勿忘草
投稿するのまた忘れてました。すみません。
目の前で眠る大切な人。
「早く起きてよ───陽翠。」
その肌は白すぎるほどに白かった。
***
「──さん。白銀さん。」
目の前でとんとんと机が叩かれる音。
「ん、?」
「珍しいね。寝てるなんて」
少し傾きだした日が窓から差し込む教室内。
「久しぶり。白銀さん。」
後ろを向いて椅子に座る、いつかの変人がいた。
「えっ、なんで、、、ここ、どこ、、、」
「僕達が通っていた中学校だよ。まだ目が覚めないみたいだから、少しだけ話したいと思って。」
「っ、、!!」
弾かれたように立ち上がって手を取った。
「わっ、、、忘れててごめん!!ずっと、今まで、、、気づけてなくてごめん、追い詰めててごめん、、、」
「僕も、、、白銀さんに、特大の呪い置いてっててごめん。周防さんもずっと思い詰めてたみたいで。」
「あの時、全部質問ろくに答えてなくて、、、ねぇ、今たくさん喋っちゃ、、、だめかな?」
「良いに決まってるよ。」
私達は話した。
変人はあの後魔物になったことを打ち明けた。凛と融合して消えて、それでも私のことを見れて嬉しかったって。
「あのクローバーの栞、手作りだったの。流凪出帆っていう友だ、、、人がいてね。その人からもらったやつで作ったの。」
「知ってるよ。流凪さん、でしょ?」
「そう。」
「それでその時まどかが、、、」
「それでね、そのあとに、、、」
「めっちゃ面白くて笑っちゃって!」
「本当にあれ物理法則に喧嘩売ってたの!」
時間を忘れて私達は話した。日は傾いて花紺青が空に広がった。
時間の終わりを感じて。それを必死に誤魔化すように話し続けた。
「ねぇ、、、白銀さん。最期に、歌ってくれない?」
歌、、、
「うん。いいよ。」
変人は教室の隅のピアノを弾き、私は歌った。
「Thank you. Thank you. I'm glad I met you. Even when times were tough, you were there. Because you protected me. See you. Thank you. Let's meet again. We won't be able to see each other for a while, but I'll always think of you. You're my best friend, and I love you so much.」
合唱で歌った歌。きれない友情とまた会うことを約束した歌。
もうすぐ目覚めなきゃいけない。もうここにはいられない。
今ここで好きなようにただ歌う。音を鳴らす。辛い過去もやな記憶も忘れられない歌も。
「泣かないでよ。笑って。」
気づけば私は泣いていた。
「僕が生きてたってことは君が今を生きているってこと。僕の大切が、、、君の幸せがいつまでも続きますように。」
「、、、っばいばい。またね。しばらくは会えないけど、きっとまた会えるから。」
「じゃあね。白銀さん。」
「またね、、、勿忘くん。」
「っ、、、!!!ばいばい、陽翠ちゃん!!!」
目の前が白くなった。最期に会わせた手は離された。
そして、今をまた生きる。
***
もう君の傍にはもうたくさんの幸せが溢れてる。一旦はお別れだけど、また会えるから。ずっと見守ってるよ。
***
「ん、、、」
目が覚めて最初に思ったことは、瞼が重いなぁってこと。その次は光のまぶしさ。そしてやっと見れた愛しい青い瞳。
「陽翠?陽翠!!」
目の前には出帆がいた。良かった。戻って来られたんだ、、、
「い、、、ず、ほ、、、」
喉がからからで言葉がでない。
やっと解けたんだよ。やっと抜け出せたんだよ。今なら言える。言いたい。君に伝えたい。
大好き。
柔い光と一気に騒がしくなった病室。
生気の戻った瞳。
その隣で散りかけの勿忘草が祝福するように咲いていた。




