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私達は強いから

「、、、、、、これ、ただの戦いの道具じゃないんだ」


さっきまでの震えが、別の熱に変わっていく。


掌の中で、淡い光を放つ羽衣が生き物のように脈動していた。その光は少しずつ増して増して輝いていく。


「、、、どういうこと、、、だ。今までの文献にそんなものはなかっ、、、まさか。」



思い出の詰まった血にまみれた屋上。風にたなびく布の端をそっと撫でる。


(この人を守りたい。)


口から勝手に言葉が出てくる。


あめ降る慈光、我が手に集え。

荒ぶる熱を、柔らかなる白妙しろたえに封じ、彼の者の痛みを我がかてと成さん。

――ほどけ、そして癒えよ。」


桜月さんの手を光が包み込んでいく。ちぎれた指はゆっくりと再生して繋がり、やがて元通りになった。


「はっ、、、まじかよ、、、」


桜月さんがゆっくりと手をぐーぱーしてみる。指は完全に元通りになって動いている。


「っ、、、白銀、ありがとう。これでまた刀を握れる。」


桜月さんの目は覚悟に溢れていた。


「今まで皆に嘘をついていた。誠実じゃなかった。でも、、、もう隠さない。私はもう大丈夫だから。大切な物をこの手で守れる。」


「行こう、、、白銀。」


私達は戦場に飛び込んでいった。



「あら?あなたさっき指切ったはずよね?なんで元に戻ってるの?それにそっちのちびっちゃいのも。その輝きは、、、」


緩く包み込むような光はあたりを照らし、太陽のような暖かさを帯びていた。


夏姫なつひめの、、、」


羽衣は伸びる。螺旋を描き、視界の隅から隅まで。私の髪は一部切られたせいで解けて風に靡いていた。


「玲瓏ノ雨」


爆音が轟き雨の弾丸が散った。


「水鏡」


すぐさま出帆が合わせて二人で斬りかかる。赤い糸は絡まり合い強靱な盾を創る。切られたそばから全力で水晶を使って出帆の怪我を治し、突っ込んでいく。


「っ、、、なんなのよその戦い方っ、、、品性の欠片もない、、、」


私達は走っていく。赤い糸が背後に迫り、それを水滝原さんの刀が切った。


「断縁願の糸!!!」


赤い糸は絡まり合い、水滝原さんの身体に絡みつく。


「断ちきりたい繋がりの分だけこの糸は強くなる!!どう?苦しいんじゃな、、、」


水滝原さんの刀によってあっけなく糸は切れた。


「俺に断ちきりたい繋がりなんて物はない!!」


「嘘っ、この男、繋がりが、、、少ない、、、」


えっ、それ友達いないってこと?


「明鏡止水!」


鋭い突きが心臓を狙うが赤い糸は幾重にも盾を織りなしてその攻撃を弾く。それでも引かずに斬撃を入れ続け、さらに桜月さんがその攻撃に重ねるように動く。


「山紫水明」

「雪月花」


お互いを斬り合わないように双方から攻撃をしていく。その攻撃が少しでも入るように私達は援護を続ける。


「光風霽月」

「光明輪」

「翠煙」

「雪消の水」


六方向からの攻撃。榊さんの刃が心刻の心臓へ。


「螺旋糸・削ぎ」


「っ、、、!?」


足の前面をそぎ落とすように糸が大きく振り下ろされた。


「螺旋糸・ねじれ」


ねじれた糸は周囲を囲っていく。



「螺旋糸・龍「えーいっ!!!!!」



「っ!?」


「わー歩いとったらおそなってしもうた!ごめんごめん!」


嫦娥が糸を断ち切っていく。溢れ出た月光を纏上から飛び降りてきた本願寺さん。


「光風霽月!」


ばつばつと糸はちぎれてちぎれて地面に落ちていった。


「流凪くんと陽翠ちゃんは糸を切って援護!水滝原くんと綾星ちゃんが心臓を狙って!神楽くんと四ツ木くんは細かい攻撃を弾いていくように!光太郎は邪魔やから足どうにかするまでどっかいっといて!」


その言葉を聞いて私は慌てて榊さんの足を治しにかかった。


「白銀さん、すまないっ、、、」


骨が見えていて結構グロい。血がぼたぼたと地面に落ちていって赤い染みが丸く広がる。


(麗奈っ、、、)


あの時から使えていたら何とかなったかもしれないのに。口から溢れ出る祝詞はまた光を纏って傷を癒す。



あめ降る慈光、我が手に集え。

荒ぶる熱を、柔らかなる白妙しろたえに封じ、彼の者の痛みを我がかてと成さん。

――ほどけ、そして癒えよ。」



この力はなんなんだろう。このまま使っておいて良いものなのか。どんどん羽衣の輝きは増していく。榊さんの身体を包んで傷を癒す。


「この力は、、、実体がわからないうちはあまり使わない方が良いかもしれない。さっきみたいに受けた傍から傷を治して戦うのは絶対にやめたほうがいい」


「なんでですか?」


あの戦いかたは痛みを感じない。だから躊躇なく心臓部まで突っ込んでいけたしあのまま狙えていたら心臓まで行けたかもしれない。


「痛みっていうのは人間が生きるためにとても大切な物なんだよ。痛みを感じなくなったらおしまいだ。危機感知能力が働かなくなって死が近づいていることに気がつけない。」


「そんなっ、、、」


「それに、、、他の人に使っているときよりも白銀さん自身に使っているときの治りは目に見えて遅い。発動条件がわからないまま使う物じゃない。」


「白銀さんはそんなことしなくても、、、勝てる。最初に僕が言ったこと覚えてるかい?」


「、、、忘れました。」


覚えてるわけがない。もうすぐ一年だぞ。


「白銀さんは気配を消すのが上手い。真っ正面から戦う必要はないんだ。」


「これが師範からの言葉だよ。わかったかい?」


「、、、はい。」


「幻を見ていたときに思い出したんだ。忘れていたことを。望みを。白銀さん、勝ちにいくよ。人間が魔物に負けていいはずがない。」


「魔物はまだ手の内を見せていない。本願寺が加勢して有利に見えるけど、、、実際はまだまだ不利だ。あのアイと呼ばれた魔物は攻撃を一度もしていなくてずっと逃げ続けているだけだから。」


「アイは、、、友達なんです。私がやらなきゃ、、、」


凛がああなったのは自分のせいだ。私のせいだ。


謝らなきゃいけないことがある。


言いたいことがある。


伝えてない思いがある。


そう思える人間は、何よりも強い。


おまけ


「、、、忘れました。」


(ええー、こういうのって覚えるもんじゃないのー。僕、結構頑張ったんだけどな、、、結構、ため作って言った気がするのに。)


ちょっと凹んだ榊さん

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