白銀陽翠は羽衣を持つ
「──────ッ!?」
背中から羽衣が生えた。比喩表現ではない。リアルに。
痛い。
熱い。
羽衣からでた神々しい光に魔物が一瞬怯んだ隙に心臓を突き刺した。
「月映え!!」
魔物は灰になって散った。
がくっと膝をつく。
何これ。
痛い。
「ガハッ、、、」
桜月さんに連絡、、、
そこで意識は途絶えた。
────────。
ここ、どこ?真っ白な天井と無機質な蛍光灯。天に召されたのかと思ったけれど天国に蛍光灯はない。と思う。
「起きたか。」
横を見ると桜月さんが座っていた。
「部下から連絡があって駆けつけたら路地にお前が倒れていた。身体は無事か?」
「はい。あの、背中、、、」
「お前は流凪と同じく身体から武器を創り出すことができるんだな。その力は本来ある程度訓練して開花させていくものなんだが白銀は一瞬で創りあげてしまった。普通なら身体を慣らしてから創り出すものだから負担は少ないはずだが、急に身体に変化が起こったから倒れたんだろうな。」
「それって、、、」
ドドドドドッ!!ダダダダダッ!!
「陽翠!!」
ものすごい速さでドアを開けて部屋に入ってきた出帆。
「流凪、来たか。座ってくれ。お前達に話がある。」
「お前達は錬成術を開花させた。よってこれからはクインテットの継手になってもらう。」
クインテット。継手。出帆はぽかーんとした顔をしていた。桜月さんは
「入社してからこの早さでクインテットの継手になったのは初だ。普通なら錬成術すら使える人も少ない。それなのにお前達は錬成術を扱い、水晶の力も持っている。いずれクインテットになる逸材だ。」
よって、と言い。
「流凪出帆は水滝原碧に、白銀陽翠は榊光太郎についてこれからは訓練をしてくれ。」
え。どゆこと?
**********
「白銀陽翠が路地裏で倒れています。すぐに来てください。」
浄化2課の部下、天音麗奈からのメッセージで背筋が凍った。
白銀が倒れている?どうしたんだ。怪我をしたのか?
駆けつけると天音が白銀の横に立っていた。
「桜月さん、これって、、、」
うつ伏せに倒れた白銀の背中からは天使の羽の如く光り輝く羽衣が生えていた。しばらくするとしゅるしゅると白銀の体内に収納されていく。
「錬成武器、、、」
天音のつぶやきが心に染み渡った。錬成武器。並々ならぬ素質。クインテットへの第一歩。5年間の鍛錬があっさりと入社一月たらずの新人が開花させた。
「すぐに白銀を救護室へ!!速く!!」
「はい!!」
流凪出帆。白銀陽翠。この2人は今までとは本当に何かが違う。この2人が大凶明媚への鍵なんだ。恐らく。1500年の歴史と停滞していた装置が2人という小さな部品で大きく動きだしている。
自分自身も会社に向かいながらそう思った。
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「白銀、歩けるか。」
「歩けます。」
「よし。これから榊さんの元へ行ってこい。無理はするなよ。」
1時間ほど後に完全に回復した。倒れたときの痛みや気怠さはきれいさっぱり消えていてむしろいつもより調子がいい。
「榊さん。いますか?」
訓練場で榊さんはひとりで座っていた。
「白銀さん、錬成武器を創り出したそうだね。」
「はい。」
「今日から僕と訓練をしていくよ。まずはもう一度武器をだせるかい?」
武器をだす。だす?
「わかりません、、、」
「武器が発現したのはどういうときだったのかな。」
「遠距離から攻撃できたらって思った時です。」
「そうかい。なら、、、」
榊さんがものすごい速さで後に飛んで
「神器:夕星」
細身な刀がぐっと伸びてこちらに来た。
「っ!!これ、、、」
「とても綺麗な武器だね。羽衣、かな?」
私の背中からでた輝く羽衣は榊さんの神器を防いだ。背中が空いたニットを着せられた意味がわかったよ。多分制服破れたのかも。
「なにこれ、、、」
触ってみるとものすごく柔らかい。思い描いた形通りに動いている。
「じゃあ、白銀さん。これ、壊してみて。」
ごろごろと台車で運んできたのはどでかい岩だった。岩。岩!?
「これ本願寺が酔っぱらった時になぜか持って帰ってきたんだよね、、、砕いて捨てたいから壊しちゃって。」
本願寺さん、何してるの、、、
岩を壊す?
「イメージして。その岩を羽衣で壊すんだ。」
「っ!?」
しゅるしゅる!と伸びた羽衣がまっすぐ岩の方に飛んでいって貫通させた。
「ええっ!?」
あんなに柔らかかったのに。こんな岩を砕く力があるなんて。
「いやぁ、凄いね。柔らかいのに硬い、良い武器だ。これからはそれを使って訓練をしていくよ。」
ピロリン!
「ん?あれ?」
榊さんのスマホがなった。
「…白銀さん、走れるかい?」
「走れますけど、、、」
「水滝原さんが、採血から逃げたみたいだ。捕まえに行くよ。」
え?採血から逃げた?
「毎年これなんだよね、、、。水滝原さん。去年は3時間追いかけ続けたんだよなぁ。」
どうやら私は鬼ごっこに参加させられるらしい。
おまけ
本「光太郎~。ただいまぁ~。」
榊「本願寺、酔っぱらってるならそのまま家に 帰って、、、岩!?なにそれ、どこで拾ってきたの!?」
本「店長がくれたのぉ。このお酒全部飲めたら岩あげるってぇ。」
榊「絶対ゴミ処理させられてるだろ、、、」




