49話
「くっそ、またっ!」
リオスの指示により瓶の中に入っていた聖水は、見事ロベリアの体にかかり姿を現した。
バツの悪そうな顔をした彼女、しかしそれでも足を止めずに逃げる。
そして往生際悪く、そのままの勢いで廊下の角を曲がろうとした。
角を曲がったあと、巻かれたら探すのに苦労する。
捕まえるなら今がベスト!
「逃がさないわよっ!」
私はヒールをぽいぽいっと脱ぎ捨てると、足に勢いをつけてジャンプする。
そしてどさっという音を立てて、ロベリアに飛び掛かかった。
「観念なさい!」
「重っ!どけ!痛い!」
「重いとは何よ、失礼ね!」
私は自分の下でジタバタと暴れるロベリアを自分の体全身を使って押さえつける。
レディーのすることではないけれど、リイナの安全と、私の命がかかってる。
騎士達が来るまでに、拘束して、逃げないように監視しないと。
そこまで考えてハタと気がついた。
縛るものがない。
しかも、騎士達って、さっきの騒ぎで会場に集められてるから、こっちにしばらく来ないんじゃない?
可能性があってフィリックくらい?
いくら神様がいたって、誰にも見えない聞こえないさわれない、魔法も使えない神様なんか今使えないわ。
時間……どのくらいかかる?
数分なんかで来るとは思えないわ……人もいないから声出したって……どうしよう。
「いつまでそうしてるつもりだ!どけっ!」
その声と共に、私は顎のあたりにゴンという大きな音と共に衝撃を喰らった。
思い悩んでいる隙に、私の下でジタバタしていたロベリアは、思いっきり私の顎に向かって頭突きをしたのだ。
「いた……」
一人悶えていると、力が緩んだのを好奇と思いそベリアがずるずると私の下から抜け出した。
「バカめっ!人間の力だけで私を押さえつけられると思うな!」
そう捨てセリフを吐きながら、服をパンパンと叩いて埃を払うと、ロベリアはまた走り出し、目の前の角を曲がった。
自分で作ったキャラだけど……口悪いな。
自分に向かってそんな口調で言われると……腹がたつ。
って……そんなこと言ってる場合じゃない、ここで逃したら次はいつになるか。
「待ちなさい!」
私は顎を押さえながら立ち上がると、再び逃げ出すロベリアを追いかる。
大丈夫、聖水がかかった服はまだ乾いてない、姿は消せないはず。
リイナさえ鉢合わせなければ、まだチャンスは……
「ルナ!?」
なくなった。
「リイナ!?」
廊下の角を曲がると、その道の奥にリイナの姿が見えた。
まずいタイミング。
距離があるから、そこに辿り着くまで時間がかかる。
でもロベリアも気が付いて、リイナのところに向かってる。
「リイナにげて!」
私は彼女に向かってそう叫んだ。
しかし、リイナはこっちを見据えたま、一歩も動かなかった。
代わりに懐から何かを取り出し、床に投げつけた。
一体何をしようというのか。
想像ができないのでいたのだけれど、その答えはすぐにわかった。
「枯れ木に花を……かせましょう!!」
そう呪文を唱えると、床に投げつけられた何かが光り、うねり出した。
直後、ロベリアの悲鳴が聞こえてくる。
「うわああああああああああああ!!!」
気がつくと、ロベリアは、植物の蔓に体をぐるぐる巻きにされて、拘束されていた。
「いっちょ上がり!」
リイナが力を使ったのだ。




