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第44話


フィリックに例のものを取りに行かせた後、私は重要なことに気がついた。



私喋れないのよね。



風邪設定のこともあるけど、喋ったらリイナじゃないってバレるから。


まだ皇女様としか挨拶もしてないっていうのに……こういうのって挨拶回りしないとダメなんじゃなかったっけ?

誰かと喋るわけにはいかないし、知らない人とおどるわけにもいかないし……


それにどうしよう、喋れない弊害はそれだけじゃない。


チェルシー嬢とキャシー嬢に話聞いて情報仕入れようと思ったのに、これじゃあ無理ね。

いえ、見た目こんだけそっくりなら、意外と騙し通せるんじゃ……。


だめだ、チェルシー嬢はフィリックの婚約者候補に名乗り出てて、キャシー嬢はリイナと一緒に聖女の座を争って切磋琢磨しあった存在。


皇女よりもリイナの声を知ってるわ、声かけるのは無理ね。


しまった、何もできないじゃないの。

なんでフィリックに行かせちゃったんだろう……一緒に行けばよかった。


あーあ、やっぱり私も誰か相手見つけて普通に潜入するべきだったかしら。

いえ、目的がリイナに変装して入れ替わることだから意味ないか……。


じゃあ、ロベリア出てくるまでやることないじゃない。


どーしよ………いっそなんか食べる?

確か軽食あったし。


うーん油断してるようには見せられるわよね。

でも、風邪ひいてる設定の令嬢がもりもりご飯食べるのもなぁ……。


リイナの性格的にありかしら。

私の性格的には全然アリだけど。


お腹空いてるし。


でもまぁ……そんな食事してるほど余裕もないか。


キャシー嬢とチェリッシュ嬢の居場所くらい探す?

いや、この人混みから探すのは難しいわ、今動くとフィリックと合流するのに時間かかるし。


あとできることは何かしら。

先にシミュレーションくらいしておこうかな。

ロベリアが現れた時の。


それかロベリアが出てきた時のためのシミュレーションでもしてみようかしら。

逃げるだけじゃダメだから……なるべく正面で受け止めて、ギュッと抱えて……


その間に騎士呼べばいいかしら?


あぁ、わかった。

町で倒れた人を助ける時のように、大声で周りに頼めばいけるわきっと!


AEDお願いします!とか、だれか救急車呼んでください!とか。


そうだ、どの位置から来てもいけるように誰かをターゲットにして考えてみよう。


例えば、あの黒いドレスを着てる人がこっちに向かってくるとして……



ん?



なんであの人、顔の前に黒いベールなんか……お葬式でもないのに……

お相手はどこ?もしかして喪中?


なるほど、未亡人だから一人で……いやいや、未亡人でもパートナーはいるでしょ普通。

っていうか、あの身長なら子供か。



そして、腰のあたりで何かが光ったのが見えた。



普通の貴族令嬢ならば持っているはずのない…



細長い銀色の何か。



嘘でしょ……



刃物!?



刀?包丁?



なんであんなもの持ってこんなところに……まさか、あれロベリア!?

身長的にもあんなもんな気がする。



嘘、ちょっと待って、呪いじゃないの!?呪いかけてくるんじゃないの!?

物理攻撃するつもり!?



なんで!?



こ……これは……襲われたところ抱えるの無理



っていうか、あんな怪しい人物、誰か早く気づきなさいよ!!

あの近くにいる人達、誰も気づいてないの!?


やっぱ黒いベール被ってるのが怪しくて、避けられてるのかしら「しっみちゃいけません!」みたいな。


私は一度逃げようと思ったのだけれど……いかんせん、その人物のフードの隙間から目があってしまった。


選択肢は3つあった。



1、なかったことにする。

2、フィリックに言われた通りにする。

3、自分で捕まえる



1、無かったことにしてどうするの?

狙いはリイナだろうけど、周りを傷つけない保証は?


3、自分でなんとかする?

呪いの魔法だったら一度かかってるから、同じ呪いにはかからない。

けど……刃物はまずいわよ、刺さりどころによっては即死よ!

治癒能力持ってる人がいれば助かるかもだけど……痛いのは嫌!


一応4つ目の選択肢として、様子を見るという選択肢もあるけれど、だめね。

目があったせいで、黒い服の人、こっちに向かって歩いてきてるもの。


来るだけならいいんだけどれね、持ち手を持ってなんかかちゃかちゃやってるもの、刺されるの待ったなし。

ドレス着ててベール被ってる不思議ちゃんのおかげで、誰も彼女を見ようともしてないから、気がついてない。


仕方ない、声出すとバレるけど……ここは会場にいる騎士に捕まえてもらおう。



「衛生兵!衛生兵!!!不審者を捕まえて!!」



パニックになってなんか違う言葉叫んじゃったけれど、まあいいや。

みんなの視線集めるのには成功したわけだし。


これで諦めるかも。

それならそれで、こっそり追いかければ……


と思ったけど、ここに来てデジャブ。


彼女がどうやらヤケクソになったらしい。



ダダダと足音をたて、刃物をこちらに向けて持こっちに走ってきた。



周りはそれを見てわぁとかキャァとか、大騒ぎだ。


まったく、なんでシチュエーションがいつも同じなの?ワンパターンなのよ!!



視界には「はぁっ!」と言いながらこちらに向かってくる黒いローブを被った彼女がスローモーションに見える。


ガチで殺しにきた!?


あー刃物は想定してなかった、魔女だから魔法って決めつけてた。


物理で即死させたいほど切羽詰まってたの?




これは……終わった……




そう思った時




ドサっという音と、体に衝撃を受けた。


自分の体方が倒れたらしい。


一瞬、あぁ、私はこれでまた死んだんだ……と達観したのだけれど、倒れた時に受けた衝撃以外、痛みはない。


おかしい、あの角度なら、脇腹に深く入っていてもおかしくなさそうなのに。


私はゆっくり目を開くと……





「クロウ!?」




よく見知った人物が自分に覆い被さっていた。



「間に合った……」



「大丈夫!?」



「ただのかすり傷だ」



「かすり……脇腹……結構血が……何で騎士の鎧つけてないの!?……ていうか、あなた、今日会場にはいないはずじゃ……」



今日は騎士として動く予定のはず……だったら、装備は万全のはず。

なのに……何でそんな軽装備なのよ!



「それは、こっちのセリフだ……なんで君がここに?君は留守番で、ここにいるのはリイナのはずだろ?」



「入れ替わったのよ……ムダンデ。狙われてるってわかってる本人連れてくるわけにもいかないでしょ!」



「バカ!やるなら身の安全を完全確保してからやれ!いっ……」



「ご、ごめん……謝るから、もう喋らないで!」



向こうも相当ご立腹のようで怒鳴られてむかついたけど、怪我人相手に言い合いも何もないもんだ。


ぼたぼた血を流しながら、こんなに怒鳴る体力がよくあったものね。

本当はすぐに手当てしたいんだけど、それどころでもない。


黒のベール被った令嬢は、まさかのトドメを刺そうとこちらに刃物を突き立てようとしていた。


しかし、さすがにそれを避けられないクロウではない。


瞬時に体制を整えると、すぐに刃物を持つその手を跳ね除けて、刃物を誰にも当たらないように手から離させた。


それを見ていてようやく追いついた他の騎士たちがようやくその刃物を持った黒い服の人を取り押さえた。


魔女と思わしき人物が囚われると、完全にクロウは私の上からどいてそういった。

私が立ち上がれるように手を差し伸べた。



「まぁ、僕も傷を負ったし……これでチャラだよね?」



でも怪我人の力を借りるのも申し訳がないので、私は自力で起き上がった。



「来年の今日、私がまだ生きてたら、この左手のこともチャラにしてあげる」



なんて憎まれ口を叩きながら。


そして、私は近くにいる騎士に治癒魔法を使える人間を呼ぶように頼むと、取り押さえられた彼女に視線を向けた。



「さっきはぐらかされた話は後で聞くとして……彼女よね。」



「思いの外あっさり捕まったね、この子があの時の?」



「だと思うけど……なんで今度は魔法じゃなくて刃物で……」



そう言いながら、私は令嬢の被っていたベールを剥がした。

その中身が、あの日のピンクの髪の女の子だと信じて


ところが……期待は裏切られた。




「……だれ?」





ここまで読んでいただきましてありがとうございます!m(_ _)m


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