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第42話 パーティー参加


パーティー当日。


会場である皇宮に入場すると、私とリイナは用意された控え室に案内された。


聖女が来ると言うことで、かなり手厚く扱ってくれているらしく、お茶やらお菓子やらが用意されていた。

まぁ、セルフサービスなんだけどね。


私は用意されていたティーポットとティーカップを手にとりお茶を入れると、リイナにそれを手渡した。



「それ、ルナが入れたの?」



「そうよ、だってこのあたりのことはセルフサービスみたいなんだもの、係の人とかいないし。」



それを聞いたリイナは、一瞬私の手渡したティーカップをしげしげと見つめると、それを受け取ってリイナはお茶を口に含むと、ポツリとリイナはこんなことを呟いた。



「そんなに私がここにくるのってそんなにおかしいことなのかな……?」



そしてお茶を飲み終わるなり、素朴な質問を私に投げかける。

まぁ、わかっていたとしても、リイナが改めてそう思うのも無理はない。


聖女が来ることは、貴族たちの間ではもちろん、庶民にまでもその話題が広まり、様子を見ようと皇宮の周りを取り囲み、すごい騒ぎになっていて、私たちの乗った馬車が皇宮にたどり着くなり、「聖女さまが皇宮に入られるぞー!」とか「歴史的快挙だー!」とか言って馬車に乗ってリイナが皇宮に入るその様子を見にくる有様だったのだから。



「基本聖女……というか神殿と皇族は仲悪いのは、歴史的事実だもの。リイナもわかってるでしょ?」



「それはそうだけど……でも歴代の皇后の中に聖女って多いじゃん。」



「神様と話せる人物が、皇族以外にいると問題だから親戚にしてるだけ。リイナみたいに皇族入りしない場合は話が別よ。」



ここで、少しだけ皇女と聖女のことを話そう。


当然ながら、皇族はこの国のトップで国を収める存在、一方聖女は権力もなければ、政治に関する権限もないが、聖女は神のお告げを聞き、それを神の代弁者として人々に伝えるのが役目。


神が関わっている以上、どうしても聖女は政治と無関係ではいられない。


相容れないのも無理はないので、基本聖女は、皇太子と結婚し皇族入りをするのだけれど……



「今回皇太子は歳が離れていて既婚者子持ち、後継者決定してるし、こう言う時は基本聖女は皇室の出入りを避けるのが歴史的には通例だから、この反応は当然だと思うわよ」



「いやぁ……奇跡だよね、普通だったら年離れてても子供いても、側室ってことで嫁入りさせられそうなのに」



「他人事みたいに言うんじゃないわよ。でもそうね、今の皇太子には感謝しないとね。愛妻家で一夫一妻生主義らしいから。まぁその代わり聖女が皇室入りしない時は、交流断絶が通例らしいけど。」



「権力には興味ないのに、身内じゃなければ皇宮出禁なんて、酷い話だよね。まぁ、おかげで騒ぎになって目論見通りなわけだけど。」



確かに、今回のことは聖女の儀式の時の話題性と堂々かそれ以上の騒ぎになっている。

リイナをもう一度狙うなら格好の餌食、クレム皇女、並びに貴族の誰かに囲われているなら今日を狙ってくるだろうし、囲われずに逃げているのなら、最後の汚名返上のチャンス。


このパーティー会場に来るだろう。


だけど、それはリイナをもう一度危険に晒す行為なわけで……。



「リイナ、本当にパーティーに参加するつもり?」



それをが心を咎めた私は、リイナにそう質問をした。



「宮殿の中に入ったところ、あんなに大勢の人たちに見られてるのに、今更参加しないとか無理だよ。」



「でも色々危険よ?あの子のこともあるけど……聖女の頃で好奇な目にもさらされるかも」



「大丈夫だよ、あの子がそれで誘き出されてくれるなら。」



まぁ、そうよね。

やっぱり引いてくれるわけないのよね。

しかもこれ、私のためだから止めようがないし。



「はぁ……せめて私が一緒にパーティー行ければ……。」



「体調不良じゃ、パーティー参加は無理だよ。」



体調不良じゃないわよ、呪い付きなだけよ。

まぁ、確かに聖女の次に、呪いのかかった令嬢なんて縁起悪くて来てほしくないだろうけど。



「それに行きたくたって、パートナーどうするの?」



「それは……」



フィリックとアモルト神父は後で来るらしいんだけど、フィリックはリイナ相手、アモルト神父は神官として参加するらしいからパートナーとかいらないし。


クロウはそもそも来ないらしい。


いや、来ないと言うより彼は騎士だから、単純にパーティーの日は警備をするようにと出動を命じられているのかも。


だから、身近で手っ取り早く男性パートナーを準備できないのよね。



「なんか悲しくなってきた。」



「あ、ごめん。今すぐには準備できないって言いたかっただけで!」



「いいのよ慰めなくて……。事実だし、確かに縁談の1つも舞い込まないし。」



「そこまで言わなくても、ルナの近くにも案外いるかもよ?」



「だから、ほんとに慰めはいらないのよ!」



別に本当に王子様と結婚したいわけでもなければ、王子様みたいな人と結婚したいわけでもなし、別に本気で言ってるわけでもないからいいのよ。


このまま呪われてたら、娶ってくれる殿方もいないだろうし。


やだ、ほんとに悲しくなってきた。


いいのよ、そんなくだらないことはどうでもいいのよ……私は私のやるべきことをしないと……


そろそろだと思うんだけど……まだかしら。


フィリックが来るまでに準備しておかないといけないんだけど……間に合うかしら。


私はチラリと時計を見る。


ちょうどその時だった、リイナは大きな口を開けてあくびをしたのは。



「リイナ、どうしたの?眠いの?」



私はわざとらしくリイナを気遣うふりをして、肩にそっと手を置いた。



「うーん、慣れない場所きて疲れちゃったかな」



「大変!少し眠ったほうがいいわ!パーティーの前に英気を養わなきゃ」



そしてそのまま大きなソファーまで連れて行き、リイナを横に寝かせる。



「でもパーティー……」



もちろんそんなつもりはないのか反発して起きあがろうとするけれども……

私はそれを押さえつける。



「少しくらい大丈夫よ。そこのソファーで10分くらい横になったら?時間になったら起こしてあげるから」



きっとそれでも反論はしたかったのだろうけれど、次第に眠気の方が強くなったのだろう、リイナは『じゃあちょっとだけ……』と言って眠りについたのだった。



「……」



私はその様子を見てニヤリと口元だけ笑った。





それから数分後。

私たちの控室を誰かがノックする音が聞こえた。


フィリックだ。



「リイナ。準備できたか?」



私はそのノックに答え、無言で扉を開く。


何かいろいろ聞かれたけれど、

にっこりとだけ笑ってフィリックの後をついていくのだった。

喋るとバレるから。


しかし、もうすぐ会場に着くというところまで、私が一切喋らないものだからさすがに心配になったのだろう。



「なぁリイナ、本当に大丈夫なのか……?嫌ならやっぱやめるか?」



と聞いてきた。


本当はこのまま押し通そうかなと思ったのだけれど、そこまで心配してくれているのに何も言わないのは良くないし……何より、やっぱりあの時、リイナの囮作戦に反対しなかったのは、あくまで本人の意思を尊重しただけで、やらせたかったわけじゃないんだな。


なんてことに安心したので、これ以上引っ張らず、ネタバラシをすることにした。



「心配しないで、大丈夫だから」



私の声を聞くと、フィリックは後ずさって驚いた。



「……ルナ!?」



「あら、しゃべるまで気づかなかった?私もいけるわね。」



まぁ、私だとわかった時の驚き方が、まるで幽霊を見た時のようだったのはいただけないけど。



「性格が違うせいかな…あんまり気が付かれないんだけど、私たち顔も背格好も案外似てるのよね〜いとこだからかしら」


だから意外と私が黒髪のウィッグをつけて仕舞えばそっくりなのよね……簡単に返信できて便利だわ



「どう?多少はときめいた?」



「まっっっっっっっったく」



「ひどっ!仮にも着飾った女性に対していう言葉?」



「悪かった、で、リイナは?」



「大丈夫、奥の部屋でオレンジ色のウィッグ被せて部屋に寝かせてる。」



「大丈夫なのか?」



「強力な眠り薬飲ませただけだから大丈夫よ。後一時間は目が覚めないと思う。あ、一時間も目が覚めないと……パーティー行く相手いなくなっちゃうわね。大変!もう宮殿に入ったっていう目撃情報はたくさん上がってるのに、いまさら欠席なんてできないわよねぇ……?」



私の行動と説明を聞いて、全てを察したのだろう。

フィリックは盛大なため息を吐いてこういった。



「入れ替わってパーティー参加したいっていうんだろ?リイナの身代わりとして。」



「そう」



「全く……なんのために俺たちが……」



「大丈夫よ、同じ呪いを2回かけることはできないもの、むしろ安全よ。それに一人にならないと向こうも姿表してくれないでしょ?」



「……勝手なことを……クロウには言った?」



「言わないわよ、いないから。なんで?」



「……せめて言ってやれよな」



フィリックは額に手を当ててあちゃーとでも言いたそうな表情を浮かべた。



「ここにリイナ残していくのも危険だろ。万一ここかぎつけられたらどうすんだ?」



「大丈夫、そのためにアモルト神父にも来てもらったんじゃない」



「護衛のために呼んだのかよ、神父可哀想。」



「心配だったら、一通りやること終わったら部屋行ってあげて。その方が私も安心」



「そうしたいのは山々だけど、ルナは?お前を一人にするわけにもいかないぞ?」



そういえば、そもそも元の物語では、ルナはフィリックのこと好きっていう前提の話なのよね。


もちろん聖女の従姉妹、親族として比べられたことへの嫉妬もあるけれど、いちばんの嫉妬は恋愛に対してだ。


きっと、こうやって一度でいいからフィリックと一緒にパーティーとか出てみたかったんだろうな……


ん?


今の私?



まっっっっっっっっっったく興味ない。




一応子供の頃は好きだったけど……なんだろうな……ときめきとか全然ないわぁ……



なんでだろう。







ここまで読んでいただきましてありがとうございます!m(_ _)m


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