第15話 過保護返し
誰か……助けて……。
こんな状況じゃ……ベッドの上から動けない……
お願い……誰か……
「ルナ、体調どう?大丈夫?ご飯の時間だよ!!」
私を彼女から解放してください。
リイナが、私が目を覚ましてから……どころかベッドから動くことを許してくれません。
あの儀式の日から数日が経ったのだけれど……
私は現在神殿にて、まるで病人のように看病される日々を送っています。
確かに私、呪われてはいます。
このまま呪いが解けなければ、一年後に死にます。
でもね、病人じゃないの。
そして至って元気なの。
なんなら死ぬまで元気なのは、神様から保障されてる。
だから看病必要ないし、こんなところで寝てる場合じゃない。
早く魔女探しに言って、呪い解いてもらわないといけないんだけど……
それが許される環境ではなくなってしまった。
「ルナ、今日はパンがゆみたいだよ、うーん熱いかな……食べさせてあげようか?」
必要以上に心配したリイナが、私の看病(?)をすると言って張り切ってしまったのだ。
今だって、本当は使用人が持ってくるはずだった私の食事を、トレーに乗せてリイナはベッドまで持ってきたのだから。
「リ……リイナ様……ルナ様のお世話は私共に……」
神殿の神官や、リイナを世話するためについてきたリイナの使用人たちが、令嬢自ら令嬢の世話をするという異様な光景に戸惑いを隠せない様子。
彼らは私に『どうしましょう……』と言う困った表情を向けるけれど……
「いいの、私にやらせて!」
リイナはそう言って聞かない。
「し……しかし、お嬢様このようなことを任せては、奥様になんと言われるか……」
「神殿の神官たちにも、聖女が看病するなんて示しがつきません」
リイナの使用人や神官たちはオロオロと困った表情を浮かべる。
確かに、聖女に選ばれた自慢の娘が、使用人を使わずにこんなことをしてると知ったら、苦言を呈する可能性は十分あり得る。
そしてこの使用人たちは叱られるだろう。
かといって……
「命の恩人のお世話おすることが、そんなにいけないこと!?」
こんなに主人がヒートアップしてしまったら、従わないわけにもいかないだろう。
なんだか私が原因でこんなことになるのはあまりにも申し訳ないので、私は使用人たちの方に視線を向けると、こう伝えた。
「あ……あなたたち、下がってちょうだい……このことは内密にね。」
その発言に安心したような、でも本当に大丈夫なのか、不安そうな表情を浮かべたが、私が頷くと海外しくお辞儀をして、部屋の外へと出ていった。
私はそれをベッドの上から見送ると、リイナに顔を向ける。
リイナは嬉しそうにベッドの上に机を用意すると、その上に食事を置いて、食器にかぶされていた蓋をとる。
「まだ熱そうだね、フーフーしてあげる。」
リイナは料理から湯気が出ているのを見ると、スプーンを手に取り料理をすくうと、フーフーし始めた。
流石にそれは困る私は、リイナの手を掴んで止める。
「リイナ、そこまでしなくていいから」
「なんでそんなこと言うの?私はただ……」
普通の意見を言っただけのつもりだったのだけれど、それを聞いた瞬間、リイナはものすごくショボーンとした表情を浮かべた。
「ありがとう……気持ちは嬉しいわ。でも、食事くらい一人ででき……」
「……」
あーあ……目に涙まで溜め始めた……。
なんかいたたまれなくなって……
「ごめん」
謝ってしまった。
なんで私は謝ってるんだろう、間違ったことはしてないのに。
自分の気持ちを言っただけなのに……らしくない。
でも、悲しい顔をしたリイナを見ると、謝らなきゃいけないようなそんな気持ちにさせられた。
そしてこの場合の謝罪は、受け入れたことを意味するので、私は食事の介助を元気なのにリイナから受けることになった。
「はい、アーン」
「あー……」
ニコニコとした表情でスプーンにパンがゆをすくい、私の口元に運ぶリイナ。
それを私は仕方なく口を開き、それを受け入れる。
なんとも言えない表情でモグモグ口を動かす。
「美味しい?」
「うん、でもそろそろ固形のものが食べたいな……」
「体が弱ってる時は、消化にいいものを食べた方がいいんだよ?」
「私病気じゃないから、食べれ……」
「デザートはりんご剥いてあげるね!うさぎ型にしてあげる!」
聞いちゃいない。
はぁ……もう一週間この部屋から出られず、消化にいいものしか食べられてない。
でも、これはリイナの精一杯のお礼だし……これを断ることもできないのよね……
リイナなりに心配してくれてるわけだし。
私はモグモグと口を動かしながら、一週間前のことを思い出す。
なんでリイナがここまでするのか……
そう、あの儀式の後……もっと厳密に言うとリオスとの再会を終えた直後の話だ。
ーー少し時間を遡ろう。
リオスとの再会を果たした後、目を覚ますと……そこは神殿の一室、ベッドの上だった。
「ルナ……!?」
ベッドの脇には治療をしていたアモルト神父と、見舞ってくれていたリイナが目を真っ赤にしながら、私の手を握ってくれていた。
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