47話
「リイナ!?」
控室で眠らせたはずのリイナの姿は、どこにもなかった。
「うそ、まさか……攫われて……?」
いいえ、それはないはず。
リイナが眠っていたはずのソファーが乱れている様子はないし、それどころか部屋が荒らされた様子もない。
ということは、自分で部屋を出た?
それはそれでまずいわ。
今、あの子は狙われてるのよ!?
廊下で鉢合わせたらどうするのよ!!
「リオス!!リオスいないの!?」
一か八かで、私はリオスを呼んでみた。
本体はリイナについて行っているにしても、分裂できるんだからその片割れはこっちにいるかも。
でも、もしかしたら会場にいると思ってそっちに向かってたら……すれ違いになってるかも……
「リオス!!」
私はもう一度大きな声でもう一度神様の名前を叫んだ。
すると
「どうかされました?」
呆れるくらい魔の抜けたリオスの声が聞こえてきた。
振り返ると、おしぼりが載せられていた小さなカゴの中にすっぽりおさまっておいた。
収まりがよく、居心地が良かったのだろうか。
翼で目をこすりながら、そこから顔をひょっこり覗かせた。
「あなた……そんなところで、なに居眠りしてるの?」
「えーっと……」
いや、返事なんか待たなくてもわかる。
これは……彼の居眠りによる過失だ。
だって私にしか姿が見えない以上、リイナが彼に何か施すことができるわけがないし、魔女も手出しをできない。
だとすると誰かに何かされるわけではないので、彼本人の過失以外にあり得ない。
この様子だとおそらく……
「すいません、薬でしばらく起きないと思ってたら気が抜けて……リイナいないんですか?」
「えぇ、あなたが居眠りしている間にね。」
わずかな望みで、分身はついて行っているのではと思ったのだけれど………やっぱりそんなことはなかったのね。
完全な過失。
まぁ、これ以上追い詰めても仕方がないわ。
「とにかく、城内のどこかに潜伏してロベリアがリイナのこと探してるの!探すの手伝っ……」
そうリオスに頼もうとしたちょうどその時、パンっ!という扉が開く音が聞こえた。
一瞬、リイナが戻ってきたのではないかと期待をした。
でも、そうではなかった。
「ルナ、パーティーはどうした?」
控室に来たのは、大きな樽を運んできたフィリックだった。
「フィリック!あなたこそ……どうしてここに……それは会場に運ぶ手筈だったでしょ!?」
「予定してた方はもう会場に運んでもらった、こっちはアモルト神父の助言でな。リイナのいる控室の前にこれを撒いたらどうかって。中に入ろうとしても、濡れた瞬間魔法が解けて姿が見えれば対応できるし」
「贅沢で素敵な提案ね、でも、もうこの部屋の前に水撒いても無意味よ。」
私は部屋の中を見渡しながら、手のひらで指した。
フィリックはその私の様子を見て、リイナが部屋の中にいないことを察したようだ。
「いないのか?ここに寝かせたんだろ?抜け出したのか?」
「だと思う、部屋どこも荒れてないし。」
「自分で抜け出したんなら、戻ってくるんじゃないのか?もしくは」
「悠長なこと言わないでちょうだい!会場で何があったのか聞いてないの?」
「なんだよ、なんかあったのか?」
あったなんてもんじゃないわよ。
でも、そんなことを言ってる場合じゃないわね。
時間もだいぶロスしてる。
説明も……改めてするのは面倒だわ。
「詳しくは現場にいるクロウから聞いて!あと、一本もらうわね。」
私は樽を開けて、ぎっしり入っていた瓶のうちの一つを適当に抜き取ると、近くにいたリオスを手招きして扉のノブに手をかける。
「おい、なんなんだよ!ちゃんと説明しろって!」
私は後ろで叫ぶフィリックの叫び声を聞きながら、控え室から退室し、リイナを探しに出かけた。
そんな私を見てごく自然の質問を私に投げかけた。
「ルナ、それ中身はなんなんですか?水のようですけど……」
「聖水よ。儀式の日、これがかかって魔法が解けたから、今回もこれを使って魔法を解いてやろうという作戦でわざわざ神殿から取り寄せたの。」
本来の作戦はこうだった。
聖女の儀式で、聖水が配られて、それを頭から被ったのがヒントになった今回の作戦。
パーティーの最後で、聖女がパーティーに参加したということを記念して友好の証に瓶に詰めた聖水で作ったスパークリングを参加者に一本ずつ振る舞う予定だった。
パーティーの最後に、シャンパンシャワーならぬ聖水シャワーをやって、それを口実に会場を聖水で水浸しにするのが目的だった。
会場中に撒かれれば、姿を表さざるを得ない。
まぁ、会場に紛れ込んでいることが前提の作、さっきのあの子の話を聞くと会場にいないみたいだし、もう使える作戦じゃないわ。
「かくなるうえは、この瓶の中の聖水を、彼女に直接かけるしかないわね。」
「でしたら、リイナを探した方が早いのでは?」
「そのリイナの居場所がわかんないんでしょう?どっかの神様のせいで」
「面目ない。」
「それで?なんか心当たりとかないの?」
私はリオスにそう質問した。
すみません、リアルがバタバタしておりまして執筆遅れました!
本日より再開です!
ここまで読んでいただきましてありがとうございます!m(_ _)m
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