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守る

「ただいま。」


青藍学園に戻ってきたのは夜の七時くらいでみんなは食堂にご飯を食べに行っているみたいだった。スマホを見るとたくさんのメッセージが入っていてその通知を目を通しながら適当な返信を打つ。


部屋のベッドにころんと寝転がって一つのメッセージを眺めた。


「陽翠、九時くらいに職員室前に来れる?神楽さんと四ツ木先生から報告があるって。」


「わかった。」


すぐに既読がついて会話が始まる。


「昨日はごめんね。陽翠の気持ちも考えずに。」

「ううん。私がずっと察して欲しいなんて態度だったから。私もごめん。」


温かい気持ちが鉄の塊を通じて伝わってきた。私の分は伝わっているかな。


「報告って何だろう?出帆、わかる?」

「わかんない。もしかしたらおまじないのことについて何かわかったのかも。」


おまじない。凛が試したと言っていたもの。出帆も同様のことを聞いたみたいでこのおまじないが大きな手がかりだと思う、と言っていた。


「先生側だったらそういう情報はあまり入ってこないんだって。」

「確かに、そうかも。」


かちゃっとドアが開く音がしたからリビングまでみんなを迎えに行く。


「あー!陽翠!大丈夫だった!?」


「ごめんねー!全然大丈夫!元気!」


「見てみて!いつも買ってるからってドデカ蒸しパン無料で貰えたの!」


「あれの在庫はまどかが殆ど消費してるものね。」


いつも通りのみんなが出迎えてくれた。まどかは手にドデカ蒸しパンを持ってて葵子はそれを見て笑ってて。椿は真っ先に私のことを心配してくれていた。


私が守るよ。


何があっても、みんなだけは。


──────

「おう、集まったかお前ら。」


夜九時、誰もいない職員室の中で私達は集まった。


「今日は全員もう帰らせたからなぁ。おかげで仕事が増えたわ。」


「夜中に抜け出させる訳にもいかねえよ。」


神楽さんと四ツ木さんは浄化1課。長期潜入を得意としていて情報収集は得意らしい。


「さーて、今回の話だが。どうにもおかしなものがあるみたいだな。」


「おまじないのことですか?」


出帆が口を開いた。


「ああ。これは厄介だな。お呪いと書く方が正しいくらいだ。」


「お呪いによって心を食われて自殺した生徒と精神を病んで自殺した生徒の違いははっきりと言って分からない。だが、心を食われたと見られる生徒の特徴はある。」


「なんですか?」


「全員飛び降りているんだよ。」


「恋を専門とするお呪いで飛び降りている。このことから連想することは?」


「はい?」


恋を専門とするお呪いで飛び降りている?そんなものから連想することなんてないだろう。


「ほら、、、恋に落ちる、なんて言うだろう?魔物はそう言った言葉遊びが好きなんだよ。」


「え、でも。そのお呪いを行った人全員が、、、飛び降りているんですか?」


「そうとは限らないな。実際鶴咲、、、英語の鶴咲りやだな。あいつは生徒と恋バナをよくしているみたいなんだがお呪いを行っても何も起こらなかった、という生徒もいると言っていた。」


「中には何かあった気がするけど覚えてないと言う生徒や恋が叶ったという生徒もいたようだが。」


「もし、一連の事件の元凶が四眷属だとしたらこれは相当厄介ですね。」


相手は自ら動くのではなくて生徒たちによって噂を広めている。


「さらに厄介なのは仲介人が生徒ってことだ。噂なんてのはどんどん尾鰭がついて本質が見えなくなっていく。」


四ツ木さんは長い指を組んで言った。


恋に落ちる。恋に堕ちる。恋に墜ちる。恋に、、、故意に?故意に、、、落ちる?


「お呪いを実行できた人の共通点は?」


「ん?詳しくは知らないが、、、聞いてみればいいんじゃないか?鶴咲が言うにはお前の先輩の、、、えーと、花手毬柚希が実行できたそうだ。」


花手毬柚希。花手毬先輩。梅宮先輩と仲が良くて、、、あ、そういえば。


『最近私彼氏できたのー!!すっごくかっこいい人でね!』


「そうですね。聞いてみます。」


もしお呪いを実行できた人が危険に晒されるというのなら。


私の中には一つのことが渦巻いていた。


(凛が危ない)


もう友達を死なせない。絶対に。


─────────

「恋のおまじない?」


次の日、運良く屋上で花手毬先輩がいたのでそれとなく近づいて聞いてみた。


「なになに白銀ちゃん!好きな人でもいるの!?」

「秘密、、、ですけど少し気になって。なにか知ってることはありませんか?」


「んん、、、そうね、、、」


花手毬先輩は胸下くらいの長さの天然グレージュカラーの髪の毛をくるくるといじった。


「私の好きな人、、、今は彼氏なんだけどね!その人はもともと私になんて興味がなかったんだ。多分別に好きな人がいたんだと思う。それがなんか嫌でさ、、、私だけを見ててよ!ってなっておまじない、やってみたんだよね。」


「半信半疑だったよ?なんかやってみて階段上ったら、、、本当に見たことない扉があったの。でも扉開けてからのことはなんも覚えてないんだよね。気づいたら部屋に戻ってて何かもう夢だったのかな?ってくらい。」


「でも次の日からどんどんなんか仲良くなっていってこの前告白したらOK貰えたんだよね!!すごくない!?」


「凄いですね。そういうのって効果ないんだと思ってました」


「そうなのよー!!私も絶対にそんなわけ無いって思ってたのに成功してさ!もう心臓ばっくんばっくんだったよー!!」


「ありがとうございます。お話聞かせて貰って。」


「ううん!いいわよー!!可愛い後輩の頼みだもん!なんでも聞いちゃう!」


花手毬先輩にお礼を言って私は室内に戻った。花手毬先輩はお呪いをして叶った。実行できた。でも中のことは覚えてない。凛は結局話してくれなかった。


「ん、、、情報、少ない、、、」


私は夕焼けに相談するような気持ちで空を見上げた。

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