第25話 作者の意図と世界のズレ……
「東?」
私は、相変わらず頭の上に座っているナビ役のリオスに質問をする。
リオスは『黙って聞いててください』と一言言うと、わけを説明した。
「整備されてない道なのですが、それを目眩しのつもりで、あえてそうしてるみたいです。」
「そこが近いってこと?」
「と、言うよりそこからじゃないと、家まで辿り着けないようになってるみたいです。結界魔法のようですね。」
なるほど。
そういえば物語では、ルナは道なりに行って、長いこと歩いても家までは辿り着かないって筋書きにしたんだったっけ……ロベリアにも『森を一人で彷徨う、根性ある令嬢がいたから、願いを叶えてたんだ』とか言わせた気がする。
なんとなく結界を張ったのかも……みたいな想定はしてたけど、はっきりその辺りは本筋には関係なかったので詳しい設定決めてはなかった。
だから、実際どうなってるのかわからなかったけれど、私が決めてない曖昧な設定はこうやって辻褄が合わさっていくのね。
「どうするの?真っ直ぐ?」
痺れを切らして、クロウが私にもう一度そう質問をしてくる。
しまった。
私がリオスからナビを聞き、一人で納得している間、私が発言をしなかったから変に思われてしまったようだ。
「ごめんなさい。東に向かって!大木があるはずだから」
「了解」
そういうと、手綱をパチンと叩いて方向転換をして、東に向かって馬は走っていくのだった。
それからしばらく、東に向かって走っていると、大木が見えてきた。
あからさまに他の木と大きさが違ったので、それがそうであることがすぐわかると、すぐに私は『止めて』とクロウに頼む。
そして、馬が止まると飛び降りて、大木のそばまで駆け寄った。
「間違いありません、これですね。」
「ここからはどう進むの……?」
「細かいところは、僕がナビゲートしますが、基本的には赤色の瑠璃蝶草の花が目印です」
「赤色の瑠璃蝶草?」
私が質問すると、リオスは近くに見つけたその花の場所まで羽ばたいてその上で停止する。
「これです。」
呪いのあざと同じ形。
なるほど、呪いと言い、目印といい、瑠璃蝶々草が好きなのね。
私はそう言いながらリオスの元まで歩いていく。
そしてその瑠璃蝶草を確認した時、馬を止めたクロウが私の元へやってきた。
「これを辿ってください。それを一つでも逃したらやり直しです」
「RPGみたい」
私はリオスに言われたことをクロウに伝えると、そのまま徒歩で森の奥まで歩み絵おすすめた。
瑠璃蝶草を探しながら、見つからない時はリオスのナビを聴きながら、歩みを進め、
10分くらい歩いていくと、吹抜けた空間が現れる。
ここまでの道のりは、木の生えてない場所なんかないくらいだったのに、かなり整備された広場のような、広い空間ができていた。
「アレかな?」
クロウが指差した先、その中央には光が差し込んでいたそこには小屋……いえ、ちょっとした別荘みたいな2階建ての家があった。
「洒落てるわね……しかも意外に大きいわ」
私はそっちの方へ向かって歩いていく。
家は木造……でも木の板で適当に作った壁と屋根を作った感そのものではなく、丸太で作った小さくておしゃれなログハウス。
低めとはいえ、二階建てで、煙突がある。
屋根の一部と壁の一部がガラス張りになっている。
この世界の技術でできないことはないけれど、おしゃれすぎる。
……これは流石に戸惑った。
だって……私の想定とは大きく違ったから。
「ロベリアの家……小屋のつもりで執筆したはずなんだけどな……」
「まぁ、詳しい描写を書いてなかったからじゃないですか?そう言う部分は自動的に捕捉されているように感じますし。」
確かに、さっきも言ったように、私はロベリアのことはそんなに詳しく本編(とは言っても個人的メモ書き程度だけど)には書き記していない。
だからって、こうも違うものだろうか……世界が矛盾を捕捉した……と考えるにはちょっと。
それともあくまでこの世界は、メモ書きに書いた設定の方は無視で、パソコンに書き上げた本編だけが具現化された世界なのだろうか……
それとも……何かが原因で、色々設定が変わった?
変わったのは……家の設定だけ?
それだけですむ?
他にも何か、変わった設定あるんじゃ。
……なんか、だんだん嫌な予感がする。
ここに……いるのよね……本当に……。
「お邪魔しまーす!どなたか、いらっしゃいませんかー!?」
私は不安をかき酢用に、大きな声でそう言いながら、おしゃれなログハウスの一口の扉をバンっと開いた。
周りを見回す。
ガラス張りだからか、奥の方は光が差し込んでいて、とても明るかった。
手前はキッチンとリビング、薬も作るせいか、角には薬草の入った袋が置かれていた。
奥の方はガラス張りの壁があり、その壁に沿うように背もたれ腕掛けのない長椅子が置かれていた。
木の壁の中には本がある。
外観に負けずおしゃれな空間だ。
でも……今はそんなこと関係なくて……
「誰もいない……」
そのことの方が、私には重要なことだった。
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