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田舎チョキ

「絡繰りの虫籠」


魔物がそう言ったとき、榊さんと水滝原さんが糸が切れたように倒れた。


え、なに。


僕は本当に何にもなくて本気で戸惑った。



とりあえず空気を読んで倒れた。



(え、、、どうしよう。)


とりあえず倒れてみたけどこの後何をしたらいいのかわからない。そして二人がなんで倒れたのかもわからない。


二人だけ術にかかったのか?それとも不意打ちを狙っているだけ?魔物はくすくすと笑いながら結城さんだった魔物と会話していた。


「アイ、よくやってくれたわね。どう?哀と融合したあとは。力が増したでしょう。」


「はい。ありがとうございます。」


「残念だけど今戦える七情は貴方だけ。精一杯私に尽くして。」


「はい。」


機械的な返事をしていく魔物。この魔物の能力がわからないんだったっけ。この、、、心刻っていう魔物は糸を使って攻撃してる。さっきちょっと切られたお腹が痛い。


「心刻!!!!!!!」


陽翠の声がした。二つの走っている足音と別の方向から向かってくる軽やかな足音が二つ。さらに別の方向からは大量の人の気配。別の浄化師の人達かな。


「、、、おい。碧達に何をした。」


「あっはは!怒ってるのね。今この人達は夢を見ているの。私の創り出した淡くて儚い、この人達が手に入れられなかった夢。大切な人、大切な物。後悔した過去をなぞってる。」


それ僕かかんないじゃん。僕昔のことなんも覚えてないし。


「このまま目覚めない方が幸せよ。楽しい夢を見て私の糸で死ぬ。大切な人なら大切な人の幸せを願うべきよ?」


「、、、ふざけんなっ!!!!!」


陽翠が叫び、攻撃をする声。


僕かかってないんだって!!!!!!!!


え、どうしよう。かかってないんだけど。さっと起き上がって加勢するべき?それともこのまま不意打ちを狙うべき?


「出帆を返して!!!」


もう返ってる!!!!!ずっといる!!!!!目覚め時がわからないだけで!!!!!!


玲瓏れいろうノ雨」


降り注ぐ矢のような斬撃。光が満ちて周囲は昼のように明るくなった。


よし、不意打ちを狙おう。


このまま起きたら流石に恥ずかしすぎる。

******

「あら?貴方アイの想い人だったの?ならこれ全部貴方のせいよ。あなたが殺した。あなたの心のせいでアイが消したんだから。」


「、、、、、、黙れ」


私の声は、震えていない。アイ、と呼ばれた凛はこちらを感情のない目で見つめていた。


「魁・幻絆」


魔物から伸びた赤い糸が何かを模した幻影を作り出し、縋り付くように私の腕に絡みつく。


「あんたのせいだ!!人殺し!!!」


「瑠璃歌、、、」


「あんたさえいなきゃ!その気持ち悪いくらい綺麗な顔で男惑わしてるんでしょ!」


「っ、、、」


中学の時に言われたこと。


「相手の未来も考えろ。結局未遂だっだろ。」


屑みたいな教師。


冷たく、重く、心を蝕む「醜い繋がり」。かつての私ならその繋がりさえも切れる孤独への恐怖に屈していた。


「ごめん」


私はあえて、自分を縛り付けようとする触手の中に足を踏み入れた。泥のような執着が全身を覆いますが、私の瞳はまっすぐに魔物の核を見据えている。


「白銀っ、、、」


「ごめん。ごめんね。ちゃんと会話とれなくてごめん。また会えたら、、、ちゃんと言うから。ちゃんとほどくから。」


私の羽衣にこれまでとは違う、透き通った青い光が宿る。それは冷酷な拒絶ではなく、守るべきものを守り抜くための「境界線」の輝き。


魔物が悲鳴を上げ、無数の指を伸ばして私を握りつぶそうとした、しかし、私は一歩も退かない。引けない。後戻りなんてできない。


「守りたいものがあるから、私は一人でも立てる」


私は跳躍した。


自分を絡め取るドロドロとした依存の糸を、光り輝く羽衣で一気に薙ぎ払う。それは単なる破壊ではなく、汚れを削ぎ落とすような鮮やかな一撃。


「行かせない。あの子達の未来には、一欠片も触れさせない!」


咆哮とともに、私は羽衣で赤い糸を断ち切った。


魔物は、守るべきものを持たない空虚な物。創り出された幻影は光の奔流の中に消えていく。


「私の術をっ、、、」


攻撃自体も切り取って。溢れかえった悪意と感情は私が浄化する!!!!


「、、、ふーん。それで勝ったつもり?」


鋭い赤い糸は網のように編まれ絡まり一つの大きな銃を創り出した。その銃は、、、


パールのついた握り。戦場を感じさせない白い銃。大きくて私が見ていた物とは数倍も違うけど、、、これは、、、



烈日乱舞れつじつらんぶ!!!!!」



あの日の、、、、、、



「はっ、、、はぁっ、、、」


───息ができない。前が見えない。羽衣が垂れ下がって輝きが消えそうになった。息も凍る寒い冬。冷たい雨に打たれ消えた温度。


「、、、おい、ふざけるなよ」


桜月さんが刀を構える音がしてやっとここが戦場だったことを思い出した。そうだ。これは麗奈の武器の形をしているだけだ。


放たれた弾は私の雀宮さんの肩を掠めて後方へ。響く爆発音からはあの日のことが鮮明に蘇ってくる。


「なによ。これ、アマネレナの物でしょう?あの戦闘の記録は見させて貰ったわ。こんなに綺麗な武器を使ってたのね。」


有明月ありあけづき


瞬間、桜月さんが攻撃を放った。心臓を狙い、大きく振り切るような斬撃。でもその刃は届かなかった。


「うそっ、、、」


その声は桜月さんのものなのかそれとも私達の物なのか。



桜月さんの指が飛んだ。



薬指と小指が血飛沫を上げて飛んでいき、宙に舞った。



「はっ、、、!?途中で軌道が、、、まさかあの男っ、、、」


「桜月さんっ!!!」


向かってくる赤い糸。四方八方から絡まりつくように巻かれた糸から助けるべく私と雀宮さんは踏み出した。


翠煙すいえん!」

月光げっこう朧月夜おぼろづきよ


赤い糸は今度は私に巻き付いてきた。


「かはっ、、、」


軌道が締まり、呼吸ができなくなる。手はがたがたと震えていた。糸は強度を緩められて絞め殺すことに特化していた。やばっ、、、前がっ、、、



「雪消の水」



突如赤い糸が切られて軌道が確保され、咳き込んだ。その斬撃は魔物の頬を掠めて血を流させた。


「あなたやっぱり術にかかってなかったのね!!!何でっ、、、あんたまさか!!!」


「そのまさかだよ。こんなに詰めが甘いなんて四眷属も大したことないね。」


「っ、!!!んだとこのバカ餓鬼!!!私は大凶様に認められたんだから!!!あんたなんかより強いに決まってるわ!!」


「ふーん。で?その大凶だか残酷さんだかに認められたから何?ていうか君の名前、心刻ってそれ自分で付けた名前?厨二病なんじゃないの?」


「っ、そんな挑発に乗るわけないでしょう?私は500生きた魔物。たかだか十数年の薄っぺらと一緒にしないで頂戴」


「ん?さっき思いっきり乗ってたような気がしたけど?十数年の薄っぺらって何?別に長さで全てが決まるわけじゃないよ。空虚な年の取り方をして何が楽しいの?」


「五月蠅いわね。黙って頂戴。私の美貌に傷をつけて、、、物の醜悪もわからないのが薄っぺらなのよ。」


「僕の大切な人に何をしてくれてるの?そっちの人は僕の上司。可哀想だね。物の醜悪?そんなものわかってないのはそっちじゃない?」



「500生きた魔物なんかよりも陽翠の方がよっぽど綺麗だよ」



銃が爆発した。慌てて羽衣で皆を覆い守る。桜月さんの指を雀宮さんが処置している。



「はぁぁぁぁっ!?!?!?!?!?!?!?」



「っ、信じられないわこの餓鬼!!!頭腐ってんじゃないの!?!?」



「天網恢々(てんもうかいかい)!!!!」



逃げ場もないほど繊細な糸で広範囲を切り裂いていった。


明鏡止水めいきょうしすい


大きく上に飛び上がりざくざくと糸を切り裂いていく。その姿は美しく流麗だった。


「雪消の水」


跳躍していった出帆は魔物の腕を叩き切った。


「クインテット以外が私に傷をつけられるなんて大したものね。初めてだわ。あなた、名前は?」


「教えない。」


「伏流水」


赤い糸は全て断ち切ってもう片方の腕を落とした。


「次は心臓だよ。命乞いする?」


「するわけないでしょっ!!!!!このクソ餓鬼!!!!」


出帆、両方の意味でほんと強いな。


「ぐっ、、、」


桜月さんのうめき声が聞こえてきた。


「っ!?桜月さん!!指、、、」


「白銀っ、、、」


そう言った桜月さんの顔は真っ青で興奮しているのか血も止まらずに流れていく。


「止まるな。早く行け。雀宮もだ。止血が終わればすぐに行く、、、から。」


「っそんなことっ「桜月ぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?!?!?」


突如クソやかましい声が背後から聞こえてきてびびった。


「お前指どうしたんだ!!田舎チョキみたいな指だぞ!!!!」

「っ、、、黙れ煮るぞ」


生徒の安全を確保し終えて戦場に戻ってきた神楽さんと四ツ木さん。


「なぁ、お願いだ。一生で一度のお願いでいい。お前、あれ、持ってんだろ。焼いてくれ、、、。今までお前の受動喫煙を耐えてきたんだ。」


「はっ、、、?」


神楽さんの表情が揺らいだ。いつもふざけて馬鹿騒ぎしているのに。


「そんなこと俺には、、、できないっ、、、」


「お前が焼くのが嫌だったら私が焼くから貸してくれ、、、なぁ、、、お願いだから、、、そうしたら私はまた刀を握れる。」


桜月さんの肩は痛みで震えていた。手を伸ばして必死にライターを貸してもらおうとする姿は見ていられない程痛々しかった。


「おまっ、、、すぐ病院「早くしろよ馬鹿!!!!!!!!」


「早くしないとっ、、、皆死んじゃうんだよ!!!守らなきゃいけないんだ!!部下も上司も碧も!!!!私はっ、、、私はっ、、、」


「皆に恩を返したいんだっ、、、「その必要はない。」


「恩を売った覚えもないし返して貰う義理もない。ていうか神楽はいつまで桜月にベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタベタしているんだ。さっさと加勢してこい。」


そう言い放った水滝原さんは私の方をすっと見据えた。


「お前なら、、、救える。お前ならできる。俺にはできないから、、、桜月を救ってくれ。お前の羽衣はもうすでに神器の域を超えた。」


何言ってんだ。この人。


「頬と足を見て見ろ。違う。お前のだ。俺は初撃で術にかかったから怪我してない。お前の光に当たった部分を見て見ろ」



「───つ!?!?」


「桜月を頼んだ。」


羽衣の光の当たった箇所。



「嘘、、、」




流れ出ていた血は止まり、傷が治っていた。













おまけ


(えーなんかめっちゃ桜月触られてる、、、しかも白銀の傷治っていってる、、、しかも俺の幻、登場人物桜月しかいなかった、、、)


人間関係の希薄な水滝原さん。

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