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いのり

「はい?」


榊さんが魔物を拾ってきた、と言うことを聞き、そのあとに私はその魔物が待つ部屋へ急いだ。


「その魔物は大凶明媚の支配から外れている特殊な魔物らしい。魔物でありながら大凶明媚を祓おうとする、、、変な魔物だ。」


「そうなんですか。」


「あの、、、白銀さん!!前から本願寺さんから話は聞いてたのよ!陽翠ちゃんって呼んでもいいかしら!?」


榊さんと私、そして太陽のクインテットの日野心晴さんと一緒に行く。


「私のことも下の名前で呼んで良いからね!」


日野さんは愛嬌のあって女性らしい可愛い人だった。


白い髪の毛と白い肌。一度膨らんでから外巻きになったおしゃれな髪型と膝上のスカートが特徴。


「ここだ。」



───魔物がゆっくりと目を開いた。その横には桜月さんが監視役のように座っている。


「白銀さんと日野さん、連れてきたよ。君が探していたのはこの人達かい?」



「あ、あ、あ、、、」



ガラス玉のような黒い瞳。日野さんに似た白い髪の毛と白い肌。気配は魔物だけど絡みつくような気持ち悪さはない。


「みのり姉さん、、、ひのり姉さん、、、」


そう言ってこちらに魔物は手を伸ばしてきた。が、桜月さんががしっと首根っこを掴み、


「この二人であっているか?」


「はっはいっ、、、見間違える訳がありません。白い髪も黒い瞳も、、、流れる水晶の気も。私の、、、姉と同じです。」



「?」

「?どういうことですか?」



「この魔物は大昔の姉の子孫を探しているんです。だからこの魔物と血の繋がりが、、、二人にはあるっていうことです。」


「え!?」


「ってことは私と陽翠ちゃんって親戚なの!?!?!?!?!?!?」



驚くのはそっちじゃないと思いますよ!!!!!!!!




「ひのり姉さんの子孫の方が、、、終焉具の持ち主ですか?」


私ひのりさんの方なんだ。名前似てんね。


「はい。先日の戦いで終焉具が発現しました。傷を癒す力を持った終焉具です。」


「寿命のことは?」


「聞きました。」


「みのり姉さんの子孫の方は、、、太陽といったところでしょうか?とても独特な雰囲気を感じます。」


「そうなのよ!よくわかったわね!私の錬成武器は特殊な形だから独特なのかもしれないわ!」



ひのりさんとみのりさん。その二人が私達の先祖でこの魔物の女の子の姉。


「え、、、で。この子はどうしたらいいんでしょうか?」


「とりあえずどうやって魔物を祓っていたかおしえて貰える?」



「毒を使って魔物を祓うことができます。」



「毒?」


「はい。魔物専用の毒です。この毒は魔物は分解できません。細胞を壊死させて内側から浄化することができます。」


「見せて貰っても?」


「はい。」



そう言うと注射器を取り出し、自分の腕に打った。


紫色の花のような跡がぶわっと打った部分を中心に広がる。


「何この香り、、、」

「菊、かしら?この花は」


「はい。菊の持つ浄化の力を毒にして使うことができます。っと、、、」


ざくんっと毒の注入された部分を腕ごと切り取った。


「このままだと私も死んでしまうので。この毒を体内に注入する、、、液体を体内に流し入れることができるのが私の固有術です。」


「へえ、、、」


可愛い顔して言ってることえげつな、、、


「まあ、、、大体はわかったよ。「ちょいまちいや」


ドアの前には本願寺さんがいた。


「ほんまにええんか?信用して。裏切らんっていう保証は?」


「本願寺、、、でもこの子は魔物を祓った実績があるんだ。」


「そう言って魔物に食われた奴が八人おる。」


「じゃあどうするんだよ」


「そこの魔物ちゃん。名前、教えてもらおか。魔名やないで。ほんとの名前や。魔物の原動力は感情。名前の由来や意味は、成長過程でその人の感情形成に影響を与える。名前に込められた意味に誇りを持つこともあれば、それが重荷となってプレッシャーや葛藤を感じる原因になることもあるんや」


「名前は単なる符号やない。個人の感情や自尊心と直結した「最も短い呪文」のような役割を果たしとる。」


「真名、言えるか?言うてくれなうちは信用せえへん。言うてくれたらうちは絶対にあんたを手助けする。これは()()やで。」



本願寺さんはクインテット最強だ。


頭脳と知識、身体能力に水晶の力。錬成武器は飛び道具にもなるしいくらでも出すことができる。


彼女は楽観的に見えて実はとても疑り深い。



「いのり、、、です。伊乃欐と、書きます。」


「ええやろう。これであんたは浄化師の一員や。いのりちゃん。」


いのりはこくり、と頷いた。


***

「本願寺!」


「なんや、光太郎。」


いのりという魔物を信用しきっていなかった。魔物は魔物。人間は人間。でも、あの魔物は名を差し出した。少なくとも今は信用できる。


「あんな言い方なかったんじゃないか。魔物の協力だなんて前代未聞だ。もしかしたら僕達の代で大凶明媚を滅ぼすことができるかもしれない重要な鍵なのに。」


「重要な鍵やから?だったらなんなん。真名も聞かずに浄化師の一員やらせとくんか?そのせいでこっちが不利になったら?どうするん。」


本願寺月乃は追い詰められていた。


(終焉具、、、うちは発現させられへんやろな)


強い感情。それはうちにはない。


平坦な気持ちと平坦な世界。魔物に対する同情も哀れみも持ち合わせとらん。


「四眷属が倒された。終焉具を発現させた者がでた。魔物の協力があった。今までになく大きく物事が動きだしてる」


すっと一呼吸置いて笑顔を作った。


「やから光太郎も頑張ろ!な?あの魔物はとりあえず信用に価するからさ!」


「本願寺、、、大丈夫?」


あーもう。最悪。いらんとこばっか気づかんといてよ。


「顔色も悪いしふらついてる。目もちょっと赤いし、、、」


差し出された手を振り払った。


「大丈夫に決まってるやん。あんた、はよ任務いかなあかんのちゃうん?」


怖い。助けて。


死にたくない。生きていたい。


「あ!せや!今度一緒にどっか行こうや!最近できたお店とかもいっぱいあるしさ!」


終焉具を発現させたら寿命は四分の一になる。うちは、、、発現させた時点で死ぬやろな。


今しかない。隠したままでええん?あかんのとちゃう?




それでも、今日も言えないままで。















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