそうなのよ…」
辻谷雲雀が通う都立 高校の2年A組は、朝から連続殺人事件の話題で持ちきりだった。
殺人事件だけではない。この数ヶ月、都内では毎日のように数多の怪事件が起こり、その度に世間を騒がせてきた。雲雀自身はそういった事件の数々を「くだらない」と切って捨て無関心を貫いているが、先の会話のように、友人の興味関心には口出しできない。
「証拠も残さず20人っしょ?令和のジャックザリッパーじゃん!」
「あいつ5人しかやってないわよ」
「『しか』ってのもちょっと不謹慎だけども。でも比べると少ね〜」
そもそも、と前置きして雲雀は、
「この監視カメラ社会で20人なんて現実的じゃないと思うわ。まだ集団自殺説の方が…」
「──じゃあもう宇宙人の仕業じゃね??」
「はぁ?」
テンションが上がっている友人に現実を突きつけようとした雲雀だったが、それを聞いた友人の突拍子もない返答に怪訝な顔をする。
「ほらさちょっと前に琵琶湖にネッシー出たって聞いたし」
「ネッシー格落ちしすぎでしょ」
さすがに面倒になってきたので、ため息を一つついて教卓の方に向き直る。時計を見ればちょうど朝のホームルームが始まるところだった。友人も、上がり切ったテンションのまま自分の席に戻った。席に戻る際「宇宙人きたこれ〜」とか叫んでいるのを見て二度目のため息が出そうだったが、なんとか耳を塞いで堪えた。
「九州とかで一人暮らししようかしら…」
──東京はぶっ壊れた。それが最近の東京への雲雀の感想だ。
彼女がそう思い始めたのは、大体四ヶ月前。夏休みが終わってすぐ。当時は今ほど明確な事件などは起こっていなかったが、東京生まれ東京育ちの雲雀には、都内各地に潜む違和感が見えていた。
その段階では雲雀しか感じていなかった違和感が顕在化したのは、今からほんの一月前。
12月26日、スカイツリーがぽっきり折れる「クリスマス・ツリー事件」が起こる。被害者数は脅威の167名。それから「新宿局所地震」「目黒区集団失踪事件」ときて、今回の連続殺人事件へと至る。この一カ月かそこらで、東京での命の価値は恐ろしい程に下がったように思える。地価もかなり下がったが、危険度も相応に上がっており、転入者はむしろ減っていた。どころか転出者が増えていった。
その例に漏れず、雲雀も東京から離れての一人暮らしを計画していたが、生まれ育った地を離れるのには相応の勇気と覚悟を要する。
「ま、東京以外が安全ってわけでもないけど」
「ネッシーいるしね!」
「まだ言うか」
東京の異変について思考に耽っていると、いつのまにかホームルームが終わっていたようだ。これから三学期の始業式が行われるが、そちらも同様、ぼーっとしていたり寝ていたりで終わるだろう。
今はただ、窓の外を眺めて脳内を虚無にする練習を──
「──なにあれ」
とそこで、窓の外をすっ飛んでいく何かを目にした。
「どしたんひばりん?」
「いやなんか、外でなんか飛んでなかった?箒みたいな」
「魔女!?」
「そういう感じじゃなくて…」
飛行というよりも、文字通り、嵐に巻き込まれた看板のようにすっ飛んでいった。
それを見て雲雀は、ついに何かの線が切れたように、突然行動を起こす。
「…沙季。私、今日はもう帰るわ」
「なんでいきなり??」
痛そうに頭を抑えながら、雲雀は教室のドアへ向かう。
しつこすぎたかと焦る友人に背を向けて、そして去り際に振り返って一言、
「私は幻覚が見えたから帰ったって先生に言っといて」
「それはいいけど…って、ちょっと待ってって!」
「何?」
言いたいことは言ったとばかりに立ち去ろうとする雲雀を、沙季が引き止める。
「さっきはふざけてたけど、でも、本当に今の東京危ないんだからね。あんまり一人で…」
「わかってるわ。私が誰より。だからもう──」
「あ、ほらまた不審者情報!『魔法少女を探して爆走するおじさん』の目撃情報があっちこっちに」
沙季がスマホでその不審者情報を見せつける。
「なんで沢山いる風なのよ…」
雲雀は少し呆れの入った顔だが、沙季の表情は至って真面目である。
彼女は、とにかく、と前置きして
「気をつけてね」
と、まだ余裕そうな顔の雲雀に言い聞かせる。
雲雀はそれを聴きながらも返事はせずに、足早に教室を立ち去った。
◇
「なにが、連続殺人事件…!」
苛立ちと共に、乗り込んだ車両の吊り革に雑に片手をぶら下げる。
『次は──日の出──』
駅名を告げるアナウンスの声すら鬱陶しい。
これが、台場を通って豊洲まであと十数駅。とても耐えられそうにない。道中目にすることになる様々な幻覚を思えば、尚更のことだ。
「ああ、クソ!」
東京はぶっ壊れた。
愛する場所は滅茶苦茶になって、大切な人はその命を脅かされて。色んなものが全部、訳のわからないもの達に傷つけられる。大好きな東京が壊されて。遂には、沙季のいる学校にまで変なことが起こった。
なら、東京で生まれ育って十七年。東京を愛し、東京に愛された少女、雲雀はどうするべきか。それなら、だったら。
「だったら私が、どうにかするっきゃないでしょう」
瞳に怒りを滾らせて、車窓から街を眺める。
新橋から豊洲への列車はモノレールのように高架上に作られており、上から街を一望できる。
外を見ると、真っ白で大きな鳥が数羽飛んでいる。東京にはこんな鳥いない。
『次は──芝浦ふ頭──』
上半分が抉れたビルが見える。普通いきなりビルは抉れない。
『次は──お台場海浜公園──』
車内を見渡せば、よくわからない、兎と猫のキメラのような生物が歩いている。他の乗客は気づいていないようだ。
「気持ち悪い幻覚…」
雲雀は謎の生き物から距離をとった位置で再び吊り革を握る。
『次は──』
その上、
「お台場にはドラゴン、ね」
お台場の広大な埋立地の上には、巨大なドラゴンが鎮座していた。
たまに火を吹いたり翼を羽ばたかせたりしている。今日見た幻覚の中で最もサイズの大きい幻覚だった。思わず旅行先で巨大な建築物を見た時のようにスマホで写真を撮ってしまったが、巨大ドラゴンは写真には映らない。幻覚なのだから当然だろう。
やがて車窓からドラゴンが見えなくなると、青い海を背景に、げっそりとした自分の顔が窓に映った。度重なる幻覚によって、かなりの疲れを感じさせる顔になっている。
「幻覚か、本物か。…本物なら、私だけに見えてる。私しか、なんとかできない」
変な鳥や怪物が幻覚じゃないなら、東京の異変にも説明がつく。
同時に、オカルト的な現象と、中二病的な自身の能力の存在までもが証明されてしまうが、
「東京が元に戻るならなんだっていい」
もう一度覚悟を決めて、キリッとした自分の顔が車窓に映るのを確認して、雲雀はスマホを取り出す。東京をなんとかする。ならばまずは連続殺人事件、渋谷から対処するべきだろう。何をすればいいかはこれから考える。時間はある。そのために早退したのだから。
「渋谷のニュース…最初に事件が起きた場所は───」
と、殺人事件の詳細を調べ始めたその時。
「⁉︎」
ドッ、と、車体の下側を叩くような強い衝撃と、音があった。
バランスを崩す。背中から倒れそうになるが、倒れるより速く床についていた足が持ち上げられる。
少しするとその感覚も消えたが、今度は身体中の内臓という内臓を持ち上げるような気持ち悪い感覚が襲いかかった。
「う、わ、あぁあ」
これは、浮遊感というやつだ。上に上がる力も、下がる力もゼロになって、一瞬重力から解き放たれる感覚。
きっと宇宙はこんな感じで、絶えず内臓をひっくり返される気持ち悪い感覚に耐えられないと、宇宙飛行士とかにはなれないのだろう。
そういえばちょっと前にもそんなことを思った。
確か夏休みに、舞浜で。あれ、なんていうんだっけ。タワーなんたら。考えてる暇はない。あのアトラクションと同じ感覚、それは、つまり
「きゃあああああ!!」
落下。
雲雀の乗っていた電車は、下から突き上げてくる何かに衝突したことで、大きく空へ向かって上昇。上へのエネルギーを使い果たすと、今度は重力によって落下していく。
とっくに線路からは外れているだろう。このまま落下すれば、乗客全員、車体と一緒にぺちゃんこである。そのあとはきっと、台場の海の藻屑。
「っ!…冗、談じゃ…!!」
冗談じゃない。東京のため何か行動を起こす前に、電車と一緒にお陀仏。何にぶつかったかもわからず、東京も救えず。そんな結末、許せない。
──そう雲雀が思ったと同時、彼女のすぐ隣の窓に、大きく亀裂が走る。
「!」
粉々に割れた窓から何かが侵入する。
その驚きで目を見開いた雲雀が見たのは。
「───」
真っ赤な髪を靡かせ、銀の鎧に身を包んだ女の姿であった。
◇
ちょうど時を同じくして。
日本が誇る大橋、レインボーブリッジでは、黒い車体を煌めかせたバイクが一台、走っていた。風を切り自動車を追い抜き、誰も追いつけまいと橋の上を爆走する。
そのバイクの上には、二人の男が座っている。
片方は小柄な体格で、ライダースーツを着ていると性別が判別しづらいが、確かに男ではあった。
「うおお⁉︎なんだありゃ!電車が、鯉みたいに!」
「やばいっす!もっと速度あげて!」
前に座る大柄な男が声を上げると、後ろの男、というより少年が過剰なまでに反応した。落下した電車による被害がこちらにまで届くことを恐れたからだ。
「いや、おめえどうにかしなくていいのかよ!僧侶だろ⁉︎」
「流石に力不足っすよ!僧侶なんだと思ってんすか!」
大柄な男が肘打ちして少年に訴えるが、少年の方は首を横に振って全力で拒否している。
「多分、勇者とか戦士ならなんとかできるっすけど…」
「つっかえねえ!本当に僧侶かよ」
「僧侶なんだと思ってんすか!」
「そりゃ僧侶は僧侶だろ」
「ゲシュタルト崩壊っす…」
大柄な男も半分諦めて、バイクの速度を上げていく。周りの自動車も、事態を把握してか前へ前へと押し進んでいった。
「いやぁ、力不足で申し訳ない。中の人達、マジ、アーメンっす」
「……」
少年がどこからか取り出した安っぽい十字架に祈りを捧げる。
それを見て、男は。
「…僧侶だろ!!」
天高くそう叫ぶのだった。
◇
炎のように赤い長髪に、血のように紅い瞳。頭部以外の全身を包む鎧を着て、腰にはロングソードを刺した長身の女。切れ長の目は冷徹に車内の状況を見渡す。
女が現れてから、状況の変化は早かった。
「なっ⁉︎」
彼女は雲雀を一瞥してから、驚くべき速度で後方車両の方へと走り抜ける。
まるで強い風が目の前を吹き抜けたかのようで、雲雀は少しふらついた。空高く登った車体の中でそのふらつきは致命的で、雲雀は尻餅をついてしまう。
そんなことお構いなしとばかりに、今度は反対側から風が吹いた。女が一往復して戻ってきたのである。女はそのまま前方車両へと走る。
「!」
雲雀が目を凝らしてその様子を見ると、何やら女は乗客の一人一人に手を触れ、何かをしているようだった。女が通り過ぎると、そこにいた乗客は糸が切れたかのようにその場に倒れ込む。女は、乗客全員を一人ずつ気絶させてまわっているのだ。
一体なんのために、と雲雀が思っていると、いつの間にかその作業を終えた女が戻って来ていた。
「話は後だ」
女は一言そう言い残し、入ってきた時と逆の動作で、窓枠に手をかけて勢いよく外へ飛び出す。
「ちょっと待っ──!」
女を追って雲雀も窓から身を乗り出す。が、現在地がとんでもない上空であることを思い出し、すんでのところで窓枠を掴み静止する。割れ残ったガラスが掌に刺さって痛いが、そんなことより女を目で追うことの方が大事だ。
「『守護の大楯』」
女は地上に降り立ち、何かを唱える。雲雀からは豆粒同然に小さく見えていた女だったが、その声だけははっきりと、脳に直接響くように聞き取れた。
唱え終わると同時、強烈な光が、辺り一体を照らす。
光が収まるとそこには、巨大な『盾』があった。
列車一つを超えるほどの大きさを誇るそれだったが、確かに盾だとわかる形状である。巨大な、光の盾だ。
「これしきのこと!」
女は光の盾を上に掲げて、跳躍。
恐るべき跳躍力で、一瞬で列車の下に辿り着き、そして。
「ぐっ…!」
二度目の衝撃。
今にも地面に激突すべく自由落下をしようとしていた列車が、頂点で止められる。光の盾が下から支えたのだ。
「『重力無効』」
強烈な揺れと吐き気に耐える雲雀を他所に事態は進んでいく。
女はもう一度別の詠唱をすると、両手で盾を支え、踏ん張るように足を肩幅に開く。
「なかなかに、重いな。ここの馬車は…!」
離れて見れば、女がバーベルのごとく列車を持ち上げているようだ。
そのまま、列車と光の盾、そして女はゆっくりと高度を下げていく。
──しばらくした後、三度目の衝撃と共に列車が安全な地面へと乗せられ、大事故に終わるかと思われた一件は無事に解決した。
「な、なにこれ…嘘、どうなって…??」
謎の女の一連の救出劇を見届けて、何が起こったか頭で理解しつつも心で理解し切れない雲雀。
その目の前に、救出劇を見事に演じた張本人たる、謎の女が立つ。
「話は後だ、と言ったな」
尻餅をついたまま立ち上がれないでいる雲雀の上から、女の冷たい視線が刺さる。全く落ち着いた素振りを見せない雲雀を他所に、女は話を切り出す。
「まず、お前。───私が見えているな?」
これが、ある女戦士と雲雀の、最初の会話だった。




