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幕間 隣人、野崎沙那から見た羽鳥凛鈴

本日は2話更新です。

こちらは2話目となっております。

 ねぇ聞いて? 隣の羽鳥さんって、ちょっと変わってるのよ。


 まず、あの恰好。いつもなんかクラシックっていうか、時代錯誤っていうか……ほら、レースの多いドレスとか、黒いスカートに真っ白なブラウスとか。

 まあ似合ってるっちゃ似合ってるんだけど、アパートの廊下で見るとちょっと浮くのよね。うふふ、ごめんね、悪口じゃないのよ?


 でね、あの人料理がすっごく上手なの。


 前にね、たまたまゴミ捨てに出た時にすごくいい匂いが部屋のあたりに漂っていたのよ。

 普段あまり外に出ない人だから、部屋で何をしてるのか気になっちゃって。

 それで後からさりげなく聞いてみたのよ。そしたら、


「お肉を調理してた」


 なんて軽く言ってくれちゃったのよ。

 でね、気になったからどんなお肉なの? 何を作ってたの? ってさらに聞いてみたら、


「よろしかったら差し上げますわ。お口に合えばいいのだけど」


 ってローストビーフ? を渡されたの。最初は遠慮したんだけど、うちに帰ってから旦那がそれ食べて、もう大喜びで。「お前、これどこで買ったんだ!?」って(笑)


 それからというもの、時々お裾分けしてもらってるの。こないだなんて“心臓のコンフィ”とか言ってたかな? ちょっとクセあったけど、ワインで煮込まれててすごく柔らかくて……まあ私はマニアックな料理のことよくわかんないけど、“希少部位”って言われたらなんか、特別な気分になっちゃうよね。へへ、ちょっと得した気分。


 でもさ、料理ばっかりで働いてる様子ないのに、あんな良いお肉、どこで仕入れてるのかしらね? ネット? 業務筋? ……ま、そういうのは人それぞれってことで。


 一応、旦那からは「ちゃんとお礼言えよ」って言われてるけど、あの人あんまり社交得意じゃないからねぇ。他に友達とかいないのかしら?


 あ、でもこの前ちょっとだけ怒られちゃった。「冷凍すると風味が落ちるわ。なるべくなら早めに、味が落ちる前に食べてあげて」って。 だから私も「え~、気にしすぎよ~♡」って笑って返しておいたわ。うん、あれは多分そんなに怒ってなかったはず。


 あの人って、案外ちょっと褒めてあげれば嬉しそうにするタイプなのよ。 「すごいわねぇ!」「ほんとおいしいの」って言っとけば、次もなんかくれる(笑)


 ま、私は“節約上手”が売りの主婦だから、助かるっちゃ助かるのよね。

 食費が浮いた分、お菓子買えるし。


 ……え? 味? ああ、もちろんお世辞じゃなくて本当に美味しいよ!

 でも、まあ……正直、どれも柔らかくて濃厚で、似たような味……かな? えへへ、贅沢言っちゃダメよね!


 でもでも、ほんと感謝はしてるの。ありがたいわ~隣がグルメで♡

 だから、次も会ったら言っておこうと思ってるのよ。「また何か余ったら、遠慮なく声かけてね~」って。

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