秘密の首飾り
久しぶりに外食に来た。せっかくならわいわいしたいということで雀宮さんと水滝原さん、ショッピングを終えた桜月さんも来た。本願寺さんは仕事らしい。
「ここに来るのは久しぶりだな。秋以来じゃないか?」
「そうですねぇ。あっ、これ頼んでいいですかぁ?」
「ああ、任せた。ドリンクは車運転係以外なら好きなのを飲もう。」
「、、、」
水滝原さんが黙ってオレンジジュースを頼んでいた。可哀想に。
「すみません、わざわざ車出してもらって。」
「、、、構わない。」
必要最低限の小声で返事をされた。
「碧、葬式みたいな顔をするな。頼むから。」
「そうですよぉ、水滝原さん。あっ、飲み物届きましたよ!乾杯しましょう!」
「えーと、陽翠ちゃんと出帆くん、初の長期任務にかんぱーい!!」
「乾杯」
喜ぶことなのか。果たして。桜月さんはよくわからないお酒をすごい速さで飲み、私と出帆はカルピス、雀宮さんはノンアルだった。
「いやー、陽翠ちゃん久しぶりに見ましたよぉ!!おっきくなって、、、ないか。」
「十六歳はもう身長伸びないんですよ。」
私の身長は生涯152㎝なのだろう。雀宮さんも背が高いので私だけ小さく見える。 かなしー。
「ほら、肉焼けたぞ。食え食え、もっと食え。せっかくだから碧に奢って貰え。」
「桜月、、、別に良いけど。」
「やったー!!どんどん頼んじゃいましょう!!」
雀宮さんは上にネギ塩ののったタイプの牛タンを試行錯誤しながら焼いている。
「これって払いのけておいて後でつけちゃ駄目なんですかぁ?」
「生肉に触れてるから腹壊すと思うぞ。」
そりゃそうよ。
「ところで、2人はどうなんだ。上手く生活できているか。」
「できていますよ。ご飯もちゃんと食べてますし家事も回っています。」
桜月さんと話していると水滝原さんが寄ってきた。
「そうか。何よりだ。ところで流凪、今朝のラインの件だが、、、「喋らないでください。」
出帆の爆速ストップがかかった。
「なんだそれ。流凪、なにかあったのか。」
「なにもないです。なにもないです。ね?水滝原さん。」
「ああ、、、そうだな。」
歯切れの悪い会話内容で終わった。どんな会話をしていたのだろう。
「神楽の所での長期任務があるそうだな。神楽ってあの浄化1課の奴だろう。強いぞ。」
「そんなに強い人なんですか?」
「ああ。トラックにはねられても無傷だった。」
あっ、そっち?その方向に強いのか。そりゃ頑丈だ。
「上手くおびき寄せられたら俺達も応援に向かうかもしれないらしい。」
「そうなんですね。」
「お肉焼けましたよぉー!!どれがどれかわからない感じですけど!」
ハラミ、タン、その他諸々が混在していてどれがどれかわからない。
「一度に焼くなってー」
「テーブルのスペースなくなっちゃったんですよぉ。」
みんなでお肉を頬張った。私が何となくで取ったのはハラミだったようだ。間違えてレモン汁につけてしまった。
ちょっと酸っぱいレモンハラミを食べながら前3人を見る。雀宮さん、桜月さん、水滝原さんの順で座っている。店内の照明に当たって桜月さんのチョーカーがきらりと光った。
「雀宮さん今いくつでしたっけ?」
「十八ですよぉ!四月二日生まれなので来週で十九です!」
「そうなんですか。」
一瞬雀宮さんも潜入任務に参加できるのでは、と思ったけど普通に過ぎていた。
「若い奴もいるにはいるがほとんど弱すぎる。潜入任務には適さない。」
「俺も探したがそう適任はいなかっな。いっそのことクインテットを教員に紛れさせようかと思ったがほとんど皆アホだし頭の良い本願寺と榊は別任務だし。」
「この前日野さんなんか奈良の県庁所在地を和歌山とか言っていた。流石に驚いた。」
「やっぱり日野はバカだなぁ。愛媛だろ。」
「はあ?」
なるほど、よくわかった。確かにクインテットの人達は学校に向かない。よく見ると桜月さんの顔が少し赤くなってきていた。
「そんなわけだから、な。気をつけてがんばってくれぇ」
「わかりました。」
だんだん桜月さんの呂律が回らなくなってきたしみんなもう結構食べたので解散ということになった。
「今日はありがとうございました。」
「またねぇー!陽翠ちゃん、出帆くん!」
「またなぁー、しろがねぇ、りゅうなぎ。」
「ではまた。」
個性溢れる別れ文句と共にそれぞれの部屋に帰った。
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「楽しかったね。」
「うん。美味しかったし楽しかった。また行きたい。」
お風呂に入る前にソファの上でだらけながら喋った。
「お風呂入るのめんどくさーい」
「僕も髪乾かすのめんどくさーい」
「出帆はいっつも私が乾かしてるじゃん」
えへへ、と出帆が笑った。一昨日はどうなることかと思ったが大丈夫そうで安心した。
「今日映画、テレビでやるんだって!陽翠、一緒に見ようよ!」
「うん!」
結局私達は十一時まで映画を見た。
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「碧ー、おかいけいー」
「もう済ませたんだよ」
忘れ物をしたらしいので桜月の書斎まで桜月を持っていく。
「何を忘れたんだ。」
「これぇー」
結構デカ目のカバンを忘れていたみたいだ。こんなでかいもん忘れんな。
「んっしょっ、、、うわあっ!!」
「危ない!!」
間一髪でカバンに引っ張られた桜月を受け止めた。何やってるんだ、こいつは。
「ん、ありがとぉ」
「本当に危なっかしいな。ほら、立てるか。」
桜月を起こしてやり、桜月の部屋の前まで連れて行った。ドアを開けた瞬間玄関に倒れ込んだ。
「おい、そんなとこで寝てたら風邪ひくぞ。」
「やだぁー、ねるー」
しょうがないので桜月をベッドの方まで運搬して寝かせた。何気に女性の寝室に入ってしまった。
(ん?チョーカー?)
あんなものつけていただろうか。いや、最近はつけてたな。でも、バディだった三年前までは、、、
(別にいいか)
窒息しそうで怖いのでチョーカーを外してベッドサイドに置き、もうすでに寝た桜月の寝顔を一瞬ちらりと確認して俺は爆速で家に帰った。
おまけ
(ん?)
桜月綾星は驚いた。え、酔い潰れた?まあまあしっかりとある昨日の記憶。
(私はっ、、、なんてことをっ、、、)
しばらく水滝原さんの顔を見れそうになかった。




