第46話
「何をしたの!?」
「さぁ……私は上から指示を受けただけだもの」
「魔女はどこ!?」
「知らない、偽物の可能性があるって分かったら、どこか探しに行っちゃった。」
「いつ!?」
「覚えてるわけないでしょ」
彼女はそっけなくそう言い終わったところに、拘束が完了し、騎士たちによってどこかへと連れて行かれてしまった。
それを騎士達から脇腹の治癒魔法を受けながら聞いていたクロウは、会話の内容も聞こえていたようで、状況は把握できたらしく、後ろから私に声をかけた。
「ちょっと……まずいことになったね。」
「えぇ。私が会場入りしてから探しに行ったなら、時間経ってないしまだリイナのいる部屋には辿り着いてないと思うけど……」
「とはいえ猶予はなさそうだね……」
そういうとクロウは周りに治療はもういいと言ってスクっと勢いよく立ち上がったけれど、まだ完全に治ったわけではないようで、すぐに「いたっ」と言って脇腹を抑えた。
「ちょ、無理しないで。あなたはもので脇腹切られてるのよ!?私がいくから、治療終わるまで」
私は慌ててクロウを支えると、もう一度ゆっくり座らせる。
大したことないとはいうけど、だらだらと流れてる血を見るとそうは思えない。
まぁ、すぐに医務室に運ばれないあたり、急所自体は外れてるのだろうけど……
治癒魔法で完治するまでには少し時間を要しそうだし、そもそも自分を庇ってくれた彼を置いていくわけには……
「それでまた何かあったらどうするの?」
「なにかってなによ?」
「このまま放っておいたら、あの例の子供探しにいくだろう?」
「当たり前じゃない」
「思い立ったら、すぐに暴走する。それで自分の身を危険に晒して……」
「ご……ごめんって、無理に喋らないで!」
そう言って私はクロウに言い聞かせると、さっきまでクロウを治療してくれていた騎士にもう一度治療をしてくれるように頼み込む。
クロウの言うことには一理ある。
今回のことだって思いつきだったし、もしクロウが助けに来てくれなければ私は刺されていた。
私の身代わりになってくれたクロウに、感謝しつつも罪悪感がないわけではない。
心配なのは事実だし、本来なら彼の傷が癒えるまでそばでついていたいし、そうするのが常というものだ。
「だけど悠長なこと言ってる時間は……」
そばにリオスはいるけど、今の彼にできるのは監視だけ、リイナに声をかけることすらできない。
もし寝込みを襲われたら?
せっかく、身代わりになってまでリイナを守ったんだもの、ここでリイナまで呪われたら努力が水の泡よ。
それだけじゃない、私の呪いだって……解く方法がわからなくなってしまう。
罪悪感すごいけど……情に流されてる場合じゃない。
「クロウ……私のせいで、痛い思いさせてごめんね」
「急に何だい」
「本当に悪いと思ってるの」
私はそう言いながら、恩人の肩に手をポンっとのせる。
「だから、ここで仲間の治療を受けて、しっかり治してから、犯人追跡手伝ってね」
「ル……!」
脱兎の如く走り去る私の背後から、クロウが私を呼び止める声が聞こえた。
途中で声が途切れたのは、多分激痛が走ったのだろう。
薄情でごめんなさい!
でもあなたの怪我を完全に治すためにも、騎士達の治療を甘んじて受けて頂戴!
お詫びと懺悔とお礼は全部終わったら誠心誠意込めてするから!
それより今はリイナとロベリアのことよ
「リイナ、まだ無事かしら………」
ロベリアは今どこ?
しらみつぶしに探してるの?それとも心当たりを探してる?
ロベリアがどういう方法で攻撃を仕掛けてくるかわからない……私一人で捉えられる?
騎士たちに頼んでロベリアを探してもらう?リイナを守ってもらう?
無理よ、まだフィリックが戻ってきてない。
あれがないと騎士たちがロベリアを見つけるのは無理だし、姿の見えない状態でリイナを守ってもらっても視覚を狙われたらアウト。
それに、この状態で騎士たちにスムーズに行動してもらうためには、クロウの協力がいる。
もしかしたら、手当を受けながら状況の説明してくれてるかもしれないけど……色々な事情からすぐに動くのは無理だわ。
今、私がしないといけないことは何?
「まずはともあれ、リイナの無事を確認しないと」
私はリイナを眠らせた控室に向かった。
万一、私の後をロベリアにつけられていたらアウトだけど、リイナの無事を確認しないでできることなんか何もない。
それに鉢合わせなら好都合だ。
そもそもロベリアを捕まえるのが、今回一番の目的なんだもの。
「リイナ!」
しかし返事はない。
眠っているからではない。
この部屋にいるはずのリイナの姿が見当たらないのだ。
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