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第31話 ルナが呪われた弊害・聖女に対する異議申請

※4/3


一部内容修正、入れ替えを行わせていただきました!


以前の30〜34話の内容に変更がございます、ご了承いただけましたら幸いです!



「ですから、これを見過ごしていいことではないと申し上げているのです!」



神父様の部屋に、貴族の婦人たちが集まっている。

あの女性は……みな元聖女候補のお母様方で、神父の周りを取り囲み、詰め寄っている。



「しかしですね……儀式はすでに執り行われ、正式に……」



「詭弁を仰らないでください。」



「あのような儀式、無効です。」



神父も必死に説明しようと頑張ってはいたのだけれど……

誰も耳を傾けようとしない。


前世でこういうの、学校で見たことあるなぁ……いや、テレビか?ネットか?


なんでもいいけど、こういう親たちを表す言葉って、なんかあったわよね……なんだったかしら……まぁいいわ。


どのみち、そんな人間の前で、アモルト神父は無力だった。



「彼女が正式な聖女であることは、皆さんもお認めになったではありませんか、最終決定は覆りません」



「悪い冗談はおよしになってください」



「まだ、彼女は正式な聖女になっていないはずですわ。」



「彼女は、滝にたどり着くこともできなかったではありませんか。儀式に参加した我々貴族、全員が目にしております!」



「あの滝で、神と会話しない限り、正式な聖女になり得ないことは、周知の事実!」



「確かに彼女は、私たちが納得せざるを得ないほど実力をお持ちですわ、ひのうちどころがこれまではなかった、しかし状況は一変しております。」



「気の毒だとは思いますが、彼女は今回の一件で呪われた親族が出てしまったではありませんか」



「彼女は聖女の座に相応しくないのでは?」



「不吉です」



「そうですわ、あのようなことがあっては、彼女の血筋は汚れたようなもの。そんな彼女を神に仕えさせるわけにはまいりません。」



「そもそも、生命を吹き込む力だと伺いましたが、聖女にはそもそも、浄化や治癒能力を持つ人ん弦の方が相応しいのではなくて!?」



「リイナ嬢は聖女の座を降りるべきです。」



「聖女の再選定を要求します」



扉の隙間から、彼女たちの主張を一通り聞いた私たちは、それ以上聴いていられなくて、そのわずかに開けた扉を静かに閉じた。



「どう言うこと?」



扉を閉めて早々に、私は2人に質問をする。

彼ら2人は事情を知っていたようで、しばらく口をもごもごとさせたあと、説明をしてくれた。



「君は一週間部屋の中にいたから知らないかもしれないけど……今、リイナが本当に聖女に相応しいのか、議論されてる。」



「え……でも、儀式は終わったはず。一度儀式をしたら……」



「今の話を聞いただろ?リイナは滝まで行ってない。」



「じゃあ……」



「儀式は君倒れた後、中断されたんだ。あのまま続行できるはずないだろう?」



「一応庶民たちが混乱を起こさないように、表向きはリイナが聖女ということで通してるけど、実際はまだ、一番肝心な『神との対話』を終わらせていない。正式な聖女にはなってないんだ。」



言われてみればそうだ……普通あんなことがあった後、儀式なんかできるはずない。

でも、儀式ができなかったからって、聖女の選定をやり直せ……というのは暴論ではないか。


あくまで、リイナは狙われただけであって妨害したのはロベリアで……

でも、話を聞くと、そこは問題ではないらしい。



「しかも、儀式中の出来事だ、ルナが呪いにかかったことは、出席した貴族たちはみんな知ってる。」



「神官の服って腕が簡単にめくれるだろ?倒れた君を必死に介抱しているときに、腕があらわになったんだ」



「じゃあ……私のこの呪いのこと知ってるのって」



「儀式に出てた全員が知ってる。だから、抗議が来てるんだよ……『呪われた人間が身内にいる家系に、聖女を任せていいのか』ってね。このままこの意見が通ると、最悪聖女の座を剥奪される」



フィリックはそう言いながら扉の方を指差した。



「そんな……」



「呪いが解ければそれでいいけど、もしそのまま呪いで君が死んだら……そのまま聖女の座が別の誰かに奪われるかも。そうなると問題は……」



クロウが何かを言いかけたその時。



「フィリック様」



廊下の向こうから、中年男がそう叫ぶ声が聞こえてきた。



フィリックは頭をポリポリとかきながらそういう。



「うわー……またきた。」



廊下の向こうにいる男が何者なのか察したフィリックは、わたしたちにしか聞こえない声で、そう呟いた。

その彼を笑顔(目は死んでる)と乾いた笑でおちょくるようにクロウはこういった。



「何、君も君で対応に追われてるの?」



「まぁな。やっぱ、あれが大勢の貴族の前で見られたのが不味かったな……。まぁなんとかする。」



自分の客人の呼び出しに応じないわけにもいかないフィリックは、そういうと嫌々中年男性の元へ歩いて行った。


状況を把握できていないのは私だけらしい。



「な……何よ……何が起きてるの?」



「あの男性……見覚えない?」



クロウにそう言われて、私はもう一度目を凝らして廊下の向こうにいる中年男性を見る。

遠くにいたのですぐにはわからなかったけれど、よくよく見たらわかった。



「あれ……フローレンス侯爵じゃない……フローレンス侯爵って確か……」



「そう、娘さんのチェルシー嬢が、フィリックの婚約者候補の一人」



「何が候補よ……もう何年も前に婚約決まってたのに2人の婚約に割って入ろうとしてきたんじゃない!」



「君はリイナに肩を持ちすぎて、記憶が書き換えられてるよ。正確にはあのとき2人はまだ婚約確定してなかったからね。」



「そうだったわね」



チェルシー・フローレンス。


彼女は私の執筆した物語にも出てくる。

リイナのもう一人のライバルであり、友人だ。


嫉妬でリイナの全てを恨むルナとは対照的に、全面的に事実を受け止め、負けを認める人だ。


まぁ、それは物語がもう少し進んだ後の話。


現段階では、父親主導とはいえ、リイナの婚約を横取りしようとしているに過ぎない。


リイナの婚約がが完全に確約したのは、実はリイナが聖女として確約されたつい最近だったのだ。


つまり、それまではリイナだって婚約者候補でしかない。


当然他の候補者の話も舞い込んでおり、そのうちの一人がチェルシーなのだ。


フィリックがチェルシー含め、他の候補者を断ったから、ほぼリイナ以外に候補はいなくて事実上確定ではあったけれど、聖女になることという条件はずっと外れなかった。


そしてその約束が果たされたから、そのまま決まりになったわけだけれど……



「もしかして、この扉の中の話が片付かないと……」



「消えるかもね。リイナの婚約話。」



「そんな!」



それはダメよ!!

なんのために私が本来の道を逸れて、黒幕を降りたと思ってるのよ!


私はリイナに幸せになって欲しくて……幸せな結婚をして欲しくて、それを見守りたくて、黒幕を降りたのよ!


私のせいで婚約破棄なんかになったら、本末転倒じゃない!!



「まぁ、考えようによってはありかもしれないけどね。リイナの体を守ることが目的なら、このまま彼らの要求を飲んで、役割降りるのも手だよ。黒幕の狙いが聖女の座なら、それでもう手を引くだろう。」



「身を守るために、何かを諦めなきゃいけないなんて…理不尽よ!」



「そうはいうけどねぇ……でも少なくとも、君が呪いを解かない限りは事実は変わらないよ。このままだとリイナの未来は確定することになる。生きることを諦めてる場合じゃなくなったね」



クロウは笑顔で私にそういった。

全く、もしかして私に葉っぱかけてるつもり?

さっき弱音を吐いたから?


もうさっきの話はチキン食べ終わった瞬間に終了した話なんだから、掘り返さないでよ!


私はバツが悪くなり、話を変えた。



「抗議に来てるのは。候補者の親だけ?」



「だと思うかい?」



んなわけないわよね


親たちがここで神父詰め寄ってるってことは、元候補者たちはリイナのところにいるに違いない。



「リイナはどこにいるのかしら……」



そう思って当たりをキョロキョロしていると、こちらに向かって飛んでくる白い鳥を見つけた。


リオスだ。


ということは……そういうことなのだろう。




私はリオスの後をを追いかけて行くと、次第に令嬢たちの賑やかな声が聞こえてきた。

そして、角を曲がれば女性たちの姿が見えるというところで、特に何も話すことはなくリオスは消えた。



「今のあなたには相応しくないわ」



なんて、声を荒げている上品なお嬢様方がリイナを囲んでいた。






ここまで読んでいただきましてありがとうございます!m(_ _)m


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