試験の後には
細かな情報収集に明け暮れ気づけば六月下旬。六月には何があるか。
「もーむり!やだぁ!」
まどかが諦めてラグの上に倒れ込んだ。
前期中間試験だ。
「ほら、頑張ってまどか。終わったらパーティーあるしそれまでの辛抱だよ」
「でもそれまでが嫌なの!!課題多すぎるし範囲広すぎるし!」
青藍学園は前期後期の二学期制の学校。寿高校は三学期制だったのでとても驚いた。
「パーティーってなに?お疲れ様会みたいなのやるの?」
「違うよ!パーティーっていうのは何かもうほぼ舞踏会みたいなのやるの!西洋の歴史ある文化を取り入れる!なんて言ってさー」
「私、ダンス苦手なのよね。試験が終わったらしばらくダンスのレッスンみたいなのまであるのよ。」
葵子がほっぺたを膨らまして脚をぱたぱたさせながら言った。
「とかいっちゃってー!本当は葵子楽しみにしてるんでしょ!?パートナー、和泉さんもう誘ったの?」
「パートナー?」
「そう!ダンスって2人一組でやるじゃんか!そのパートナーを選ぶんだよ!仲の良い男女とか、、、友達の女の子同士でも踊る子もいるよ!」
「中等部の時からずーっと葵子は和水さんと踊ってるんだよ!だからレッスンも真面目に行っちゃうしー、ドレスもめちゃくちゃ時間かけて選ぶしー、メイクだって「ストップ!!!この話終わり!!課題やるよ!!」
葵子が椿に強制ストップをかけてしまった。不満そうな椿とまどかに真っ赤になった葵子。
「そうそう!何気に12時まで続くんだけど12時に大時計の鐘が鳴った瞬間に手を繋いでた2人はずっと一緒に居られるんだって!」
最後の悪あがきでまどかが言った。
「テスト終わったらみんなきらきらしだすんだよねー!!あー!楽しみ!やる気出てきた!葵子、答え見せて!」
「自分で解きなさい!!!」
私達はとろとろと課題を進めていき、あっという間に時間が過ぎた。
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「あーっ!陽翠!学年一位!?天才!?」
「えっ、すご、、、」
「流凪さん同率だって!あっ、葵子は八位!?」
この学校は上位五十位以内の人の名前を貼り出すらしい。一番上に書かれた「白銀陽翠」の文字と出席番号順で続いた「流凪出帆」。その少し下には「伊集院葵子」の名前。さらに下の方に「水戸雫」や「結城凛」、「美姫朱音」の名前もある。
外国語では凛が二位をとって国語で朱音が四位をとっている。
「椿、まどか!載ってるのあった?」
「「ええ?全部圏外!!」」
元気の良い返事。夏が始まりかけた青い空にこだまする声に先生達が頭を抱えているのが見えた。
「天幢寺さん、、、都萌さん、、、あなたたち赤点はなかったけど流石にこのままだとちょっとやばいよ、、、」
国語の幸町先生と社会の川嶋先生があきれた顔で言った。
「ええ、でも夏音ちゃん、私社会は50点超えたよ?」
「超えたよ?じゃないよ!採点してて震えたわ!」
川嶋夏音先生はむっとして言った。幸町先生は苦笑いをしている。
「そろそろダンス始まるでしょ!今年も講師はりやちゃん先生と夏音ちゃん?」
「そうだよ!あー楽しみ!」
先生らしくなく瞳をきらきらさせて生徒と同じ視線で話す川嶋先生はとても良い先生に見えた。
「ねえねえ、みんなは今年誰と踊るの?」
すっと会話に入り込んできたのは鶴咲先生。
「ええと、まず椿ちゃんは水戸さんで?葵子ちゃんは和水さんよね?都萌さんは?誰と踊るの!?」
「今年も凛と一緒に踊ることになるかな。でも、友達達で変えていくのもありだしね!陽翠はもちろん流凪さんだよね?なんてったってあんなに仲いいもんね!!」
「えっちょっとまどか!」
「きゃー!素敵!陽翠ちゃん!」
鶴咲先生が頬に手を当ててきゃーっと叫んだ。川嶋先生も
「えっ!?流凪さんって陽翠ちゃんと仲良かったの!?えっどういう関係!?知りた「はーいストップ、そこまでだ。」
そう言って2人の首根っこを掴んだのは四ツ木先生。
「生徒間の交流についてそんなに教師が口出しするもんじゃない。それにお前らはたっぷり仕事が残ってんだぞ。」
2人を引きずりながら運搬していく四ツ木さんはどことなく榊さんを思い浮かばせた。
「さーて、テストも終わったしそろそろ始めますか!!!」
「?何を?」
「ドレスに決まってるでしょ!!」
ドレス。ドレス!?そんなの着るの!?えっ高くない!?
「えっ私普通にワンピースとかで、、、」
「今年もお母様がお友達の分もいいよって言ってたわ。うちの親戚のブランドの既製品なら好きなの選んでって。」
「靴もメイクも髪も、バッチリにしないといけないんだからー!!!」
にっこりと笑った葵子とまどかと椿。
今週末、お店を貸し切ってドレスを選ぶ。らしい。
今日分かったことはとりあえず葵子の実家はものすごく太いと言うことだ。
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「いず、ダンス白銀さん誘っちゃえよ!」
勇悟から言われた言葉。
確かに最初からそうするつもりだったけど。いざとなるとどうやって誘ったらいいかわからない。
「どうやって誘ったらいいの?」
「どうやってってそりゃあ、、、普通に?」
普通ってなに。どんなの。
「おーい水戸!お前今年も天幢寺さんと踊るんだろ?なんて誘われたんだ?」
「、、、これ。」
そう言って見せられたスマホ画面には
『ダンス今年も一緒に踊る?』
『踊る』
「なんの参考にもならないな。」
後ろから絢人が口を挟む。
「白銀さんドレスとか着たらえぐい美人だろうなー!うわー!見てみてぇ!」
「勇悟はさっさと踊る人探しなよ。」
「今年こそ梅宮先輩を誘うぞ!!」
「それ毎年言ってんじゃん。」
どうやら一つ上の学年に梅宮先輩という人がいて勇悟はその人に憧れているらしい。
「いずも誘うんなら早めに誘っちまえよ!白銀さん、激戦区だぞ!」
んー、と脚をぱたぱたさせながら考えた。
「ストレートに一緒に踊ろう!で良いと思うぞ。」
「そうかな。」
日が随分と長くなってまだまだ落ちきらない太陽を窓から眺めて、ぼーっと考えた。
こぼれ話
出帆記憶保てないんじゃないの!?勉強できるの!?となりますけれどまじで頑張って頭に叩きこみ、ギリギリいったらしいです。最近は記憶を保つ時間も長くなっている様子。




