表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/77

幕間 ある配達員、藤嶋晃から見た羽鳥凛鈴

予約忘れて、投稿遅れました

申し訳ありません


 俺がこの仕事してるのは、別に誇りがあるとか、正義感がどうとか、そんな話じゃない。

 一言で言やあ、「選べないだけ」だ。

 誰かに拾われて、しがみついて、飯食うために肩書きつけて、今こうして車を走らせてる。


 人間がやるべき仕事じゃないのは、とっくにわかってる。

 武器も運んだ。麻薬も運んだ。

 生きてる奴も、死んでる奴も。

 “処分”される前のものを、笑顔で引き渡されたこともあった。


 けどな。

 それでも、アイツだけは、別格だ。


 羽鳥凛鈴。


 最初に依頼が来たときは、「食品関係。特殊調理用」って聞いてた。

 依頼元はうちの組織が手を出せない“上”からだ。

 名前も顔も知らねえ。けど、どこかの部門で“始末された”連中の一部が、どうやら羽鳥凛鈴のところに回ってるらしい。


 最初の荷は“手足付き”だった。

 当然、俺は聞いたよ。「処理済みか?」って。


 担当が言ったのは、「調理されるから問題ない」――だと。


 ……その瞬間、全部察した。

 あの女は、“処理”の最終段階を担ってる。

 しかも“丁寧に、美味しく”だと?


 狂ってやがる。

 何が「趣味は料理」だ。

 何が「料理研究家」だ。

 あんな料理作ってて何がプロフェッショナルだ。


 それでも俺は荷を運んでる。断れない。

 降りたらどうなるか、痛いほどわかってるからな。


 実際、何かやらかしたらしい若いのが一人、引きずられるように何処かへ連れてかれたかと思ったら、次に見た時は物言わぬ姿になってたわ。

 それを"加工屋"に運んだのも俺だし、その加工屋からあの女に届けたのも俺だ。

 なんともイヤなルートだが、下手な断り方したら次は俺がその荷物になって、あの女の食卓に上るんだろうな。

 言っておくが、俺はディナーの食材に立候補する趣味は無い。拒否権なんか無いのさ。


 だが、俺が本気で怖くなったのは別のことだ。


 あの女――事もあろうに肉を“お裾分け”してる。


 誰に? 隣人。通りすがりの主婦。つまりその夫とガキまで"あの肉"を美味しく頂いてるってわけだ。


 はっきり言って正気じゃねえ。

 お前が食ってるのは何だよ。

 その冷蔵便、どこから来たと思ってやがる。

 冷蔵庫に入り切らないとか言われた時も焦ったが、コレはそれ以上だ。

 もし、事が公になったらどうする気なんだ? 表に出していい肉じゃないだろ、あれは。


 でもな、もっと信じられないのは――

 肉を貰ったそいつらが、何も疑わずに笑いながらその肉を食ってるってことだ。


 マジで狂ってるとしか思えないね。


 ……正直もうやめたい。あの女の周りにはまともな奴なんて一人もいない。

 同じ死体処理でも、まだゴミとして埋めるほうがマシだった。

 カタギなんて贅沢は言わない、せめてこのイカれてるとしか思えない現場だけは勘弁してくれ。


 まぁ、どれだけ願っても何も変わらないんだけどな。

 それで、俺は今日も内臓抜き取られたり、どこかの組織に消された奴らを、あの女共の食卓に運んでる。


 やめられない。

 あの女の笑顔が、穏やかで、優しくて、俺の背筋を凍らせるから。


 ……あと、一度食事の席に招かれたことがあったが、断固拒否した事だけは伝えておく。

本日は2話構成てす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ