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50話


そして……それを理解した私たちは



敵であるはずのロベリアを心底哀れに思った。



「な、なんだこれは!!はぁーなぁーせぇー!!」



「動かないで、動けば動くほど、拘束がきつくなるよ。」



ロベリアの急の声に対し、冷静なリイナの声が聞こえてくる。



ここは当然皇宮の中、こんな青々しい植物が生えているわけがないのだけれど……

廊下の壁にはびっしりと太いツルがこびりついていて、あんなに捕まえるのに苦労したロベリアの小さな体が、その蔓に巻き付かれて身動きが取れなくなっていた。



「リイナ……あなた……」



「あ、ルナ。捕まえたよー」



「捕まえたよって……」



リイナはロベリアが草の蔓に捕まっている場所よりも奥の方から大手で手を振った。

まぁなんと……呑気なこと。


私はリイナにゆっくり近づいて声をかけた。



「この植物どうしたの?宮殿の中に植物なんか…」



「なんかあった時はすぐ拘束できるように、枯れた植物持ち運んでるの。これに魔力注ぐと、色々できるから護身用に。」



なるほど、これをばら撒いたからこんなに今室内だっていうのに、植物の蔓…幹…根っこかな。

まぁわかんないけど、それがこんなふうに蔓延ってるわけね。



リイナの使える魔法、それは治癒魔法でも浄化魔法でもなく、成長を促進させる魔法だ。



聖女とは、これらの魔法を使える女性が単純に選ばれるわけではない。それだけならもっと人数がいる。

その魔法の分野で最も優れているという判断をされた人間が選ばれるのだ。


リイナが聖女に選ばれた所以。

それは、成長促進をさせるだけではない。


成長促進させた植物を……自分の意のままに操ることができるほど力が強いからなのだ。


もちろんそれを知ってたわけだけれど……まさか、植物の蔓を使って生き物みたいに動かして、人一人を拘束できるようになるまで強力な物だとは……知らなかった。


作者の私が知らないのはおかしいって?


だって……聖女になったことが大事だったし、呪われた状態で魔法を使うのは体力使うから、魔法を使う描写なんて書かなかったんだもの……。


桜の花を咲かせるくらいしか考えてなかったんだもの。


でもなるほどね…だから浄化や治癒の能力を持ってる子を抑えて聖女になったわけだけだ…。

自分で考えた世界とはいえあっぱれ。



「くそーっ」



まぁそんなこんなで、ロベリアは草の蔓の梗塞から逃れようと、ジタバタと動いているのだけれど……まぁ、何本もツルがかなり体に食い込んでいるので、それが解けることはない。


しかも聖水を頭からぶっかかってる彼女に魔法は使えない。


そんな彼女に近づいて、リイナはロベリアに視線を合わせると、



「ルナにあんなことして……絶対に許さないから」



真剣な顔でそう伝えた。

それを悔しそうな表情で見つめ返すロベリア。


目標を目の前にして、何もできなければそんな顔もするだろう。


私はその様子を見て、ふとあることに気がついた。



「……もしかして、儀式の日も、私が助けなくても……自分で何とかできた?」



植物の成長促進なら、花を咲かせる程度の力だと思ってたし…実際何もできなかったから物語ではあっけなく呪われてしまったわけだし。

それで必死だったわけなんだけど……正直聖女舐めてたわ。


だとしたら余計なお世話だったかしら。

余計なことして、自分が呪われちゃうなんて、なんて滑稽。


でもリイナは即答はしなかった。



「んー……『そうだよ』って言えれば、こんなに罪悪感感じなくて済むんだけどね……」



「どう言うこと?」



「そんなに簡単な話じゃないの。結構条件整わないと……。」



「条件って?」



「こういう自分の意思を反映させるには、枯れ草がいるの。元気な植物じゃ、ただ花を咲かせたり、種を生み出してくれるだけで終わっちゃう。」



「でも今みたいに、枯れた植物持っておけばいいだけじゃない。」



「神聖な聖女の儀式だよ?枯れ草なんか持っていけないよ、現場は生花しかなかったし……あと魔法使う時の呪文長いから、発動までに時間かかるから、持ってても間に合わなかった。」



なるほど『枯れ木に花を咲かせましょう』、これが言えなければ力が使えないリイナ。

不意打ちの場合に対処はできないってことか。



「だからルナには感謝してるよ、ありがとう。」



そう言われて私は少しホッとする。

余計なことして、こんな状況になったのでは各方面に申し訳ない気持ちでいっぱいになるからだ。



「それよりも」



話がひと段落すると、そんなことを言いながら、笑顔で寄ってくる彼女は、私の両側のほおをぐぐぐっとつねった。



「何でこんなことするかな……勝手に入れ替わってパーティーなんか行かないでよ!」



いとこの聖女が激おこである。



「ルナの作戦は姑息なのよ!皇宮にくる前に飲んだあのお茶!睡眠薬入れてたでしょ!バレてないとでも思った!?眠ってる間に勝手に入れ替わらないでよ!!」



あぁ……バレてたか。

実は前日にはもうその作戦を立てていた私は、リオスに頼んで睡眠薬になる薬草を探してもらって、その後こっそり摘みに行って、それを飲ませたのだ。


一時間くらい効果あるって言ってらのに、聞いてないってことは、飲んだふりして狸寝入りしてたな。


少し罪悪感。


しかしこちらにも言い分がある。



「な、何よ、そっちこそ、勝手に部屋でちゃダメじゃないのよ!自分がどれだけ危ないのかわかってる?あなたは狙われてるのよ!まだ!」



「だからちゃんと今日は準備万端だったんだよ!いつどこで襲われても自分の身の安全の確保と犯人の身柄確保くらいできたんだから、余計なことしないでよ!」



その言葉に私はカチンときたので、仕返しと言わんばかりに、私もリイナのほっぺをつねり返した。



「会場で何があったか知らないでしょ!?刃物振り回されたのよ!いくら魔法で出したクサで拘束しても、すぐに逃げられてたわよ!温室育ちは黙ってお部屋で寝てなさいよ!」



「何ですぐ人のこと閉じ込めようとするの!?」



「誰のためにやったと思ってるのよ!!だいたい、リイナだって同じことしたじゃない!」



そこからはしばらく、お互いがお互いに腹を立てすぎて、声にならない音を出しながら、互いが互いにお互いのほおをつねり合い続けた。



その間に、いつの間にかやってきたフィリックが、ロベリアを確保するために、警備の騎士たちを集めて連れてきた。


そして、私たちの喧嘩を尻目に指示を出しロベリアの確保に乗り出した。


もう捕獲段階に入っていると言うのに、今だ喧嘩が終わらない私たちを見て、フィリックはこういったことだろう。



「なんで喧嘩してんだあいつら。」



騎士たちからしたら邪魔以外の何でもないだろう。

それでも喧嘩を私たちは続けていた。


ここまで読んでいただきましてありがとうございます!m(_ _)m


クライマックス直前で更新途絶えてすいませんでした。

もうあとちょっとで1部が終わりますので、あとちょろっとだけお付き合いください。


もし、面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、星評価、感想、レビューいただけると制作の励みになります★



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