第18話-2 外出許可(2)
しかもこのくっついて……というのは比喩でもなんでもなく……
「リイナ……そんなにべったりしなくても……大丈夫よ?」
腕を絡めて体を私に引っ付かせているのだ。
「気にしないで!」
無理言わないでちょうだい。
歩くの邪魔……そして暑い。
ドレスじゃなくて、神殿で借りた神官の服(今度は女性用)でよかったわ。
じゃなかったら今頃転んでたわよ……
けど困ったな……このままだと本当にシンプルに庭園散歩して外出終了してしまう。
なんとか一人にならないと。
「あのね、危険なのはあなたの方なのよ?リイナは中に戻った方が……」
「でも、それじゃあルナが倒れたら、支えるの?」
「一年たたないと何も起きないわよ」
「そういう悲しいこと言わないでよ」
あぁ、しまった。
リイナが落ち込んでしまった。
こうなってしまうと話が進まない。
別の方法を考えよう。
そうだ、シンプルな質問があるじゃない。
「リイナ……あなた忙しいでしょ?」
なんだかんだ、リイナは聖女になったのだ。
聖女になった後のスケジュールはかなり忙しいと聞いている。
だから、私に付き添ってる暇なんかないはず……!
「ううん、スケジュール空っぽになって、やることなくなっちゃった。」
と、思ったのだけれど、リイナに笑顔でそう言われてしまった。
「そうなの…」
今度は私が落ち込む。
よく考えたらそうよね、忙しかったら、どんな事情があれど、一週間も私につきっきり、部屋に篭りっきりで、看病したりしないわよね……あはは……
そうこうしている間に目的地、聖女の儀式が行われた神殿の庭園に辿り着きました。
当然そこには見張りの騎士がいて……
「現在調査中です、立ち入らないでください」
なんて怒られる。
わかってたわよ、ここが封鎖されてるなんて。
外に出る口実のために言っただけだもの……でも、これで部屋に戻らざるを得ないかしら。
残念ね。
そう思っていたのだけれど
「聖女権限です、そこを開けなさい」
リイナがこんなところで聖女権限を最大限酷使した。
「し……しかし、今調査中で……」
「私が襲われそうになったところよ?情報を知りに現場を見に来るのはいけないことかしら」
リイナ、かっこいい、様になってる。
理由が私情じゃなければね!
彼女がここに入りたいのは、あくまで私のわがままを通すためなので。
罪悪感が振り切ると、なんでもやっちゃうのね。
結果的に、騎士たちはリイナに負けて、渋々庭園の中に私たちを入れてくれました。
「リイナ、何もあそこまで……」
「いいじゃないの。私も試してみたいことがあったし。」
「試してみたいこと?」
一体なんのことだろう。
私は周りを見回した。
逃走ルートを確保するために。
まぁ、リイナが離れてくれないと無理か。
私はそのまま彼女の後をついていくと、聖水が流れる川にたどり着いた。
「結局、儀式できなかったねー」
リイナは滝に手を突っ込みながらそう呟いた。
私はその滝……というか石の崖の上を見つめた。
高さにして建物の2階くらいかしらね。
落ちても死なない程度の高さだけれど……逃げるのは無理そうね。
なんて考えてしまう私は、やっぱり逃走ルート確保の道を諦めてはいなかった。
「ルナ」
私が上を向いて固まっているから、心配して声をかけてくれたのかと思ったのだけど……そうじゃなかった。
私はどこから取り出したのか不明の器に入った水を差し出される。
「聖水飲む?」
「何急に」
「飲んだら呪い解けるかもよ」
なるほど……だからか。
外出を認めなかった彼女が急にその気になって、騎士を納得させたのかと思ったら……。
これを飲ませたかったわけね。
「この前飲ませてダメだったじゃない」
リオスと神父から聞いた。
治ったのは頭の怪我だけ。
でも、リイナは諦めない。
「でも、いっぱいのめば」
いっぱいって、どのくらい?
そんなに飲んで効果変わるのかしら?
薬でも決まった量以上飲んじゃダメって聞くけど。
「勝手に飲んでいいの?」
「いいんじゃない?滝だよ?腐るほど水がザーッと流れてるし。」
リイナは滝を指差しながら私にそういった。
まあ、貴重感はないわよね
ほんと……私なんでこんな設定にしたんだろう。
貴重な水なら、井戸水とかそういうのにしておけばよかった……というかそういうのにすべきよね。
聖女の儀式で見栄えするとかで決めちゃダメね。
「はいのんで」
「ゴフッ」
私が一人心の中で毒付いていると、リイナが沈黙は同意と受け取ったようで、口の中に聖水を突っ込んできた。
まぁ、結論から言って……聖水一杯でアザが消えることはなかった。
「あざまだ消えないね」
「ほらね、言ったとおりじゃない。やっぱ無理なのよ、神父様も……」
「はいのんで」
「ゴフッ」
文句は言わせないスタイルのリイナ。
このやりとりは10回ほど続きました。
「りいな、ギブ………げふ。」
これ以上は令嬢ならぬはしたない姿を見せそうなので、流石に顔の前でバッテンを作り、水を突っ込まれないように防御した。
これ、軽く水責めの拷問よ。
「ルナ、こういうのは限界を超えてからが本番なんだよ」
聖女あるまじき真顔で私に強制するリイナ。
ここまで来るともはや狂気ね。
この前まではこんなんじゃなかったのになぁ……
私の過保護を嫌がるどこにでもいる普通の可愛い女の子だったはずなのに。
度を過ぎた罪悪感は人を変えるのかしら。
もうなんでもいいからダレカタスケテ
そう、心の中で呟いた時。
「やっと見つけた。何してるんだ二人とも」
誰かに声をかけられた。
これぞ天の恵み!
私たちは二人同時に後ろを振り返ると、そこにいたのはフィリックだった。
ここまで読んでいただきましてありがとうございます!m(_ _)m
もし、面白いと思っていただけましたら、ブックマーク、星評価、感想、レビューいただけると制作の励みになります★




