第45話
中身は全く知らないそばかすのある、薄めの赤みがかった茶髪の女性……いや、少女だった。
しまった、ベールのタイプが、頭全体を隠すタイプのものだったから、髪の色まで気が付かなかった。
「ちょっと待って、なんで……全然候補にすら上がってない知らない子がリイナを狙うのよ?」
私は一人パニックになった。
しかし、私以外の人間は少し反応が違うようだ。
「彼女皇女様の侍女じゃないか?」
「え……あんな子いた?」
「あのドレス……どこかで見たことあると思ったら、皇女様のドレスよ」
「盗んだってことか……?クローゼットから盗めるとしたら、やはり侍女なのか」
「いいえ、皇女様の指示なのかも。」
「なんで皇女様の使用人が、聖女を狙うんだ?」
「歴史的なことを考えればあり得るわ、聖女に立場を追われそうになって……」
彼女がきているドレスと歴史が、皇女の陰謀の証拠ではという疑念が、参加した貴族たちの間で囁かれていた。
もちろん、それで確定するわけではないけれど、噂好きの貴族たちの話題の種には十分だ。
その疑惑がざわざわと広がっていった。
そして、この状況を皇女の側近が、彼女を囲み詰め寄った。
「聖女を襲おうとしたなんて、皇族としてあるまじき行為ですぞ!」
「ま…まって、なんのこと?私知らないわよ!?誰が自分の誕生日パーティーでこんな問題起こすのよ!仮に聖女が気に食わないとしても、こんな方法使うわけがないじゃない!!なんなのあの子!!」
「往生際が悪いですぞ!!」
臣下に問い詰められても強く否定をする皇女、その様子は見方によっては言い逃れをしようとしているようにも見えるけれど、本気で否定しているようにも見えなくはない。
しかし、会場内の声が、皇女の侍女が聖女を襲ったという声で結論づけてしまっている。
こうなっては収まりがつかない。
その様子を見てクロウまでもがこういった。
「……これで、リイナを黒幕は皇女様で確定か?」
「でも、そうとも限らないわよ。刺しにきたのはあの子じゃない」
「単純にあの子を切っただけかもしれないじゃないか。」
「切るって……じゃあ、ここまでしても結局なんの手掛かりもなし?」
「それを判断するには聞いてみるしかないね。雇い主が同じならその人が何か知ってるかも」
「なるほど、でもそんな簡単に教えてくれるかしら……」
とはいえ、他に手掛かりもない。
私を刺しにきたそばかすの彼女の雇い主くらいはわかるかもしれない。
その雇い主が同じことを祈るしかないわね。
私は脇腹の治療を受けているクロウを尻目に見ながら、取り押さえられてロープでぐるぐる巻きになっている、私を刺しにきたそばかすの彼女に近づいた。
「あなたの雇い主は誰?本当に皇女様?」
そして彼女に声をかける。
遠回りな言い回しなんかしない、単刀直入な質問だ。
クロウの言うように、雇い主だけは確定させたい。
それさえわかれば、あの子がどうなったのか、どこにいるのか、情報が手に入るかも。
しかし、囚われた彼女は、私の質問には答えなかった。
「やっぱり、あなた偽物だったんだ。」
「え……」
その代わりに答えた言葉は、予想外のものだった。
私は慌てて自分の髪を抑える。
さっきの衝撃でウィッグがとれたのではと不安になったのだ。
でも、彼女が私を偽物と判別したのは……髪の色じゃなかった。
「声が本物の聖女と全然違う。」
「声?」
声って……確かに、リイナの方が声は私より少し高い。
だから、一度でもリイナにあったことがある人なら声で判別は確かに可能だ。
でも、彼女は周りの話を聞く限り皇女様の使用人でしょ?
リイナと会う機会はなかったはず。
「……聖女のこと知ってるの?」
「よーく知ってるわ。」
「どうして?どう言う関係?」
私は彼女に問い詰める。
この子の発言は重要なヒントな気がした。
でも、やっぱり彼女は私の質問なんかに素直に答えてくれない。
「ねえ、私に構ってていいの?」
「何言ってるの……私の質問に答えな……!」
「このままだと、今度こそあの聖女、魔女にやられるよ?」
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